18案内人
活気あふれるマーケットを煙突を目指して歩く。
途中でお店の人に声をかけられたが、どうせ払えるお金もないので気にせずに歩く。
「おぉっ⋯。高いなぁ」
煙突の近くに無事到着!黒いレンガのような造りで出来た煙突は近くで見ると雲まで到達しているのかと思わせるほどの存在感があった。
「あのー。少しよろしいでしょうか」
しばらく煙突を見上げていると後ろから急に声をかけられる。振り返ると白いターバンのような帽子をかぶった小柄な男性がニコニコとした笑顔で立っていた。
「失礼ですが見たところ旅に出たばかりじゃありませんか。良かったらグフェル村の案内をいたしますよ」
突然の申し出に少し驚いたがコレは天の助けだ。これでイグマ亭の場所がわかるかもしれない。ただ、お金がない。無料なのだろうか。
「あの。素敵なお誘い何ですけどお金が無くて⋯」
「滅相もない!私達の村を案内するのは、私達の村の良さを旅人さんに知ってほしいからなのです!私のワガママに付き合わせるわけですからお金は必要ございませんよ」
笑顔を崩さずターバンの男はこちらを見つめる。
無料で案内してくれるなら断る理由はないな。
「それなら是非お願いします」
「かしこまりました。ちなみにこの村に関しての情報はどれくらい知ってますか?」
「ほとんど知りません。ただ守衛のグラマンさんからイグマ亭の場所は教えてもらいました。ただ地図が読めなくて困ってたんです」
「そうでしたか、それはお困りでしょう。もしよければイグマ亭の場所も案内しますよ。ただ、イグマ亭で入室手続きができるまで時間がありますから、その時間まで他の場所を案内いたします」
入室手続きが出来る時間は決まっていたのか。グラマンさんは地図以外もいい加減なんだなぁ。
「それでは、まず何から案内しましょうか。もしよければ温泉なんていかがでしょうか?」
おんせん!異世界らしからぬ日本馴染みのワードにテンションがあがる。
「温泉でお願いします」
「承知しました。ちなみに私はヤフトコと申します。以後お見知りおきください」
「ヤフトコさんですね。自分はアラタっていいます。よろしくお願いします」
「ええ。お願い致します。それではコチラです。私についてきてください」
ヤフトコさんは前を歩いて先導してくれる。
俺は温泉に行けることにワクワクしながら歩きはじめた。




