お財布忘れても
「何だか、魔法使いみたいでしたね」
「こと様、呑気ですね」
かたたとらコーポレーションの二人が帰って、私たちは昼食の支度をしていた。本日のお昼は手軽で簡単、味噌ラーメン。栄養も摂るべく、キャベツや人参、茸などの具材を炒めて入れる。最後に卵を落として出来上がり。
ラーメンを啜りながら、聖の赤い瞳が思考しているのが判る。
「陰陽道はまだ予測がつく範疇だったので良いのですが、一括りに異能と言っても、どんな種類があるのか見当がつかないのが厄介ですね」
ず、ずーーーー。
「岡田さんと言いましたか。彼の異能は凄いですよ。あれなら買い物に出かけたのにお財布を忘れたのに気づいても、取りに戻る必要がありません」
「こと様。多分、論点がずれています。日常生活に如何にお役立ちになるかという話をしているのではありません」
ずる、ずるーーーー。ごくん。
「そうでしたね。失敬。まあ、真面目な話、脅威ですよ。あの能力を使えば極論、どんな殺傷兵器でも手軽に持つことが出来る。和久さんのほうの能力は解りませんね。見せてもらえませんでした。あ、聖さん、エリンギ一切れください」
二切れくれた。良い奴だ。
「探りを入れるにも、かたたとらコーポレーション庶務課の異能者たちの内情は、社のトップシークレットのようでしょう。こちらの様子を遠隔視出来る能力者がいても不思議ではない」
「難敵ですね」
「こと様に敵う相手はいませんよ」
「いやいや、買い被り」
「買い被りじゃありません」
聖は言うとにっこり笑った。
「だって僕がこと様に敵う相手の存在を許しませんから」
ラーメンの入っていた丼ぶりは空になり、あとには露一滴も残らなかった。
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強い冷え込みですね。
どうぞご自愛ください。




