ポテチ紅茶
かささぎは歯に衣着せずに物を言う。布帛は長い付き合いからそれを知っている。時と場合によってはそれにより摩擦が生じることも。かたたとらコーポレーションの一室、革張りのソファーに寝転んで、長い脚を組んでとろりとした目をしてもそれは変わらない。
「駄目駄目じゃん、さだめ君。お、俺、今、韻を踏んだ。良いね。駄目駄目さだめ」
「かささぎ。不機嫌なのはともかく、本人を前に言う台詞じゃないぞ」
「だあってさあ~。あー、ポテチない? 布帛、買って来てよ」
「俺をパシリに使うな」
窓の外からは樹々を紅に染める秋の日差しが射し込んでいる。その光に縁取られるように、くだんのさだめは腕組みし、かささぎを白い目で見ていた。
「裏の何たるかを知らない若造が好き勝手言うね」
「君も若いじゃん。あ、若作りなんだっけ? 実際年齢は……まあ、どうでも良いけど」
白夕も同席していて、さだめの反対側に立ち、ひっそり笑んでいる。今日も彼は白い単衣だ。珍しく、日頃は流している長髪を一つに束ねている。それはそれで趣が出るのがこの男だ。かささぎは、実は白夕が少し苦手だった。軽さを好むかささぎにとって、白夕という存在は重いのだ。さだめをからかったのは、だから矛先がそちらに向いただけでもある。
「水木楓が音ノ瀬ことの泣き所で、最も与しやすい。そう、私たちは思っていたけれど」
かささぎの向かいに座る二条が、紅茶を飲みながら言う。
「けれど?」
「あの子そのものがあちらの戦力となっているのなら、その考えを改めたが良いのかもしれないわね。あちらは守りを固めると言っても、限度がある。なるべく少数になったところをこちらは多勢で叩くべきよ」
かささぎがぴーうと口笛を吹く。
「お嬢さんらしからぬ殺伐とした案ですねえ」
「だが一理ある」
「布帛って美人に弱いよね」
「関係ない」
「音ノ瀬劉鳴がいますね」
「ん。いるけど」
「そちらは私が参りましょう。私でなければ手に負えますまい」
「わーお。すごい自信」
かささぎが目を見張ると、白夕は珍しく苦笑した。
「手に負えることと、勝ちを得ることは異なりますがね」
「謙虚謙虚。良いじゃん。んで、黙ったままのアーサー君や一色君、水谷君には妙案はないのかな? 女性一人の案に乗るって、君らちょっと情けないよ」
「かささぎ」
「武で以て圧倒すれば良いのだろう。基本、今までとすることは変わらない。水木楓は、最初から俺の視野にはなかった」
アーサーが言い、紅茶が薄い、という不服も付け足した。
「へえ。賢いんだねえ、アーサーは」
にやにや笑いながら、かささぎも紅茶を飲んでから眉をひそめ、砂糖ないのという不満を口にした。




