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10 ポッキーゲーム

 時刻は8時半。

 寝るにはまだ早い。


「何しようね」

 穂香ちゃんが呟く。


「はいはーい、みんなでゲームがしたいでーす」

 志乃ちゃんが元気に手を上げる。


「何のゲーム?」

 怪訝そうにする美沙。


「へへへ、ポッキーゲームしましょうよ」

 志乃ちゃんが邪悪な笑みを浮かべる。


「ポッキー?」


 キョトンとする美沙をほっといて、志乃ちゃんは自分のリュックに駆け寄る。

 赤いポッキーの箱を手にして戻ってきた。


「ポッキーゲームは若い男女が盛り上がること間違いなしの鉄板のゲームですっ」


「ポッキーでどうするの?」

 美沙が不思議そうに見ている。


 僕も知らない。上杉さんも穂香ちゃんも首を傾げている。

 志乃ちゃんが箱を開けて、ポッキーを一本つまみ出す。


「こほん、ルールを説明します。まずポッキーを口にくわえます」

「ふんふん」


「もう片方、別の人がくわへまふ」


「えええ!?」

 唖然とする僕に、志乃ちゃんがポッキーをくわえて反対側を突き出してくる。


 顔がめっちゃ近い。


 志乃ちゃんはポッキーを指でつまんで、口から離す。

「でもって、スタートの合図で両側からかじっていきます」


「うっそー」

 穂香ちゃんが口に手を当てて驚いている。


「はい、かじっていったら、いつかキスしちゃいますよね。キスしちゃったら負けです。だからギリギリのところで止めてください」


「や、止めるのね」


「ルールや勝敗をどうするかは参加者によって変わりますが、今日は私から特別ルールを提案させていただきます」

 志乃ちゃんは一度言葉を切る。


 全員が息を呑んで聞き入っている。


「虎児郎さんと女子4人が、それぞれポッキーゲームを行います。そして、キスしないギリギリのところまでかじっていって、一番短くした女子が勝ちです」


「はあああああ!?」

 僕は呆れ返った。なぜ僕だけがいつも片側をするのだ。


「だって虎児郎さんしか男子がいません。女子どおしでやっても盛り上がりませんからね。ポッキーゲームは男女でやってこそ盛り上がるんです。もしキスしちゃったらどうしようっていうドキドキ感がたまりませんよね」


 力説する志乃ちゃん。


「虎児郎君とキス!? きゃー!?」

 穂香ちゃんが真っ赤な顔で悶えている。


「キスしたら負けですからね」

 志乃ちゃんが念押しする。


「それは負けなのかなー」

 上杉さんが腕組みして考え込んでいる。


「いや、それは考えるまでもなく負けでしょう」

 僕が指摘すると、上杉さんは

「ばか」

と呟いてプイッと顔を背けた。


「まあ、おっしゃるとおり、キスしたら負けじゃなくて、むしろ勝ちですよね」

 志乃ちゃんが頷く。


「えーなんで?」

 美沙と僕だけがよくわかってない。美沙はアホの子だから、負けっていうルールなら負けだと思っているようだ。


「うん、全員が虎児郎君とキスして勝敗がつかないよね」

 穂香ちゃんの小声が聞き取りにくい。


「確信犯的にキスしちゃうことを防がないといけませんね。キスした人には罰ゲームをしてもらいましょう」

 志乃ちゃんが追加の提案。


「当然ね」

 上杉さんは深くうなずいている。


「キスした人の罰ゲームは、ズバリ、裸になってもらいます。あられもない姿を虎児郎さんに凝視されちゃうことにしましょう」


 志乃ちゃんが上杉さんを横目で見る。

 ズルをする余地があるかを見破れるのは上杉さんだけだと確認を求めているようだ。


「ふん、女狐は裸になるのが平気なんじゃない?」

 上杉さんは即座に言い返す。


 あ、そっか。裸を見られてもいい子だったら罰ゲームになってない。

 志乃ちゃんは僕に何度もおっぱいを見せている。今さら隠す気はないだろう。


 上杉さんは志乃ちゃんが僕を誘惑していたことに気づいていたかわからないけど、ルールの穴をあっさり見破ってしまった。


 さすがに頭がいい人は違うな。


 上杉さんは当然、僕に裸を絶対に見せるつもりはない。

 美沙はアホだから、ルールを守って、キスしないよう気をつける。


 穂香ちゃんが僕を大好きというのは志乃ちゃんに気づかれてそうだ。でも穂香ちゃんは先生という立場上、みんなの前でキスするわけにいかないし、裸にもなりたくない。


 志乃ちゃんだけが裸になるのが平気。他の女子には効果的な罰ゲームだが、自分はダメージを受けない。


 なんと巧妙に考えられていることか。志乃ちゃんのネコ科の猛獣のような高い知能にうならされる。


 上杉さんが僕の方を向く。


「もう一つ条件を追加したい。虎児郎君、賞金を出してほしいなー」

 子供がお駄賃をせがむように右の手の平を出した。


「はあ、いいっすよ」

 ゲームには賞品があってしかるべきだよな。超絶金持ちの僕が払うものだろう。


「一位、1億円」

 上杉さんがさらりと言う。


「は?」

 みんながポカーンとなる。


「二位、5千万。三位、1千万。最下位はなし。そんなとこね」


「多すぎよ」

 穂香ちゃんがたしなめる。


「いや、これくらいの賞金を設定しないと、あの女狐の自爆テロは防げない」

 上杉さんは険しい顔を志乃ちゃんに向けていた。


 いくら僕の気を引こうと狙っている志乃ちゃんといえども、僕とキスするよりも賞金がほしいだろう。

 アホな僕でも、賞金を設定させた上杉さんの意図がわかった。

 

 余興で普通、宝くじ並みの高額賞金はありえないよな。

 だが面白い。1億だろうが、僕にとっては小金。気前よくご褒美をあげる王様みたいだ。


「いいですよ、その賞金額でいきましょう」

 僕がニヤリとして言い放つと、志乃ちゃんが飛び跳ねて喜ぶ。


 上杉さんは満足そうに頷き、穂香ちゃんは呆れ顔だ。


 ようやくポッキーゲームのルールが決まった。


 女子と僕がポッキーを両側からかじっていく。

 短くした子ほど勝ち。


 賞金は一位1億、二位5千万、三位1千万。

 キスした子は罰ゲームで裸になる。


 あと、ポッキーが折れてしまった場合は失格と決まった。罰ゲームはなしだが、賞金はもらえない。

非リア充作者はポッキーゲームをやったことがありません。


続きは想像で書きますので、違っていたら申し訳ございません。

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