金色の紙を剥いてチョコレートを取り出す
彼は金色の包み紙からアーモンドチョコレートを取り出して口の中に放り込んだ。赤いネクタイ、白いコート。短い髪は緩くうねっている。輝きを落とし込んだような大きな目は、周囲の人間を意に介さず宙に据えられていた。
「ぽっくり逝っちゃったねえ」
「口を慎め、かささぎ」
「片桐新社長は宝珠を音ノ瀬に渡す積りはない、と。なら、方針転換する前の、堅田社長の命令と同様に俺たちは動けば良いのかな?」
もぐもぐとチョコレートを咀嚼しながら言うかささぎに、問われた男は頷く。
「片桐社長曰はく、宝珠は死守せよ、音ノ瀬は消せ、と」
「物騒、物騒」
かささぎは笑いながら金色の紙を丸め、部屋の隅にある屑籠に投げた。金が放物線を描いて味気ないプラスチックの箱に納まる。白っぽい電灯が照らし出す殺風景な部屋には、四、五人の男女が集っていた。かささぎが両腕を芝居じみた動きで広げた。
「じゃあ、新社長の命令に応じなくてはね。音ノ瀬ことを最初に叩きたいけど。それが一番、効率的だし。でも守りの厚さと本人のスペックを考えるとそれは妥当ではない。――――と、すると、音ノ瀬玲一あたりを急襲するかな?」
「妥当だろう」
「まあでも、それはそれで骨なんだろうけどね。誰が行く?」
「お前が行け、かささぎ」
「え~~。今度の日曜が東雲ゆきの日本刺繍展の最終日なんだよ」
「それまでに終わらせれば良い」
かささぎが頭をがりがりと掻く。
「無茶を言うなあ。布帛は」
「飛鳥井からの定期連絡を使えば、奴の動きも掴みやすい」
「あ、飽くまで俺の意見は無視ね?」
布帛は怜悧な眼差しをかささぎに向けた。
「今回のミッションにおいては、誰の意見も無視だ。全ては片桐新社長のご意向のままに」
「時代錯誤だと思うんだけど」
かささぎはコートのポケットからもう一粒のチョコレートを取り出した。かささぎの体温により温もったチョコレートは若干柔らかく、口の中で生き急ぐように溶けていった。
ブクマありがとうございます。
続・宝珠争奪編もいよいよ佳境となってまいりました。
かたたとらコーポレーションからこちら、登場人物が
増えてしまいすみません。
左が布帛、右がかささぎです。




