表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コトノハ薬局  作者: 九藤 朋
神代ひもろぎ編 第三章
795/817

テキスト

 天地を揺るがすような叫びが聴こえた。大海の部屋からだ。聴こえた家人一同、その部屋に向かう。

 大海が泣いていた。慟哭の涙だった。一体、何があった。部屋に、大海を冷徹な眼差しで見ながら佇む隼太を見る。彼もちらりとこちらを一瞥した。

「母さんを送った」

 その言葉が、しばらく頭の中で意味をなさなかった。磨理を、送った。それはつまり。つまり……。奈苗が身を乗り出した。

「浄土に。そう言うこと!?」

 隼太は無言で頷く。私は堪らず、泣き崩れる大海に手を伸ばし、抱き締めた。大海は縋りついて来る。

「なぜ、そんなことを」

 由宇も呆然としている。

「母さんと大海の為だ。いつまでも歪な関係を続けるのには、無理がある。また、母さんの霊体が、いつ再び椎名たちに利用されないとも限らない」

 隼太の言葉は理路整然としていて、テキストを読み上げるように完璧だった。

 ――――完璧でいられないのが、人の情だ。私は大海を置いて立ち上がり、隼太の頬を打った。隼太に何ら堪えた様子はなく、変わらず平然としている。私は震える息を吸う。

「聖さん、何か飲む物を」

「はい」

 再び、私は大海を抱く。大海の涙と鼻水で、着物はぐしょぐしょだ。しかし、そんなことは些末事だった。聖が常温の林檎ジュースを持って来てくれた。私は、それを赤ん坊に接するような慎重さで、大海の口元に宛がう。大海は何口か飲んで、すぐに嘔吐した。撫子たちがその始末をしてくれる。

(みん)

 処方したコトノハを、大海は服用した。急に脱力した身体の重みが、全て私にのしかかる。磨理。解っていて、隼太の案を呑んだのか。隼太と、大海の為を思い、もう二度と彼らに逢えない道を選択した。摩耶がすぐに床を用意してくれて、私は男性陣の手を借りて大海を横たえた。

「……可哀そうに」

「既に死んでいた魂だ」

「私が可哀そうと言ったのは、大海さんたちだけではありません。隼太さん、貴方もです」

「何だと?」

「解りませんか。貴方は、母の胸で憩う時間を、もうこの先一生、失ったのですよ」

「必要ない」

 そうだろう。そう言い切ってしまえるのが、本気で言ってしまえるのが隼太だろう。私は、眠る大海の涙の跡を拭いた。

「隼太さん。貴方は強過ぎて哀れです」

 隼太の身体から殺気が噴出する。

「俺を哀れむな。殺すぞ」

「やってごらんなさい」

 この件に関して、私は一歩も退く積もりがなかった。大海に二度の絶望を味わわせた。隼太に対する、如何ともし難い憤りがあった。

「まあまあ、こと様。寝てる人の傍ですし」

 芳江が取り成しに掛かる。彼とて隼太に対し、思うところがない訳ではない筈だが、今は緩衝材の役割を買って出てくれている。私は、大海の傍に端座した。摩耶が絞ったタオルで着物を拭いてくれる。有り難い。こんな風に、私は助けられている。私の胸一存ですることを、皆がサポートしてくれる。

「私は、大海さんが目覚めるまでここにいます。皆さんは、どうぞ退室されてください」

 皆の物言いたげな目。とりわけ紅玉の。けれど、私はそれらを振り切った。今は、彼の魂こそが瀕死であろう大海についていてやりたかった。





寛容な方だけGО!











隼太「……」

こと「……」

芳江「……」

隼太「何だこの茶番は」

芳江「『美食牢』のほうで、後書きでキャラがわきゃわきゃしてるさかい、こっちでも、いう趣旨やそうやけど……」

こと「KYにも程がありますね。今、そういう状況ですか、うちは」

芳江「そないなこと俺に言われましても……。何で俺がこの二人に挟まれるんや!」

隼太「酒はないのか」

芳江「はい?」

隼太「俺たちは客だろう。もてなせ」

こと「この期に及んで飲酒ですか。よくもそんなことができますね」

芳江「はいはい!越乃寒梅と裂きイカがありますぅ~助けて撫子~~~~」

こと「芳江さん。この男に追従してはいけません」

芳江「いや、せやかて緩和剤があらへんと、ここの空気持ちませんで」

聖「……」

芳江「聖様ー!!いらしたんやったら早く言うてください、空気にならんといて!?」

聖「こと様がこわか、ご傷心であられるから」

隼太「お前、恐妻家だな」

聖「元はと言えば隼太君が原因だろう…酒を呷るな」

芳江「聖様も飲まはります?美味しいですよ、林檎ジュース」

聖「うん」

隼太「お子様……」

芳江「ストップ、ストップ、こと様ー!!!!一升瓶で殴ればえらい鈍器になりますからさすがに!!なんなんもう、全然、わきゃわきゃならへんやん、俺が大変なだけやんか九藤のアホ!!」



『美食牢』もどうぞ~。空腹時にはお避けくださーい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] やだ。後書きで隼太見れるの嬉しい( ´艸`)
[一言] ことさんはねぇ……。いろいろと背負いすぎなんですよ。今回のことにしたって隼太が手を下さずとも遅かれ早かれだったでしょうに……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ