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コトノハ薬局  作者: 九藤 朋
続・宝珠争奪編 第四章
432/817

墓石の前

ブクマありがとうございます。

一度頂いたレビューを削除されたことは痛恨事であり、

堪えましたが、それでも何とかこの薬局を続けたいと

思います。見守ってやってください。


いや、強がりですね。まだ、迷っています。

なろうを去ることも、コトノハを閉めることも、筆を置くことも

考えました。まだ迷いの中にいます。

 侃々諤々(かんかんがくがく)の末、かたたとらコーポレーションに乗り込む顔触れは、私と聖、玲一と康醍、芳江と撫子、そして劉鳴殿、隼太に決まった。秀一郎らも同行を希望したのだが、余りだらだらと人数を引き連れては見るからに大仰だ。戦闘には発展しないだろうが、万一の場合にも備えた決定だった。撫子たちの存在は、空間接続において重宝だ。また、劉鳴殿の存在は言うまでもなく心強い。

 明日香からは、結局何も聴き出せず仕舞いだった。

 穏やかによく晴れた朝だった。少し肌寒いくらいに涼しい空気が身体を取り巻く。艶やかな青緑色の上等の大島紬に、大判の白銀のショールを合わせる。手回しの良い事に、うちの前の坂を下ると、かたたとらコーポレーションから遣された黒い車が三台、停まっていた。一台目の車には、専務の片桐が乗っている。

 彼は私たちを一瞥して車を降りると、会釈し、自らドアを開けて私を促した。私もまた彼に会釈を返し、車内に乗り込む。聖と劉鳴殿が後に続いた。

「今日は良いお天気ですね」

 動き出した車内で、一見、和やかな言葉が生まれる。劉鳴殿に対して、片桐がくすりと笑った。

「そう言いながら死んだ作家がいたそうですよ」

「夢野久作かな」

「よくご存じで。しかし社長も私も、この車を一方通行にする積りはありませんよ。帰りもきちんとお送りする所存です」

「そのお言葉通りになれば望ましいですね」

「小金井さんはうちで休んでいますよ。熱があるので」

 私が二人の会話に割って入ると、片桐が鷹揚に頷いた。

「ありがとうございます」

「いえ、しかし隼太さんへの謝罪は必要でしょうね」

「必要と不必要は人それぞれですから」

 婉曲に拒否される。やれやれ。隼太もそれでは溜飲が下がるまい。運転手の腕が良いのだろう。車は滑らかに進み続け、やがてかたたとらコーポレーションの門前で停車した。巨大なビルには流石の威容がある。こちらを見下ろすような直方体を見て、大きな墓石のようだとも私は思った。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 前書きを読んで(;_;) 人が絡むと楽しいこともありますが、辛いこともありますよね…朋さんの心に平穏が訪れますように。
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