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コトノハ薬局  作者: 九藤 朋
宝珠争奪編 第二章
284/817

裸ウサギ

 宝珠。


 思えば罪な物である。それに縋ろうとする私もまた罪深い。私は今、聖と楓と一緒に庭の手入れをしていた。楓は昔から虫などに物怖じしない子だったので、今も嬉々として庭いじりに勤しんでいる。三人共、麦藁帽を被っている。今日も陽射しが強く、熱中症にならないよう、水分を摂るのも忘れない。黒い大きな蟻が頭を左右に振りながら闊歩している。ダンゴムシやなめくじなら踏み潰すがこれには容赦を施す。なんか可愛いから良かろうといういい加減な理由である。

 宝珠は具体的にどのように私たちの救いとなるのだろう。また、どのくらいの数集めれば良いのだろう。詳細は雅常どのに訊いてみるしかない。果たして再びあの空間に行けるかどうか。

 庭をあらかた整えた私たちは汗を掻いていたので、楓と私がまずシャワーを浴び、次に聖が浴びた。タオルの替えが切れていたことを思い出し、洗面所に持って行くと、丁度シャワーを終えた聖と出くわした。ほんのり上気した肌は引き締まり、細身に見えて筋肉を鎧のように纏うことを知らしめる。

 美しいな。

 胸の鼓動が早くなる。このウサギを私は占領しているのだ。

 バタン、と浴室のドアが閉まった。当然だ。私は聖の恥じらいも思い遣らず彼の身体をまじまじと凝視してしまったのだから。

「タオル置いておきます」

 言い訳のように声を掛けて、私は客間へと向かった。客間では楓がもーちゃんと戯れていた。

「楓さん、ちょっと借ります」

「え?」

 私はもーちゃんをぎゅうっと抱き締めた。もーちゃんはきょとんとしてされるがままだ。ふう、と私は息を吐いた。もーちゃんを楓に返す。

「もう大丈夫。突然すみませんでした」

 嘘だ。脳裏にはまだ聖の肌がある。

「……楓さんは恭司さんの身体を見たことがありますか?」

「え? ええ? ないないない、ないよっ!」

 真っ赤になって否定する楓にそうだよな、ないよなとほっとする。これであるという答えが返ってきたら私は恭司を血祭りに上げなければならない。

「あ、でも、恭司君の身体、固いよ。そんなに大きくないけど筋肉はついてるみたい」

「そうですか」

 知らんがな。とは思わないが、聖の身体程、練り上げられてはいまい。私は恭司に対して意味不明の優越感を抱いた。でも、正直、聖がどんな身体でも良かった。彼が彼であり、生きてさえいてくれれば私はそれで良かったのだ。だから私は罪を犯し、今は宝珠を捜し求めているのである……。


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いつもありがとうございます。

良いクリスマスのコトノハが交わされますよう祈ります。

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