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俺式異世界冒険譚!  作者: 明智 烏兎
第八章 ~深淵から見つめる瞳~
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ポロリするハーレム

 ラハーサ村を出た俺達は船に乗り、次なる地『ディゴンド大陸』を目指していた。


「リースってさ、彼氏とかいる?」

「いい、いないですよっ! いきなり何言い出すンですかぁ!」


 俺の質問に顔を赤くして即答するリース。俺は首を傾げて続ける。


「そうなのか? でも、あの村じゃかなりモテてただろ?」

「全然モテてなんかないですよぅ。むしろ逆です、いっつも男の子に意地悪されてましたから……」


 それは好意の裏返しってヤツじゃないのか?


「でもさ、親衛隊とかファンクラブっぽいのはあるみたいだったけど」


 と、俺が言った時、いつからいたのかルナが話に混ざってきた。


「何? その親衛クラブって……?」

「ん~……簡単に言うとだな、『抜け駆けしたら承知しねぇぞ!』ってさ、その人を好きな人達が集まってお互いを見張り合う組織の事だよ」

「え、何よそれ、ホントに合ってるの?」

「多分に偏見も含まれてるよ」

「やっぱりそうじゃない。でもまぁ、何にしても悲しい集団よね。好きって気持ちがあるならさっさと本人に伝えて玉砕しちゃえばいいのに」


 淡々と怖い事を言うルナ。何で玉砕前提なのかという疑問もあるけど、そんな簡単に告白できたら苦労しないよ……。俺は心の中でそう呟きながら、


「そう言えばルナってモテる方なの? 町歩いてたらナンパされちゃったりとか、今までなかったよな?」


 と、気軽に質問してみた。するとルナはドヤ顔で腕組みして言った。


「ふっふ~ん、そっかそっか。カエデは知らないんだ。実は私……ううん、私だけじゃなくてセイラちゃんもティリスさんも、みんな結構ナンパされちゃってるんだなぁ~、これが!」


 ルナの言葉に、俺は声が出ないくらい大きな衝撃を受けた。まさかルナ達が俺の気付かないところでナンパされていたなんて……! まぁ、みんなかなり可愛いから当たり前と言えば当たり前だけど。


「うん? ……な~に? もしかしてショックだった?」

「ショックに決まってるだろ! 俺のハーレムに手を出す不届きな輩に、俺は今の今まで気付いてすらいなかったんだぞ!? あぁーーっ腹立つ!」

「ばっ……何がハーレムよっ! カエデってば、私達の事そんな目で見てたの?」


 ま、まずい! つい口が滑って本音をポロリしてしまった!


「い、いやぁ……ハーレムっていうか、そのぉ……い、いいだろ別に!」

「わぁ、開き直りましたね」


 リースが口元に手を当てて驚いている。


「うるさいぞリース。い、いいか二人とも、ハーレムって言っても、俺は別にイヤラシイ目でみんなの事を見てたわけじゃないぞ? そこだけは信じてくれ」

「えぇ~? ホントかなぁ~? カエデは煩悩の塊だから、私達の事見てエッチな妄想でもしてたんじゃないの?」


 するとルナは、スカートの裾をつまんでスッと持ち上げて見せる。うおぉ……み、見え……。


「ふ、ふん! リースにならともかく、少なくともルナみたいなお子ちゃまにイヤラシイ感情なんて湧かないね!」

「なぁぁっ!? 今すっっごい失礼な事言ったぁーーっ! 何なの!? やっぱりオッパイの差なの!?」

「あーそうだとも! 女の子の価値はオッパイで決まるといっても過言ではないね!」

「あああぁぁああのっ! お二人ともっ! ここは船の上ですよよよ~~……」

「いいわよ! そこまで言うなら私も大きくなってやろうじゃない! リースちゃん!」

「は、はいぃっ!?」

「どうやったらオッパイ大きくなるの!? 今すぐ教えて!」

「ええ~~!? し、知らな……」

「嘘だッ! ……あ~、そう。リースちゃん自分が大きいからって、私には教えないつもりなんだ~」

「そ、そんなつもりは! え~っとえ~っと……よく聞くのは、好きな人に揉んでもらうとか、ですけど……」


 あ~、それは俺も聞いた事があるな…………ん? 待てよ? それってつまり、リースの胸が大きいのは好きな人に揉んでもらってたからって事かっ!? い、いや、早まるな俺……リースはあくまで俗説を言っただけ。うん、きっとそうだ。


「ほらっ、やっぱりそういう裏技があるんじゃない! そうと分かれば、カエデ!」

「ん?」

「私のオッパイ揉みなさい」

「……はぁッ!?」


 全く予想していなかった不意打ちの一言に、俺は不覚にも即答する事ができなかった。ルナも言った後に自分の言葉が失言だった事に気付いたらしく、俺と同じタイミングで同じように間抜けな声を上げていた。


「やだっ! 私ッ……わあああぁぁっ馬鹿ぁぁぁーーーーっっ!!」


 ぴゅーん、という効果音でも聞こえてきそうな勢いで俺の前から走り去っていくルナ。あ~……まぁ、気持ちは分かる。自分からあんな発言をしてしまったわけだし。きっとショックを受けているだろうから、急いで追いかけてあげた方がいいのかな……で、追いついた先で「嫌ッ! 離してよ、何で追いかけてきたの!?」と言うルナに「望み通りオッパイを揉みに来た」と俺は優しく答えて……って馬鹿野郎っ! またかよリースッ、またお前の妄想癖が俺に移って……いやいや、何でもかんでもリースのせいにしちゃダメだよな。はぁ、一回落ち着こう。

 ……ん? ちょっと待てよ? オッパイ揉みなさいのインパクトで塗り潰されてたけど、もっと重大な事がルナの発言には隠されている。それは……、


(ルナの好きな人って……つまり……俺?)


 またしても、あり得ない妄想が頭の中に浮かぶ。でも……今だけはこの馬鹿げた妄想に、もう少しだけ浸っていても、いいよな……?

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