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26ガルラの部屋


「少し散らかってるけど勘弁な!」


ガルラがギィっとドアを開ける。

赤くて黄色い刺繍のはいった大きなラグマットがまず目に入る。辺りを見回すと海賊の宝箱のような木箱や切り出したままの木の机。壁には大きな葉に白い斑点がついた観葉植物や赤いドラゴンの絵が飾られていた。冒険心を掻き立てる調度品の数々に圧倒される。


「すっすごいなぁ」


「へへ!いい部屋だろ!!」


「あぁ!カッコいい!!」


正直、自分好みの隠れ家のような部屋だった。


「そうだ着替えだよな?チェストの中に服は入れてあるんだ」


「チェスト?」


「そこにある木箱だよ」


海賊の宝箱のことか!?何だか金品が出てきそうだ。


「中に入っているやつなら好きに選んで着ていいからな!それと脱いだ服はソコのカゴに入れてくれ」


床にピクニックで持っていきそうなアミアミで茶色のバスケットがある。たぶんこれのことだろう。


「あと少し喉渇かないか?アラタが着替えを選んでいる間に何かジュース持ってくるよ」


そう言うとガルラは部屋を出ていった。

今日出会ったばかりだよな?信頼されているのは嬉しいけれど少し心配になる。まぁヤフトコに騙された俺が思うのも変な話か。


さて、チェストを開けてみよう。

重厚な雰囲気ただようチェストをゆっくりと開ける。

中にはオレンジ色のベストや朱色のコート。カーキ色のズボンや赤と黒の混ざったマントのような服など派手なものしかない。俺の嫌な予想はあたっていた。ただ異世界だとこの色合いは普通なのかもしれない。

それでも諦めずに無難な色を探すと首元が開いてゆったりとした黒色のtシャツのような服に茶色のズボンを見つけた。

ほっと胸を撫で下ろして着替えるために服を脱ぐ。


神光(しんこう)授かりの儀式とかいう謎の儀式で強制的に着させられた布の服。土汚れで汚いこの服も、今思えば異世界でずっと着てた服だ。当然愛着も⋯⋯湧かないな。そもそも勇者装備にしては防御力もなく特徴もない。ないないづくしのポンコツ装備に愛着なんぞ湧くはずもない。何だかイライラしてきて怒り任せに脱いだ服をカゴに投げ入れる。


少し苛立ちながら選んだ服に着替えていると、壁棚に写真立てがあることに気がついた。着替えを終えて興味本位で写真を見る。


その写真には黒髪にオレンジメッシュの幼い子どもを抱き上げる褐色肌でオレンジ髪の男が写っていた。不思議なことに、写真の男の服装は今のガルラの服装と全く同じだった。


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