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ダブル・サイド  作者: 四宮 皇季
第四章 トワ、ダンジョンで出会い、攻略する
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3話 トワは煩わしいのはキライ

短いですが、切りのよいところで、投稿致します。

 マリスの迷宮をクリアしたトワは、静かに身を隠し、街に急ぎ帰った。道中にすれ違う冒険者はなく、静かに移動できた。


(「アテンドール──聞こえるか? 今一つの迷宮をクリアした!」)


 暫く経ってアテンドールからの返事があった。


(「随分と早かったじゃないか。主のことだから、一年もしない内に攻略すると思っておったがな……」)


(「最初はそのつもりだったよ……。アテンドールはあの迷宮から、何か感じなかったか?」)


 アテンドールは黙って答えない。その沈黙が答えであるように……。


(「…………やっぱりか──。薄々は感じていたけど、『魔物の暴走(スタン・ピート)』はいつ起きてもおかしくない状況だったわけか──)」


(「そうじゃな……長く持っても、三ヶ月……そのくらいだろう」)


(「本来なら、一~二年かけて実力を持つに至った冒険者が攻略したと、するつもりだった。それが入ったらどうだ……。モンスター弱い! トラップもない! そんな迷宮なら簡単に進めるだろう?」)


「そんなに簡単なわけない‼」と言いたいアテンドールだが、トワが単騎でダンジョン攻略した為、言うに言えない状況だった。

 トワがアテンドールと念話していると、街の門が見えてきた。


(「もう街に着いたから、念話は切るぞ? また落ち着いたら、連絡する」)


(「……わかった。くれぐれもダンジョンを舐めんでくれよ……」)


(「大丈夫だ! 流石に今回の攻略で、ソロプレイの面倒くささがわかったから……」)


 そう言って、念話を切るトワ。面倒だったのはモンスターに対してではなく、魔石の回収に関してだ。


「(小説だと奴隷を連れて、ダンジョン攻略──とかあるけど……どうなんだ?)」


 あの夜で自身の考え方を替えたトワは、奴隷に関してある程度寛容になってきている。ただ『酷使すること』に対する葛藤はもちろんある。

 それなら自分で奴隷を使う際のルールを作れば、無体な扱いはしないだろう。トワはそう考えた。

 そういうことなら、ベル様に任せておけばお膳立てをして貰えるのじゃないかと、トワは考え始めている。始めている。そんな自分に苦笑する。


「マリスの迷宮を攻略した、勇者様だ‼ さっさと通さないか‼」


 門の方から怒鳴り声が聞こえてくる。ここから見る限りは、件の|

 象の人獣・・・・らしい。こちらとしては、迷惑な話ではあるが──周囲の注意が向こうに向くなら、今のところは好都合だ。

 周囲を見回すと、クロードを見つけたので近寄っていく。


「クロード、今帰ったぞ」


 その声に過剰に反応を返したのは、ある意味当然なのだろう。


「──トワ!? これは……」


 トワはクロードの口をふさいだ。騒ぎを大きくして、色々聞かれるのは現状不味い。クロードの口をふさいだのはトワにとって当然の行動である。


「──言いたいことはわかるが、今は静かにベル様の屋敷まで移動したいんだ!」


 トワは小声で、クロードに話しかける。


「──わかった……ベルフォート様の屋敷で詳しいことは聞く」


 納得していない感じのクロードだが、現在の状況から隠密に行動したほうがいいと、直感で感じていた。

 クロードに入門の手続きをしてもらい、街中にはいる。

 ベル様の屋敷に到着したトワは、近くにいたメイドに、ベル様への取り次ぎを頼むと、居間の方に移動した。


 暫く待っていると、相変わらずのハイテンションでトワの前に現れた。


「いやぁ~トワ君! 街中で『ダンジョン攻略』の報が流れていたが、君が行ったのだろう‼ (^-^)/」


 相変わらずのハイテンションにトワは苦笑する。


「──そうだ。証拠はコレだ!」


 そう言ってベル様に身分証明書(カード)を渡す。もちろん見えるようにしたのは、称号(ピュリア)の部分だけで、他の部分は見せていない。ベル様はカードに表示された『迷宮攻略者』の項目を見て、大層驚いていた。


「──ニャハハハハハ……本当にあるねぇ((((;゜Д゜)))」


 ベル様は驚きのあまり、身体が震えている。トワにとってはどうでもいいので、状況の確認をする。


「これで、リヴィエルナ嬢の身柄は、俺預かりになるっんだよな?」


 トワの言葉にベルフォートは顔を歪ませた……。



「──トワ君が表立って行動するなら、色々と手立てはあるのだが……トワ君は表立って歓迎を承け、この国のはじまりの英雄(象徴)ににる気はないのだろ?」


「──ないな。そういう面倒なのは、勘弁してくれ!」


 そんな事を話していると、クロードがリヴィエルナを連れて帰って来た。


「──トワ!? どういうことかせt……「すまないが、説明して欲しい‼」……」


 リヴィエルナはクロードを押し退け、トワに食いかかった。クロードは壁の人になった。


「リヴィちゃん、コレを見るのだよ!」


 ベル様がトワのカードを、リヴィエルナに渡す。それを見たリヴィエルナは崩れ落ち、床に座り込んだ。


「──私は……────」


 感極まったのだろうか? 泣き出したリヴィエルナと、壁から這い出したクロードもカードを覗き込んだ。

 クロードも目を伏せ、何か思い悩んでいるようだ──。


「トワ──頼む! 城に行って、ダンジョン攻略を父に……国王に、報告してくれないか?」


 その言葉を聞いたトワの反応は、思わしいものではなかった。


「ベル様にも言ったが、俺は面倒事には関わりたくない……。

 だから、そのままノコノコと王城に行って「我が配下に加えてやる‼ 感謝するがいい‼」 的なことを言ってくるバカがいたら、ボコボコにする自信がある」


 そう言いトワはベル様を見る。


「──なるほど……そう言うことなのか。わかった、今すぐ王城に行って国王に、極秘に会うことが出来ないか聞いてこよう!

 確実に面会をしてくれるね!?」


「わかっている。そこまで薄情なつもりはない。

 ベル様、なるべく王族だけでの話の場を設けて欲しい」


「国王の護衛上、近衛兵が護衛に就くと思う。それくらいは、構わないね?」


「(近衛兵(そんなもの)役に立たないと思うんだが……)」


 トワの心の声は、ベル様には届かなかった。


「構わないぞ? ただ、騎士団長一人にしておいた方がいいな……(死体の量産なんかゴメンだし……)」


「? わかった。その様に国王に話してみよう」


「──あと、門前で大声で叫んでいたバカが、登城しているかもしれないから、身分証明書(カード)を確認した方がいい。

 レベル五十位ないと三十階層のダンジョンボスを倒せないから……。見たからわかっていると思うけど、称号(ピュリア)の確認はキチンとしといて。

 コイツら、国家存亡の犯人だから……」


 トワの言葉に唖然とする三人であった。国王との話し合いで、一連の騒動にケジメを着けたいと、トワは思っている。

今回の話が短くなってしまいました。


誤字・脱字がありましたら連絡をお願いいたします。


次回の更新予定は6月20日の予定です。

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