67 お婆ちゃん家のお米は、あちこちにあるワンコイン精米機で精米したものだからか、ちょいちょいあったんですよ。緑色だったり黒色だったりしたお米。
誤字報告ありがとうございます!
助かります!
お城の中をぶらついていると、ついつい目に入るのが壁。
あっちこっちヘコんでいるし、何かが刺さったような跡が見られる。
ユランさんと計画を練ったりしている間に、今夜も戦いがあったようだ。
その割には、私の体が寝ている部屋周りは静かだったなぁ……。
お昼ごはんの用意をしているコックさん達を見学し、レシピをアールさんに送りまくった。
アールさんもきっとご飯を食べたいだろうけれど……すまぬ!アールさん!でもレシピは大事なんだー!
そして私、ブラインドタッチ出来るようになった!
めっちゃ速いコックさん達の動きを目で追いながら、キーボードを打っていたおかげで成長したようだった。すごいぞ私!
……今更キーボードを速く打てるようになっても、コックさん達を目で追う時くらいしか使えそうにないんだけれども!
お昼が終わって、部屋に戻ろうと廊下を進んでいると、美少女ラピスちゃんと護衛のルードヴィッヒさんが歩いていた。
向かう先は……私の眠っている部屋?
「……ここです……。」
「こちらに聖女様がいらっしゃるのですね。……しかし、何人か先客がいるようです。ラピス様、こちらに隠れてください。」
ルードヴィッヒさんは、私の部屋まではまだ距離があるというのに、誰かいる事に気付いているみたい。ラピスちゃんを死角に隠して様子を窺うことにしたようだ。
このお城、今はあっちこっちの壁がヘコむくらい殺伐としているからね。私の部屋にいる人もきっとその関係の人達だろうし、安易にラピスちゃんと会わせない方が良いと判断したんだろうな。
……相変わらず、出来る男感あるよね。
私がギベオン王国から逃げるときにも、夜中とは言え誰にも会わずに逃げられた。それに、私が生きて出られるように計らってくれたもんね。
金髪サラッサラのイケメンで護衛も優秀で……完璧だね!
……最後に嘘を吐かれなかったらなぁ……。もっと信頼していたかもしれないけれど。
でも、むしろ信頼出来ないと思えたから、その後も油断せずにいられたのかもしれない……。
うん。ちょっとだけルードヴィッヒさんにも感謝だね。
しばらく様子見をしていたけれど、部屋の中の人間は動く事がなかったみたい。
ルードヴィッヒさんはラピスちゃんに相談してから引き返していった。
私の寝ている姿を見たら、ルードヴィッヒさんビックリするかなぁ……。
ルードヴィッヒさんとラピスちゃんが去って行くのを見送ってから、自分の寝ている部屋を見る事にしてみた。
男達が、私の張ったバーリアーに一生懸命攻撃している……。
めっちゃ斬りかかっているし、魔法や魔道具使っているし……。容赦無いな!
指揮しているのは皇帝の長男、確かタブロさんだったかな?腕を組んで攻撃しているのを見ている。
しばらくしてタブロさんは攻撃していた一人に話しかけた。
「やはり、びくともしないか……。」
「はい……。この結界、耐久性が高すぎます。さすが聖女の力、と言ったところでしょうか……。」
「ラピスの言っていた通りのようだな。別の手を考えた方が良いだろう。」
「はい。」
あ、ラピスちゃんの名前が出た。
……そういえばお兄ちゃん達を使うとか何とか言っていたなぁ。
じゃぁ、これはラピスちゃんの計画通りなのかな?
別の方法を考えるために、タブロさんとお付きの人達は何処かへ行った。
そして時間を空けて、四男、五男も同じような事をしていった。……うん。みんな考えることは一緒なんだね。そして二人も帰っていった。
あれだけ攻撃を受けて、バーリアーに使われたお金はどのくらいだったのだろう?今後の参考に、見にいってみようかな。
やって参りました!宝物庫!
相変わらず金ピカだね。今日はちょっとじっくり見てみようかな。
まずはお金。
……うん。減っているのかわからない。自分が触った場所の金貨が減っていたと思うから、その触った場所を探していたんだけれど……わかんないね!
あれだ、お米を研いでいて、あれ?今精米しきれていない、緑色のお米があったかな?って思っても瞬きしている間にわからなくなるやつ。そんな感じ。あれ腹立つんだよねー。
金貨ってとっても価値高いし、一枚でも結構保つんだろうなぁ……。バーリアーの規模もそんなに大きく無いから余計かな?
若干わかってはいたけれど、これじゃぁ何もわからないね!とりあえず、どんなに攻撃されても大丈夫って事にしておこう!
次に周りのお宝群。
金色ばっかりが目に入りがちなんだけれど、他に面白いもの無いかなーとぶらぶらしてみる。
壁際に本棚があるのが目に入った。本もお宝扱いなのかな?
吸い寄せられるように本棚に向かい、じっくり見てみる。
本はどれも金色の装飾がされていてここも金ピカしていた。……本の価値って中身じゃないの?と思わなくもないけれど、装飾も中身も凄いのかもしれない。
誰もいない事を確認して、一つを触ってみた。
ユランさんに聞いたところ、壁を触れるのと同じように、意識すれば物を持つ事も出来るのだそうだ。凄いよね!霊体化!
ただし、いつものようにってわけにはいかないみたいで、とんでもなく重くなるらしい。
……一緒にしてはいけないんだろうけれど、よく映画とかで幽霊が物をボンボン飛ばしたりするじゃん。あれってめっちゃ大変だったのかもしれないね。幽霊さんはムキムキだったのかも……。筋肉に物を言わせて物をぶん投げてた……ちょっと面白いかも。……いや、それはそれで怖いのかな?
脱線した!
そんなわけで、本を一つ取ってみる。
……うぐぐぐぐぐぐ。
重いってもんじゃない!何これ鉄の塊?ってくらいずっしりしてるよ!
「ふんぬううううぅぅぅ!」
ゴゴゴゴゴゴ……って音が聞こえそうなくらいゆっくりと、本が出てきた。これ、引っ張るだけでも大変なのに、持って読むなんて出来そうにないよ。
大変申し訳無いけれど、あまり衝撃を与えないように気を付けながら床に落とした。
ポスン。
うん。持っていた時と落ちた時の音の落差よ……。
落とした時、本の中から何か飛び出していった。
慌てて拾いに行くと……。
「こ、このノートは!」
よしのちゃんノート!前のものよりも色鮮やかにデコレーションされている表紙……。なんだかノート作成技術が上がっているように思える。
まさかのここでよしのちゃんノートに出会えるとは……冒険してみるものだなぁ……。
持ち上げようとしたけれど、やっぱり重い。仕方がないのでこのままここで読もう。
両手でなんとか表紙をめくると、デカデカと書いてある文字。よしのののーと!は変わらずのようで、なんだか安心する。
内容を読むと、彼女のノートが何故ここにあるのかがわかった。
彼女がいた時代でも、帝国は聖女を狙っていた。というか、帝国のせいで召喚されていたようだ。
よしのちゃんも周りの人を人質に、帝国に連れてこられたらしい。
そこで色々な料理を広め、新たな食材を開拓して貧困した人々を救った。その後、当時の皇帝の隙を突いて人質と共に逃げたそうな。
相変わらず強いなー、よしのちゃん。
よしのちゃん曰く、新しい料理や食材は帝国の発展を手助けするだろうから、施しはしてやった。だからもう出ていっても良いだろう。という考えだったらしい。
無理やり連れてこられたのに、優しいなー。さすが聖女様!
ノートの最後の方に、あまりにも食事が不味すぎて耐えられなかったから、仕方なく教えてあげたんだからね!って書いてあった。
ツンデレか!とツッコミながら、ちょっと笑ってしまった。
市販のお米を研いでいると思うんです。
真っ白だなーって。
田舎の道路にはあちこちに精米機が置いてあります。大体30キロ300円くらいで精米してくれます。精米中の音は凄いです。ガンガララララガンガララララ……。
研ぐと、すんごい白い水が出まくります。それも旨味だそうですので、二〜三回くらいしか研がないようにしています。




