15 かわいいお尻
「はは、虎児郎だけだよ、タオルで隠しているのは」
美沙が笑う。
志乃ちゃんが僕の耳元に寄って来る。
「ここでご奉仕しちゃいますよ。私も、美沙も、穂香ちゃんも。上杉さんもしちゃうかも。さあさあ遠慮しないで」
「な、何をするって言うの……」
僕は雌ライオンに狙われたウサギの気分。
「ふふっ虎児郎さんがされたいことを何でもですよ。ぺろぺろとか、ボディ洗いとか」
「……」
絶句。
「ふん、虎児郎君はへタレだからねー」
向き合って座った上杉さんが鼻で笑っている。
「まあそうですよ、悪いですか」
ちょっと拗ねてみる。
「ふふん、私の裸、見えてるかなー」
「いえ、水面下は見えません」
「見たくてしょうがないって顔してるわねー」
「見たくありません。見たら殺すんでしょ」
「ふふっ高校生男子だとしょうがないかー」
上杉さんは僕の答えを無視して、一方的に決めつけて挑発的な目で笑っている。
マズい……
マズすぎる……
全裸の美女4人に取り囲まれてしまった。
退路を断たれて、僕が動けば必ず誰かに捕まってしまう。
まさに四面楚歌……絶対絶命……
みんな、僕にちょっとずつにじり寄って、包囲網を狭められている気がするし。
もはやご奉仕してもらうしかないのか……
いいんじゃない……僕って王様になってもいい立場だよね。
みんなにしてもらったら……
うう……僕まで悪い子になってしまいそう。志乃ちゃんの周囲を魔界にする妖気が強力すぎる。
なっちゃうか……悪い子に――
暗黒面に僕が堕ちかけたその時――
「あ、蜂!」
美沙が指差した。
上杉さんのそばに黄色くて大きな蜂が飛んできている。
「ひぇええ、スズメバチ!?」
上杉さんが怯える。
「いやこれは、アシナガバチですっ スズメバチほどの毒はないやつですが、動くと追いかけて来ます。あっ――じっとしてっ」
僕が叫ぶけど、恐怖に囚われた上杉さんの耳には入っていない。
「いやああああああああああああ」
パニクった上杉さんは振り向いて立ち上がる。かわいいお尻が丸出しだ。
あかんちゅうのに、大声で動いて刺激したら。
「待って――」
僕は起き上がり、右手で上杉さんの左手首をつかむ。
蜂が上杉さんの背中に飛んでくる。
左手で蜂を追い払った。
僕は上杉さんを引き寄せながら覆い被さるようにして、上杉さんを温泉に沈めた。
潜ってた方が安全だ。
盛大に飛沫が跳ね上がる。
ちくっ
いてっ背中を刺された。
ちくっ
また刺された。いってー
上杉さんを刺せなくなったからって、僕を刺しやがった。
僕は上杉さんをガードしているから抗うことができない。
アシナガバチはミツバチと違って何度も刺せるんだよな。ガキの頃によく刺されたものだ。
「こらーあっちいけ」
美沙、穂香ちゃん、志乃ちゃんが手でお湯を跳ね飛ばして追い払おうとしてくれている。
「げほっげほっげほっ」
上杉さんが頭を出してむせる。
「行ったよー虎児郎」
美沙の声にほっとする。
上杉さんと裸で密着していることに、はっとした。
慌てて身を離す。タオルは腰に巻かれたままだから、誰にも股間は見られていないはずだ。
「上杉さん、大丈夫ですか、刺されてないですか」
かなり間合いを取って、お風呂につかってから声を掛ける。
上杉さんの背中とお尻しか見ていないけど、恥ずかしい気持ちでいっぱいだ。
「けほっ大丈夫」
「虎児郎は大丈夫なの?」
美沙が寄ってきて心配してくれる。
「2回、刺された」
「えー大変、救急車!!」
穂香ちゃんが真っ青になる。
「大丈夫だよ、アシナガバチくらい」
笑って、たくましいところを見せつける。
「私の代わりに刺されたの!?」
上杉さんがこっちを向いて唖然とした。
「まあ、そうかな。でも僕が上杉さんを追いかけたから刺されたのかもしれないですよ。ほっとけば良かったのかも」
僕は恩に着せるつもりはない。
「ご、ごめんなさい。私、怖くなって、どうしたらいいかわからなくて」
上杉さんがものすごく申し訳なさそうに話す。
「仕方ありません、上杉さんは都会っ子ですからね」
「ほんとに虎児郎君は刺されて大丈夫なの!?」
「美沙と野山で遊んでて、よく刺されましたからね。慣れたもんです」
「2回目に刺されたら起きるっていうアナフィラキシーショックにならないの!?」
「今さら起きないんじゃないですか」
起きるんだったら、3、4回は死んでいる。
「今まで大丈夫でも、体質が変わっているかも。ショックが起きる前に服を着ておいた方がいいよっ」
上杉さんが焦りまくっている。
「えええ、温泉から出ないといけないの?」
「早くっ」
急かされて、しぶしぶな感じで温泉から出る。
本音は逃げられて、ほーっとしている。
「私も上がるね」
後ろで穂香ちゃんがついてくる。
「ここは救急車が来るまで時間がかかるから、虎児郎君がショック状態になったら、車で運ばなくちゃ」
大事になってきた。
「「「私も」」」
上杉さん、美沙、志乃ちゃんも続々と温泉から出る音がする。
みんな、ちゃんとバスタオル巻き付けているんだろうな。怖くて振り返れない。
もっと過激な展開を期待された方には裏切るような形になって申し訳ございません。m(_ _)m
これ以上は不適切な描写とされかねませんので、これでご容赦いただきますと幸いです。
(基準がよくわかっておらず、すでにNGかもしれません。通報しないでいただけるとありがたいです)
次回、完結です。




