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閑話 イケメンチャラ冒険者の気遣い

 マディラ視点の閑話です。

 いつもより、ちょっと短めです。


 誤字報告、ありがとうございます!

 チカちゃんが動き始めた。

 この時は、僕は何をするのかは知らないし、ひっそりと見守ろうと思っていたんだ。



 「おはようございます!ギルドに許可を得まして、こちらで数日お弁当の販売を行っております!今日は皆さまにお弁当の味を知ってもらうために、試食をお配りしております!どうぞ持って行って食べてみてくださいー!」


 コッメを守るための作戦として、味を知ってもらうっていうのは良くあるかなとは思うけれど、試食を配るっていうのは想像しなかったなー。なかなか大胆な行動だと思う。


 一生懸命に広めようとするチカちゃんの様子を遠くから見つつ、昨日の事を思い出す。




 コッメを見た瞬間のチカちゃんの驚きと喜びよう。それを気付かれないように見つめるアイちゃん。


 依頼の手伝いをしたいと言ったチカちゃんに、自分が一人増えたようなものだと言われ、確かになぁと思っていたんだけど……隣からめっちゃ冷気が発されて慌ててフォローしたんだよねー。


 誰か褒めてー!


 まぁ、グランディディ王国には行きたいし、ついでにコッメの依頼を受けるのは全然良いのだけれど。

 そんな出来事を思い出していると、ギルド内の男どもがチカちゃんに近づいていくのが見えた。


 アールっていうおっさんもいるから問題はないだろうけれど、一応僕も近くに行っておくかなー。


 いつものやりとりをして、ここに知り合いの男がいるんだぞーと軽く牽制をしておく。案の定、男どもはちらりと僕を見て潔く去って行く。



 ふぅ。まったく……。

 チカちゃんには、少し自覚して欲しいものだ。


 最初に見たときはだいぶやつれて疲れた顔をしていたけれど、エンジュ共和国に来て暮らすようになってから、肌艶も良くなって健康的になってきた。髪も最初は首の後ろで縛るだけだったのに、最近は色々な結び方を街の人から教えてもらったらしく……ようは、可愛らしくなった。


 おかげで最近、アイちゃんの目つきが戦場か?と思うほどになってきている。

 僕はそれも見て笑っているけれど。


 でも、チカちゃんが変な男にちょっかいかけられるのは見たくないし、そうなったときのアイちゃんが怖すぎるので、助けに入っている。



 ……それにしても、今日はなんで来なかったのかな?アイちゃん。一日目が一番気になるだろうに。



 チカちゃんの販売が落ち着いたのを見て、僕はギルドを出た。


 ふらふらと街中を見ていると、細い路地にでかい男がいるのを発見した。意識して見ていないと見つからないだろう、建物の影に馴染んでいる。男はこちらに背を向けていた。

 声をかける直前に、男の元から一羽の鳥が飛び立つのが見えた。


 鳥を目で追っていると、アイちゃんがこちらに気付いた。


 「……マディラか。」

 「うん。何かあったー?」

 「いや。予感がする、程度だそうだ。」

 「そう。なんともないといいねー。」


 アイちゃんが大通りに出てくるのを待って、一緒に歩き始める。このまま今日はどこかで狩りをするかな。


 「アイちゃんが来なかったから、チカちゃんの勇姿は僕が見てきたよー。」

 「そうか。大丈夫だったか?」

 「うん。とりあえず初日は問題なさそうだったよ。でも、明日はちゃんと見てきた方が良いかもよー。」

 「そうだな。明日は必ず見に行く。」

 「そういえばさー、チカちゃんはいつの間にアイちゃんを呼び捨てするようにになったのさー!びっくりしたよー。」

 「……。」

 「あ!思い出しむっつりめ!アイちゃんは変態さんだなー!」


 アイちゃんが何も言わないのを良いように受け取り、いじって遊ぶ。

 ちょいちょいからかって、アイちゃんがムッとしたところで話を変える事にする。あまり長いこといじると怒り出すからね。アイちゃんで遊ぶのは結構タイミングが大事なんだよねー。


 「明日見に行くなら、チカちゃんに気付かれない位置で見ていると良いよー。」

 「……?」

 「芽は早いうちに潰すに限るからねー。」

 「良く分からないが……そうか。」

 「うんうん。」


 予感の方も……ね。あの人の予感は予言に近いし……。



 明日チカちゃんに声をかけようとする男たちを見たら、アイちゃんどんな顔するかなー!


 アイちゃんにバレないように隠れて見に行こうっと!


 

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