表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/41

15 異世界の心の拠り所


「黒く光ったな。孤児ってのは嘘か?」


もしかして、この世界のことだけじゃないのか。

この世界に両親はいない。だが自分の元の世界ならいる。だから『孤児』というワードが嘘だと判定されたのではないだろうか。


「何で嘘をつくんだ?出生地を話すだけだぞ?疚しいことがないなら話せるはずだ」


本当に困った。もう出生地は【日本】という国だと正直に話すべきだろうか。自分の名前で異世界人だとバレなかったんだ。もしかしたら何とかなるかもしれない。


「すいません。あまり有名な場所じゃないから恥ずかしくて……。出生地は日本です」


ソナライズは、また黒く光った。


何故だ?嘘はついていない。まさか、前の世界は関係なく、この世界を基準にして聞いているのか?もしそうならば、ブラッドアイウルフに襲われた洞窟か?しかし、地名なんて知らない……。


「ちなみに無いと思うが一応言っておく、もしも出生地の詐称を続けた場合は村や町の問題ではなく国の問題になる。入村をしない場合でも即時拘束をして違法入国者の罪人とするからな」


守衛の男が先程まで笑っていたことを忘れるレベルで鋭く真面目な顔つきをしている。


わからない。何が正解なのかわからない。


「どうした!子どもといえど出生地の虚偽ばかりを故意的にするのならば容赦はしないぞ!」


なぜこうなった。さっきまで明るく会話をしてたじゃないか。

母さん父さん智也。誰でもいいから助けてくれ。

ライアスさん……。そういえば、ライアスさんとも同じようなやりとりしたっけ……。


「出生地は忘れた……記憶喪失なんだ」


独り言のようにライアスさんとのやりとりを思い出して呟いた。



「何だと!記憶喪失だと!!ふざけるな!!もう許さ……。ま……まさか本当なのか…」


何が起こったのかわからなかった。これこそまさに自分が故意的についた嘘だ。しかし、ソナライズは白く光ったままだった。

異世界に飛ばされた時に目が覚めた場所は洞窟だ。しかし、意識がはっきりしてない状態で何処か彷徨っていたのだろうか。出生地がこの世界についてからのことを聞いているなら、記憶喪失という発言にソナライズが黒く光らなかったのも納得できる。


「ソナライズは魂に反応するから嘘はつけない。すると記憶喪失は本当か……。それは言いづらいことだよな。すまなかった。まぁ、名前や年齢は覚えていたみたいだし女神アレフロスディーテ様の微笑みに感謝だな」


納得してくれたようで良かった。しかし、異世界に来たばかりの時はふわふわとしたゲーム感覚なところもあったけれど、今回のことでより今のこの世界が現実なんだと実感した。本当に転移して最初に会えた人がライアスさんで良かった。もうある意味、異世界の心の拠り所といっても過言じゃないな。今名前を言われてたどこぞの駄女神とは雲泥の差だ。


「さて、質問はこれで終わりだ!!」


守衛の男がそう言ってソナライズの後方に手を触れるとガシャっと石枷が外れて手首が自由になる。


「手続きは完了したから入村して大丈夫だぞ!!」


守衛の男はニカッと笑った。


「あらためて……。ようこそグフェル村へ!歓迎するぜ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ