31【ロキテウス】
「すごいぞアラタ!ほれ、指輪の裏側に【ロキテウス】と彫られているだろう。これは古代にマジックアイテムを作っていた技術者の名前でな。自分が開発したマジックアイテムでお気に入りのものには必ず自分の名前をいれていたのだ。名前がいれてあるものはみなマジックアイテムとして強力でな。今では再現が難しい失われた古代の技術で魔法アイテムを作っていたとされておる」
【マジックアイテム】
ゲームでよく聞くファンタジーの定番だな。
しかし、強力なマジックアイテムか⋯。もしそれが本当ならフロディを駄女神と呼ぶのはやめることにしよう。
「ドワーフさん。凄い指輪なのはわかったけどよ、その指輪の効果ってヤツはどんな効果なんだ?」
「マジックアイテムは魔力を流して効果を発揮するものだから魔力を流してみないとワシにもどんな効果があるのかわからん⋯。そうだ!ワシの作業場は長年の改造で頑丈なシェルターのようになってるから、そこで実際に魔力を流して試してみるか!善は急げだ!!2人とも移動するぞ!!」
ドワーフさんは息づかいを荒くして指輪を持ったままカウンターの奥に我先にと移動してしまった。
「あ〜あ。こりゃ駄目だ。ドワーフさん完全にモードにはいったな」
「そうなのか?」
「ドワーフさんってさ元々マジックアイテムが好きすぎてお店を始めたんだよ。だからさ珍しいマジックアイテムを見ると制御がきかない状態になっちゃうんだよな」
確かに子どものようにウキウキとしていたな。
「とりあえず、ドワーフさんの後を追わないとな」
「あぁ」
ドワーフさんの後を追ってカウンターの奥に向かう。石の台や何かの工具や器具が置いてある場所を抜けると石とは違う素材で鋼鉄のように硬そうな全面青色の壁があった。その壁には同じ色の頑丈そうなドアが取付けられている。おずおずとドアを開けると地下とは思えない地盤沈下を心配するほどに広々とした空間があった。壁と同じ青色の空間。天井に埋め込まれたライトがピカピカと照らしている。
「何だここは?」
「やっぱりビックリするよな。俺も初めて入ったときかなり驚いたもんな」
「ガルラは入ったことあるのか?」
「もちろん!放爆破弾を教えてもらうときに村の中だと危ないからって父ちゃんがドワーフさんにお願いして借りたことがあるんだ」
「そんな簡単に⋯」
「父ちゃんとドワーフさんは酒飲み友達だったからかもしれねぇな」
ポカンと驚いているとドワーフさんが近くにやってきた。
「遅いぞ2人とも!さぁ今から指輪の効果を調べるぞ!」
ドワーフさんは俺の指輪を持ってはしゃいでいる。
さっきの人物と同一人物か疑うほどはりきっていた。
「お願いしますドワーフさん」
「何だかワクワクするな!」
「ハッハッハ!そうだな、何せ【ロキテウス】作成の指輪だ!かぁー!楽しみだな!!」
ドワーフさんは完全に童心に帰っていた。
でも気持ちがわかる。自分も指輪にどのくらい強力な効果があるのか興味があった。
ドワーフさんが俺たちから距離を取る。
「さぁ始めるぞ!!」
その一声が地下室に響きわたった。




