宝探し
翌週の休日、一族の主立った者と隠れ山に住む顔ぶれとに、私は宝珠のこと、自分の犯した罪について語った。不思議と私を責める者は一人もなく、皆、温和で優し気な表情だった。だから私は、尚更恥じ入る思いだった。
「しかし御当主、宝珠と言いましても何か特徴がないことには捜そうにも捜しようが……」
「この珠を見たであろう。通じる空気を纏っている筈だ。野にあるやもしれず、山にあるやもしれず。無茶を承知での頼みだ。皆の力を借りたい」
私は頭を下げた。父が見たら叱責したであろう行為だ。
「御当主、」
「お顔をお上げになってください」
慌てる一族の者たちの声を耳にしながら、私はしばらくそのままに、そしてゆるゆる顔を上げた。
桜はもう散り際だ。先へ進まねばならない。やがて散会した後も、うちに残った男が二人いた。秀一郎と俊介だ。特別だ、玉露を淹れてやる。会合には楓も参加していて、私の隣にいた。それは彼女を音ノ瀬家次期当主と思わせるに十分な位置だった。そうしてしまうことで、楓の将来を縛ってしまうのではないかという危惧は絶えず私の内にある。自由に生きて欲しいと願うからこそ、私の勝手で娘とすることに躊躇もあるのだ。だが楓は大人びた眼差しで、自分がどう見なされているか、その重さも、解っているようなのだ。
「俺も宝珠捜し、手伝いますよ! 捜し物は探偵に任せてください」
俊介が腕まくりのポーズで言う。何だか微笑ましくて、私はふ、と笑いを零した。
「僕も僕なりに捜してみます。兄さんたちも乗り気のようですし」
ああ、秀一郎の兄二人、藤一郎と晃一郎も来ていたな。父親の玲一の姿がなかったところを見ると、息子たちに委ねたか。
私たちは縁側に並び、玉露と花びら餅を堪能した。
聖はいつも一歩後ろに退き、皆を見守る役割をしてくれている。副つ家の主ならではだ。
しかしこの花びら餅は美味しいな。甘さが上品で後を引く。
小さく切り裂いた白い欠片のような太陽からの光が私たちを包む。桜色の訪問着は、今日に相応しかっただろう。桜色に陽光が淡く滲む。青に白が薄く、薄く溶けてゆくような空が、何だか物悲しさをも感じさせる。ここには私の大事な人たちがいる。もう喪えない、という怯えにも似た決意がある。
そう、もうたくさんだ、あんな思いは。
世界が終わったと感じた。漆黒の緞帳が降りたように思った。何より尊い紅玉が、もう二度と見られないのだと絶望した。その絶望は例えるならパステルカラーの黒や茶色、灰色などをぐちゃぐちゃに塗りたくったようなものだった。そしてそれを更に踏みにじったようなものだった。粉々に。塵と化すまで。
私は翳りのある表情をしていたのかもしれない。
「ことさん……?」
楓が心配そうな声をかける。
――――――――この子がいるから。楓は私の光の結晶だ。
彼女の頭を抱き寄せる。柔らかくて優しい匂いがして、私はどうにも切なくなった。




