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29ドワーフさん


「ところでドワーフの店はどこにあるんだ?」


「ドワーフさんの店はな⋯⋯知る人ぞ知るっだな!」


訳が分からない返答が返ってきた。

ガルラはニッシッシと意味ありげに笑う。


「どういうことだ。その『知る人ぞ知る』ってのは?」


「へへ。実はもうアラタは何回も見ているんだぜ!」


何回も見ている?皆目(かいもく)見当がつかない。

今まで見たお店の中にあったのだろうか。


「悩んでいるようだからヒントを出すぜ。ヒントはこの村のシンボルだ!」


この村のシンボル?まさか⋯。


「もしかして煙突⋯?いやまさかそんなこ⋯」


「ピンポーン!大正解だ!」


俺の言葉を遮り正解を伝えるガルラ。

煙突が正解⋯?(にわか)には信じられない。


「まさか、煙突の中で商売してるのか?」


「中じゃないよ下さ」


ガルラは近くの煙突の裏側に回る。

追いかけるとガルラは煙突裏の地面を触っていた。

よく見ると地面には煙突と同じ黒色で1畳半くらいの取っ手がついたハッチのようなものがあった。

岩のような見た目で重そうだ。


「見てビックリ開けてビックリってやつだ!」


ガルラは取っ手を引くとガチャっとすんなり開く。

重くはなかったみたいだ⋯。


「さぁ!この先がドワーフさんの店だ!」


「まじかよ⋯すげぇな」


中には無骨な石の隠し階段があった。正直、忍者屋敷とかスパイ映画とか好きだったので心が躍る。


「行くかアラタ!」


「よし!」


階段を降りて地下に向かう。

中は暗いかなと思ったが壁に正四角形の埋め込み型ライトが点々とあり明かりには困らなかった。



階段を降りきると広いフロアに到着した。


「確かに店だな⋯」


俺の目の前には石棚がずらっと並んでいる。

その石棚には指輪やアクセサリーが置いてあった。

恐らく売り物なのだろう。


奥には石で出来たカウンターも見える。

ただ肝心のドワーフがいない。


「ドワーフさんは、たぶんカウンター奥の作業場だな。大体いない時は何かしら作業してんだよ。おーいドワーフさーん!ガルラですー!!今日は友達と一緒に来ましたぁ!」


ガルラは地下に響くほどの大声を出す。

するとガシャっと音がして何かがコチラに向かってきた。やがて姿を現したのはドワーフだった。

渋くて逞しい顔つきに白くて長い髭。背は低いが筋肉隆々の体でタンクトップにポケットの多い茶色のオーバーオールとガッシリとしたブーツ。何もかもイメージ通りで逆に驚いた。


「ガルラ遊びに来たのか?⋯ん?見ない顔もいるな?旅人みたいだがガルラの知り合いか?」


(ひげ)を動かしながら怪訝(けげん)そうに話す。


「おうよっ!知り合いっていうか友達!アラタっていうんだ!俺と同い年なんだぜ!」


「えーと。よろしくお願いします」


「何だ友達か⋯⋯⋯!同い年かっ!同い年の男友達かっ!!そうか!よかったなガルラ!」


怪訝そうな表情が嘘のように明るくなる。


「アラタだったか!?是非ともガルラと仲良くしてやってくれ!」


笑い泣きのような声をしていた。


「あっ!そういえばワシの自己紹介がまだだったな。ワシの名はドワーフ。ガルラの友達なら気軽に呼んでくれて構わんからな」


薄々変だと思っていたが、ガルラやアニカさんが「ドワーフ【さん】」と呼ぶ理由がわかった。


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