表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コトノハ薬局  作者: 九藤 朋
続・宝珠争奪編 第三章
418/817

茄子紺色の恋心

 水谷は急ぎ足で片桐に駆け寄った。

「片桐専務!」

「どうしたんだね、水谷君。血相を変えて」

 まだ出社している社員もまばらな朝である。陽光がかたたとらコーポレーションの窓硝子を通して燦々と射し込んでいる。

「社長はどちらにおいでですか」

「社長はまだ出社しておられない。用件があるなら私が聴こう。まあ、座ろう」

 のっしのっしと片桐はロビーのソファーに向かい歩いた。水谷はもどかしくその後ろをついて行く。茄子紺のソファーに片桐の頑丈そうな体躯が納まる。水谷は向かいに座った。

「昨夜、二条さんが襲撃を受けました」

 片桐の眉がぴくりと動く。

「相手は音ノ瀬か」

「いえ、かたたとらコーポレーションと名乗ったそうです」

「……」

「どういうことですか。それにあれは、人じゃなかった」

「二条はどうしている」

「普通に出勤する積りのようです。俺は止めたんですが」

「二条がそう言うならそれで良いだろう。この話は終わりだ」

 立ち上がりかける片桐に、水谷が食い下がる。

「待ってください! まだ何の説明も受けていません」

「君の関知するところではない。全ては社長のご存念だ」

「二条さんは、その社長の姪御さんですよ!?」

「ならば呑み込みも早いだろう。水谷。異能の遣い手が集うのが、庶務課だけだと思ったか? うちは大手企業だぞ」

「それにしたって二条さんが襲われた理由がつきません」

「肥大した組織に稀に起こるアクシデントだ」

「その、言葉だけで納得しろと」

「しないならどうする?」

「…………」

 悔し気に俯く水谷の、震える拳を見ていた片桐の顔がふと和らいだ。

「身分違いの恋は苦しいな、水谷。程々にしておくことだ」

 そう告げて、片桐は茄子紺から離れた。

 今度こそ彼が振り向くことはなく、また、水谷も呼び止めなかった。



評価とブクマありがとうございます。

何と今、空腹で何も考えられません。

家にあった『ミステリと言う勿れ』を読んでいます。

面白いですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ