8 卓球
「いっくよー」
美沙が軽くサーブ。
小学校で卓球をちょっとやったことがあるくらいで、やり方忘れている。
「部活漬けの美沙には勝てないよ」
何とか打ち返しながら言う。
「私は虎児郎と遊べたらいいんだよぉ」
美沙は久しぶりに僕と戯れるのがとても嬉しいようで、いい笑顔をする。
手加減しているみたいで、ゆっくりとした球が返ってくる。
「そらっ」
これなら打ち返せる。
「えへへっ」
美沙も打ち返す。
キャッチボールのようなゆるいラリーを十回くらい続ける。
「むむ」
当然のことながら美沙の浴衣が緩んできている。
球を目で追いながらも、美沙の胸元が気になってしょうがない。高校生男子だから。
もしかして、左右に球を振ったら、美沙の動きが大きくなって、浴衣がもっと乱れるんじゃないか。邪なことを思いつく。
「よーし、もうちょっと難しくしようぜ、美沙」
今まで美沙の近くに打ち返していた球を、かなり左側に打ち返した。
「ひゃあ」
突然、球筋が変わって美沙が慌てる。
コートの隅でバウンドした球は美沙からかなり離れたところに跳んでいく。
必死に追いかけて手を伸ばした美沙は、予想どおり胸元がはだけた。
谷間や膨らみが見える。よし、美沙もブラジャーをしていない。
美沙が何とか打ち返した球は僕の真正面に来る。
今度は逆側に――
「それっ」
「なんのー」
アホの美沙は僕の企みに気づかない。反転して真剣に球を追いかける。
打ち返す時、胸元が大きく開く。
あと少しで乳首が見えるというところまで片乳が見えてしまった。
僕は球よりも美沙の胸を見ていたから、球を打ち返すのには失敗。球はラケットにかすりもせず、背後に跳んでいった。
「やったー」
美沙が無邪気に喜ぶ。難しい球を打ち返してさぞやうれしいのだろう。
「やるな。今のは打ち返せないと思って油断した」
僕は美沙を褒めておく。
この調子で左右に振りまくってやれば、美沙のおっぱいを見れそうだ。美沙とは幼なじみだが、おっぱいはまだ見たことがないんだよね。
「もう一回だ」
まずは真ん中らへんに打ち込む。美沙から返ってきた球を今度は右端に向けて打つ。
「く」
美沙はなんとか追いついて打ち返す。
「上手いなっ」
今度は左。
その次は右。左と見せかけて右。
美沙が大きく動くたびに胸元が見える。
もうちょっと、もうちょっとだ。
きっとピンク色の美沙の乳首が見えるはず。
「はーい、こうたーい」
志乃ちゃんの声が響く。
そんな、いいとこなのに。
点を数えてないし、勝利条件を決めてなかったけどさ。
志乃ちゃんが美沙からラケットを奪い取る。
もしかして僕の企みに気付いて止めたのか。
くそ、志乃ちゃんめ、恨むぞ。
志乃ちゃんが僕と対峙する。
「行きます」
軽くサーブした球が僕の手前に来る。ちょうど打ちごろ。
「それっ」
僕は怒りを叩きつける。
渾身の威力が乗った球は志乃ちゃんの右隅に刺さる。
志乃ちゃんが必死に追うが、ラケットにかすっただけで後ろに落ちる。
「すごい、虎児郎さん、上手」
尊敬の眼差しを向けられる。
エロい気持ちがエネルギー源だから、誇れたものじゃない。
それからも僕らしからぬ好プレーを連発して、志乃ちゃんを翻弄。
「あっつー」
志乃ちゃんは帯の位置をずらして緩める。
胸元が開いた。
「まだまだ。行きますっ」
志乃ちゃんの掛け声は気合いがこもっている。しかし言葉とは裏腹に、打ちごろの球が来る。
もしかしてこれって接待卓球?
僕が上手くやれているのは志乃ちゃんが手加減しまくっているからか。
「もう、虎児郎さん、上手すぎる」
志乃ちゃんは必死に動いて見せる。激しく動くから胸元がはだける。
志乃ちゃんもブラをつけていない。控えめな膨らみが見えちゃいそう。
これは絶対に志乃ちゃんのサービスだ。美沙の胸を見られたくないっていう嫉妬心で、志乃ちゃんは交代した。
「よしっ」
僕は思いっきり、左右に球を振りまくる。
「あんっ」
志乃ちゃんは困った様子で追いかける。
大きく腕を振った時、ついに見えた気がした。志乃ちゃんのおっぱいが。ピンク色っぽかったのは乳首じゃないのかな。
小ぶりなおっぱいの方が見えやすいのだ。美沙や穂香ちゃんはおっぱいが大きいから浴衣に引っかかるけど、志乃ちゃんのは引っかからない。
「ああもうダメ」
志乃ちゃんが伸ばしたラケットの横を球が通り過ぎて行く。僕の得点だ。
転がった球を志乃ちゃんが拾ってくる。
僕は志乃ちゃんのおっぱいを見ちゃった気がしてならなくて、ものすごくドキドキしている。
エッチなサイトで、おっぱいは見たことがあるけど、生で見るのは初めてだから。
「ふふふ」
志乃ちゃんが僕の顔を見つめて微笑する。
ん、もしかして僕がこっそり見ちゃったことがバレてる!?
接待卓球をしている志乃ちゃんだから、おっぱいを見せることまでサービスに含まれているのか。
全て志乃ちゃんの手の平の上で転がされていて、僕は志乃ちゃんの虜にされつつあるんじゃ。
「ほんとにあっつー」
志乃ちゃんが襟をつまんでパタパタする。見てはいけないとわかっているのに、視線が行かずにはいられない。だってもう一度見たいもん。
待て、これこそ志乃ちゃんの思う壺だ。この子は純真そうで、実は肉食獣、小悪魔だ。惹きつけられたら、穂香ちゃんや美沙の僕に対する信頼を失って大変なことになる。
僕は超人的な精神力でもって、視線を逸らした。
上杉さんの方を向く。
「あー疲れた。交代しましょう、上杉さん」
「やってみたーい」
上杉さんが気軽に応じてくれたので、ラケットを渡す。
「私も」
志乃ちゃんも穂香ちゃんに交代する。
僕の相手をすることにしか興味がなさげだ。やはり志乃ちゃんは僕を狙っている。
志乃ちゃんは浴衣の乱れを直して、帯を締め直す。ため息がきこえてきた。あと一押しだったのにと言いたそうだ。
いつもは鈍感極まりない僕だが、志乃ちゃんほど露骨に狙われたらさすがに気づく。すっかり心を奪われそうだったから気をつけよう。
卓球を全員で1時間ほどやって、汗だくになってしまった。
後でまた温泉に入って、新しい浴衣に着替えることにしよう。
はたして、志乃ちゃんの誘惑に虎児郎の精神力は持ちこたえることができるのか




