13ソナライズ
グフェル村……。異世界ではじめての村!!
途中で走ったため少し疲れたけれど、その疲れを吹き飛ばすほど人の住む村に到着したことが嬉しい。
いざ!入村!!
「おいっ!そこのお前!!」
ゲートを潜ろうとすると急に横から声をかけられる。
声の方向に目を向けると岩をくり抜いて作られたカウンターのような場所に毛皮の服を着た髭面坊主で筋肉隆々で褐色肌の男が険しい顔で腕を組み仁王立ちしていた。
「関所の守衛を無視して村に入ろうとするな。もしも村に入るなら入村料が必要だ」
「す……すいません!!」
怒られてしまった。
この岩のゲートは関所のような場所なのか。
しかし、どうするべきか……。
入村料なんて持っていない。
とにかく、何とかならないか交渉をしてみる。
「あのー自分はまだ子どもでお金がないんです。入村料ってお金のかわりに別の何かで払うことはできませんか?例えばこの指輪とか……」
今、お金の代わりになりそうなものは指輪とペンダント。それからライアスから貰ったクリスタルだ。クリスタルとペンダントは護身のために持っておきたいから断腸の思いで高値で売る予定だった指輪を指から外し、男に見せて交渉の材料にしてみる。
だが、顔の前で手を振られてしまう。
「駄目だ駄目だ。そういった例外は安全リスクの観点からしていない。ただ……もしかしてお前は18歳以下か?」
ん?何か年齢が重要なのだろうか?
「はい。16です」
俺の返答を聞くと険しい顔だった守衛の男は急にガハハと笑い出した。
「そうか!そうか!旅をはじめたばかりのビギナーだったか!なら入村料は規定に基づき不要だ。18歳以下は基本的に入村料は無料だからな」
た……助かった?
詳しくは知らないが18歳以下は入村料が無料らしい。
守衛の男は肩をバンバンと叩いてくる。
肩が痛いから正直やめてほしい……。
まぁ無事に入村できるようで良かった。
「じゃあもう入っても大丈夫ですか?」
「手続きをしたらな。とりあえずこの石盤に手をかざしてくれ」
守衛の男はカウンターに設置されている白く発光した石盤に手をかざすように言ってきた。
言われたとおり石盤に手を当てると石盤から石の手枷が現れガチャンと手首を拘束された。
「何だコレ!外れないっ!!」
動かそうとしてもびくともしない!!
もしかして異世界の勇者転移者だとバレたか!?
ふいにライアスが前に言っていたことを思い出す。
『勇者に対して憧れや尊敬以外にも恨みや妬みといった負の感情を抱く者もいる』
もしかしたらこの守衛の男が……。
考えれば考えるだけ気持ちが焦る。
だが守衛の男は俺が焦る姿を見て破顔する。
「大丈夫だ、悪いことは何もしない。これは魂の分析盤だ。確か正式名称はソナライズって名前だったかな。手をかざしながら質問に答えると嘘をついていた場合はソナライズは黒く発光する。そして悪意があるとコチラで判断した場合はそのまま拘束する。そのための装置なんだ。まぁ嘘をつかなければすぐに解放されるから安心しろ」
これは本当にピンチかもしれない……。




