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コトノハ薬局  作者: 九藤 朋
続・宝珠争奪編 第五章
439/817

金色の紙を剥いてチョコレートを取り出す

 彼は金色の包み紙からアーモンドチョコレートを取り出して口の中に放り込んだ。赤いネクタイ、白いコート。短い髪は緩くうねっている。輝きを落とし込んだような大きな目は、周囲の人間を意に介さず宙に据えられていた。

「ぽっくり逝っちゃったねえ」

「口を慎め、かささぎ」

「片桐新社長は宝珠を音ノ瀬に渡す積りはない、と。なら、方針転換する前の、堅田社長の命令と同様に俺たちは動けば良いのかな?」

 もぐもぐとチョコレートを咀嚼しながら言うかささぎに、問われた男は頷く。

「片桐社長曰はく、宝珠は死守せよ、音ノ瀬は消せ、と」

「物騒、物騒」

 かささぎは笑いながら金色の紙を丸め、部屋の隅にある屑籠に投げた。金が放物線を描いて味気ないプラスチックの箱に納まる。白っぽい電灯が照らし出す殺風景な部屋には、四、五人の男女が集っていた。かささぎが両腕を芝居じみた動きで広げた。

「じゃあ、新社長の命令に応じなくてはね。音ノ瀬ことを最初に叩きたいけど。それが一番、効率的だし。でも守りの厚さと本人のスペックを考えるとそれは妥当ではない。――――と、すると、音ノ瀬玲一あたりを急襲するかな?」

「妥当だろう」

「まあでも、それはそれで骨なんだろうけどね。誰が行く?」

「お前が行け、かささぎ」

「え~~。今度の日曜が東雲(しののめ)ゆきの日本刺繍展の最終日なんだよ」

「それまでに終わらせれば良い」

 かささぎが頭をがりがりと掻く。

「無茶を言うなあ。布帛(ふはく)は」

「飛鳥井からの定期連絡を使えば、奴の動きも掴みやすい」

「あ、飽くまで俺の意見は無視ね?」

 布帛は怜悧な眼差しをかささぎに向けた。

「今回のミッションにおいては、誰の意見も無視だ。全ては片桐新社長のご意向のままに」

「時代錯誤だと思うんだけど」

 かささぎはコートのポケットからもう一粒のチョコレートを取り出した。かささぎの体温により温もったチョコレートは若干柔らかく、口の中で生き急ぐように溶けていった。


挿絵(By みてみん)





ブクマありがとうございます。

続・宝珠争奪編もいよいよ佳境となってまいりました。

かたたとらコーポレーションからこちら、登場人物が

増えてしまいすみません。

左が布帛、右がかささぎです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 堅田が亡くなっても宝珠争奪は止まず。 誤字報告です。 布帛は怜悧な眼差しを布帛に向けた。かささぎでは?
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