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ダブル・サイド  作者: 四宮 皇季
第二章 永久冒険者になる。
13/39

2話 ギルドの説明の続きと、初依頼

 先月には、30日がなかったのでお昼の時間で更新致します。

 今回は、初依頼になりますが戦闘は呆気ないです。


 昨日は、花粉が多かったらしく大変でした。

 花粉症の方はお気をつけください。

 (自分も花粉症ですが・・・)


 4月30日 本文の改稿をしました。

 「カードが出来上がりましたので、”ステータスカード”の説明に移りたいと思いますがよろしいですか?」


 確認してきたので頷いた。


 「ギルドに登録する前は『身分証』としての機能しかありませんが、登録後は次の機能が増えます。

 一つ、冒険者ライセンスの役割。

 一つ、依頼内容の確認機能。

 一つ、現金のチャージ機能の制限解除。

 一つ、街・国境を越える際の手続きの簡略化。

 以上4つが、ステータスカードの主な役割になります。内容は役割のままですが、手続きの簡略化は基本として”カード”提示をもって確認となります。依頼内容がカードに表示されるので、状況によっては確認作業が入りますがご協力をお願い致します。

 また、ライセンスカードはご本人以外の使用は基本不可能になります。認証には登録者(・ ・ ・ )の魔力(・ ・ ・)を使いますので、安心してご利用ください。例外は、所有者の承認かギルドだけになります」


 セキュリティーは万全を期しているようさだ。他にもいろいろな機能があるのだろう。気になったので『級による優遇』を聞いておいた。


 「級による優遇は、素材などの買い取り金額が7級で”10%”、5級で”20%”、3級で”30%”、1級で”40%”UPになります。他には、4級以上で”推薦者のランクが8級(・ ・)からのスタートが可能になります。

 この優遇は、冒険者協会(ギルド)だけでなく商業ギルド・魔術ギルドと共同で行っていますので、まずは7級への昇級を目指されてはいかがでしょうか?」


 恐らく、この優遇はある意味で”戦力確保”を兼ねているのだろう。級が高いほどより良い優遇に、ほとんどの冒険者が昇級を視野に入れているのだろう。


 「大体知りたかったことはわかった。依頼はボードだけになるのか?」


 「ボードのモノが、基本的な依頼になります。それ以外(・ ・ ・ ・)の依頼は、『専属依頼』に当たるのである一定以上の信頼度が無い方にはご紹介できません」


 重要依頼みたいなものなのだろう。現状では関係ないが、未来も無関係でいたいものだ。


 「他に分からないことが出てきたら、受け付けに聞けば問題ないのか?」


 頷く受付嬢を見て、俺はボードに依頼を見に行くのだった。 




 初依頼に何を選ぼうかと、ボードに張ってある依頼書を吟味する。採集系も経験を積んだ方が後々、利益が多そうだがアテンドールからの念話があるので”討伐系”の依頼を探す。



 *一角魔兎ホーンラビットの討伐 無期限


  ユルイエの森に出るホーンラビットを5匹討伐せよ。

  討伐部位は、頭部にある”角”になる。

  5匹以降は、1匹100リムで買い取り。5匹ごとで一回達成とする。


  褒賞金 1000リム


 

 アテンドールからの知識から、この”リム”だが日本円にして『1リム=10円』位だそうな。だから1匹1000円で、5匹せ10000円になる。高く感じるが、この兎は”逃げ足が早く”て”隠密性が高い”と知識にある。

 その情報からだと、それほど多くの数を集めるのは不可能だろう。


 「(これでいいか・・・。どのみち討伐系は早く経験をした方がいいしな・・・)」


 俺はその依頼書を手にして、受け付けに向かった。運良くか?登録した受付嬢の所しか空いてなかった。

 まあ、知らない人じゃないだけ動きやすいだろう。そう考えその受(・ ・ ・)け付け(・ ・ ・)に向かった。


 「すまない、この依頼の受付をしてもらえるかな?」


 ホーンラビットの討伐依頼書を受付嬢に渡す。


 「こちらは”討伐依頼書”になりますが、よろしいのでしょうか?」


 「問題ない。確認したいのだが、討伐部位以外の買い取り額はいくらになるんだ?」


 知識の中には、討伐部位に価格は無いとある。基本的に部位以外の収入で、冒険者は生活していると言える。

 主に金になるのは、皮・肉・牙・爪・”魔石”とかになる。その中で一番高いのは当然”魔石”である。依頼書の出ている討伐対象は、基本的に(・ ・ ・ ・)魔物になる(・ ・ ・ ・ ・)


 「ホーンラビットは”肉と皮”にが対象になります。解体した状態で肉が”30リム”で、皮が”20リム”になりますす。解体して無い状態だと”1匹40リム”になりますので、可能なら解体した方がいいと思います」


 「解体自体したことが無いんだが、どこかで習うことは出来るのか?」


 「それでしたら、ギルド内の”解体所”に連絡を入れますので、お帰りになりましたら教えてください」


 「それは助かる!教えてもらえるなら、是非頼む!」


 トワはこのギルドに入ってから初めて笑った。受付嬢の顔に朱が差した。トワの顔は整っていて、二枚目と言える。そんな男が笑ったのだ。


 「か・・かしこまりました。先に連絡を入れますか?」


 「まだ昼前だし・・ユルイエの森は近くにあるのか?」


 「南門から出て1時間くらいになります」


 「じゃあ、今日中に来れるようにするので、連絡をしておいてほしい。ギルドは何時まで空いている?」


 「ギルドに関しては、一日中運営していますが、解体場は”夜の5つの鐘”が鳴るまでになりますので注意してください」


 鐘に関しては、地球時間で”2時間で一つ”鐘が鳴る。『朝1~6』『夜1~6』に鳴り、この鐘は魔法の道具マジックアイテムの一つであり正式名称は『刻の鐘』という。実際のところ作成者以外知らない不遇の存在である。ちなみに、”起きている人にしか聞こえない”と言う性能である。


 「了解した。それでは、行ってくる」


 「いってらっしゃいませ」


 俺はユルイエの森に向かった。



 □■□■□■□■□■


 「ここが”ユルイエの森”なのか・・・」


 まだ時間的には”夜1の鐘”が鳴る時間ぐらいだと思っていたら”鐘”の音が聞こえてきた。

 まあ、街から3、40kmくらいしか離れていないので別段不思議ではない。それよりも、もうここはモンスターのテリトリーなんだから気を引き締めないと・・・・・・。



 あれから体感的に10分。目の前に白い塊(・ ・ ・)が見えた。あれがホーンラビットなのだろうか?神眼のスキルで確認する。



 一角魔兎(ホーンラビット)


 LV1



 と表示が出た。『詳しくみたい』と念じると、


 一角魔兎(ホーンラビット)


 LV1


 スキル 突進


 

 恐らく現状では(・ ・ ・ ・)これで精一杯なのだろう・・・そう思いたい。

 気配に敏感そうなので、可能なら『遠距離』で悪くても『中距離』ええ戦いたい。


 「(アテンドールの話だと”魔法はイメージ”らしい。俺の種族が”エルフ”である以上『風』属性の魔法とは相性が好いんじゃないか?)」


 この推測は半分当たっている。エルフは一番『風』の適性が高く、『火』の適性が低い。これには理由があり”森とともに暮らす”性質によるものである。


 「(風を”刃”に纏わせ、『圧縮』する。抜き放ち、刀を振るとその”圧縮(・ ・)された(・ ・ ・)空気(・ ・)”が前方に飛ぶイメージをする・・・・・・)」


 トワは見ていないので知らないが、周辺の空気が刀に向かって流れていく。


 「シィッ!!」


 気合いと共に、鞘から刀を抜く。なんちゃって『抜刀術』である。本物を見たことがないので、マンガからの引用になる。

 ホーンラビットの首に向かい「ポトッ」と可愛らしい音が聞こえた気がする。初戦にして”10秒”イメージに手間取った割りに早くすんだ。

 本来なら初心者は、ホーンラビットの討伐で最初の怪我をする。それは情報不足が原因の一つであるが、ホーンラビット自体の大きさにもその要因がある。通常個体でも『3kg』くらいで、生まれてぐのくらいの大きさくらいしかない。


 「案外あっけないな・・・・・こんなものか?」


 実際はそんな訳ないのだが、チートを貰っている以上同ステータスの人以上に強くなる。さらにレベルも上がりやすいので、ステータス差は確実に広がっていく。この戦闘でトワが得た経験値は”1”であるが、”獲得経験値・増”と”必要経験値・減”の二つでLVが一つ上がった。

 少しずつ、着実に人外に近づいていく。(元々人族ではないので、エルフ外?なのか??)


 「”血抜き”はこのまま、逆さまにしておけばいいのか?」


 うろ覚えの知識で、ホーンラビットの後ろ足を持つ。まだある”温もり(・ ・ ・ ・)”は俺が命を奪った証拠でもある。目を瞑り黙祷を捧げる。最初で最後の『前世界』とも別れを済ませる。


 「この調子だと”3つの鐘”までにある程度の数を揃えられるはずだ」


 頑張るぞ!と密かに気合いを入れるが、これが最初の”天災”となるのは少し先の話だ。

 それからのトワは”サーチ&デストロイ”でホーンラビットを狩ってゆく。アイテムボックスには既に、30体のホーンラビットが入っている。

 あとは、猪魔獣(ファンゴ)が数体は入っている。ファンゴは”猪”その物だった。スキルは『突進』と『体当たり』だ。突進はそのまま、ファンゴの巨体が向かってくる。体当たりはその突進を支える脚を使って、飛びかかって?くるものだ。

 ”突進”も”体当たり”もファンゴも巨体の前には、区別の付けようがない。重量級の肉体()がぶつかってくるのだから。


 「こんなモノかな?」


 刀を納刀し、辺りを見回す。特に荒れた様子のない、静かな状態だ。

 誰がこの森の中で、モンスターの乱獲があったと思うだろうか。狩ったモンスターの体は、アイテムボックスの中に入っている。この世界(ヴェラリーズ)の住人は持っているモノだが、ソレの利便性には”感服”の一言しかない。


 「これだけ狩れば、練習(・ ・)する分で不足はないだろう」


 これだけでは済まない量を狩っているトワ(バカ)がここにいた。

 間違いなく、ギルドに波紋を呼び込むのは確実だ。そんな事を理解せ(考え)ず、自由奔放に生きるトワ故に、クオンに続く”天災(・ ・)”と言われるのだった。この事を知っているのは、当人以外になる。

 フィーレンに向かい、森の中から外に歩いて行く。その帰り道で見つけたモンスターは、その都度倒して行く。


 「こんなにモンスターって出るものなのか?」


 4,5時間くらいで大小合わせて、既に50体に及ぶ数を討伐していた。本来のこのユルイエの森は、初心者向けの低レベルのモンスターしかいない。数にしても、10時間で多くても20体が良いところになる。

 これは、体力の回復時間を加えての討伐数になる。実際のところ以上もいいところである。これほどの数だと”8級”では、継続戦闘出来ずにやられてしまうだけである。4人パーティーなら可能かも知れない・・・。


 「あまりにも多すぎないか?一応、ギルドに報告した方がいいかもな」


 襲いかかってくるモンスターに、辟易しながらも行動方針を考える。

 コレが知識にある”突発的増加(デ・マル・ギィ)”だとしたらかなり不味いことになりそうだ。警戒したほうがいざという時に、動きが鈍ることがないのだろう。こういった事例は2種類ある。


 一つ目が、先程上がった"突発的増加(デ・マル・ギィ)"である。名称のように突発的に増えるが、局所的(・ ・ ・)な増加であるのが特徴であり、この場合起こりえる場所は"魔力(マナ)"の豊富な地域になる。特に、ダンジョン攻略地と言い伝えられている土地に、その傾向が強く見られる。


 二つ目が、"爆発的増殖(リ・ヴァ・ギィ)"である。こちらも、名称のように爆発的に増える。しかし一つ目と違い、発生場所(・ ・ ・ ・)の特定が不可能である。何処からともなく、モンスターが押し寄せてくるのでこちらの方が、"災害(・ ・)"としては上になる。


 両方共に言えるのが、"ある日""突然""前触れもなく"起こるモノであることにある。アテンドールからの知識のには大体"10年に(・ ・ ・)一度(・ ・)"くらいの頻度であるらしい。そして、前回の発生は"2年前"である。

 アテンドールが言っていた、もう一つの世界(ラグドリーズ)で行われようとしている"勇者召喚(コール・エタニティ)"にあるのだろう。こんな事は、言えないが。


 「(この世界(ヴェラリーズ)の住人って、地球人(俺たち)と比べるまでもなく、健康的だよな?一部を除外して・・・・・・)」


 そんなことを考えながら、フィーレンに向かって歩いて行く。今は、着実に一歩づつ力をつけていこうと思った。

 お読みいただきありがとう御座います。

 誤字・脱字ありましたら連絡お願い致します。


 次回の更新は、3月5日の予定になります。

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