表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/171

30 後日談

 蒲の変態ぶりが知られ渡ったわりに、集団訴訟のことはほとんど話題にならなかった。

 上杉さんが新聞社やテレビ局に圧力を掛けてくれて、記事にされずにすんだのだ。


 クリスタル自動車とのバトルで名を上げた上杉さんは、あちこちの大企業の顧問弁護士に就任している。

 新聞社やテレビ局は広告を止められるのを恐れたそうだ。


「マスゴミなんて、広告料を脅し取るヤクザに過ぎないんだよねー」

と言う上杉さん。

 体はちっちゃいのに、大勢の新聞記者とかをひれ伏せさせてすごい人だよ。


 上杉さんは「遊園地に付き合わってくれたお礼なんだから。虎児郎君のことなんか好きでもなんでもないから勘違いしないでよねー」と無理やりなテンプレ発言をしつつも、快く協力してくれたので本当に助かった。


 ただし、ネットの掲示板には、蒲に女子バレー部員が汚されていたと真相が少しは書き込まれた。

 だがサユリさんが速攻で書き込みを改変してくれた。


 蒲が汚していたのは老女であって、バレー部員は無垢だと。


 上杉さんとサユリさんのおかげで、情報戦でも完全勝利。


 バレー部専用体育館の建設工事ももうじき始まる。専用のトレーニングマシンが完備された練習環境があればさらに上達することだろう。


 カス高は私立だからいくらでも融通が利く。公立だと、教育委員会がうるさそうだが。


 なお余談だが、ド底辺だった僕や美沙が公立ではなく私立に通うのは高校無償化制度の恩恵を受けたものだ。

 僕に対して、税金の無駄遣いと罵る奴もいたので、学校に多額の寄付をすることでついでに負い目をなくしておくことにする。


 ちなみに、ド田舎のうちの県だと、頭のいい奴は公立に行き、落ちこぼれが私立に行く。都会とは事情が真逆なのだ。


 新しい女性の指導者も近々着任する。

 今までは、バレーが上手くても、蒲のお気に入りにならなくて控え選手に甘んじている部員も多かった。


 これからは実力で評価されるとあって、全員が燃えている。

 

 蒲の獣欲のせいで、バレー部は歪んでいた。

 それでも全国優勝を狙えるほど強かったから、今後どれほど強くなるかと期待が高まる。


 しかし、全部が全部いいことでもない。

 美沙のスポーツ推薦やレギュラーになる話はなくなった。

 

 志乃ちゃんというライバルの子の方が上手いらしいので仕方がない。

 でも美沙は落ち込んでいるかというと、そんなことはない。


 美沙が電話でうれしそうに話す。

「私ね、志乃ちゃんに謝ったんだ。私が、蒲に従いかけたことでスポーツ推薦とレギュラーをつかみそうだったことをね。志乃ちゃんに軽蔑されると思っていたけど、志乃ちゃんは許してくれたよ。これからは正々堂々レギュラーを競おうって」


 聞いていて涙が出てくる。


 美しい青春だ。

 これこそあるべき高校の部活じゃないか。


 部活って、24時間365日練習漬けで、生徒が考える間もなく奴隷のように従わせるのが目的のブラックなところが多いからな。


 僕は部活に入る気になれなかった。

 でも、もし自分が女だったら、カス高のバレー部に入ってみたいかも。そんなありえない妄想をするのであった。


 ◆◇◆


 女子バレー部の問題が解決して、久しぶりに悩み事のない日々を過ごす。


 蒲のマンションの隣の隣の部屋は用済みだから売りに出していたが、不動産屋から買い手が見つかったという報告があった。


 二週間ほどしか使わなかったが、十分な成果を得られた。買って、売るのに、手数料込みで何百万円も損するけど、満足である。


 夜9時、ベッドに寝転がって暇つぶしにスマホを見ていた時だ。

 不意にLINEで美沙からメッセージが来る。


 跳ね起きて驚いて食い入るように画面を見る。


<大池公園に来てくれないかな。虎児郎に伝えたいことがあるんだ>


 たったそれだけの内容だが、激しく動悸がする。

 こ、これは告白ってやつだ!?


 自分には一生縁がないと思っていた、女子から告白されるっていうことが起きるのだ。

 美沙はじめバレー部の女子を助けたことで、ものすごく感謝されている。


 ついに美沙は僕への思いを堰き止められなくなったか。

 でも僕が美沙にしてあげてきたことを思えば当然だ。


 普通、幼なじみっていったら、女の方が男の世話をするものなのに、僕たちは逆なんだからな。

 僕は美沙が告白するのだと確信を深める。


 寝室からこっそり歩み出る。

 ちょうどいいタイミングで、穂香ちゃんはお風呂に入っている。


 外出がバレたらコンビニに行っていたことにしよう。

 速攻で、目に付いた服に着替えて外に出る。


 大池公園は小さい頃から美沙と遊んだ場所だ。


 名前のとおり真ん中に池があって、周りにはグラウンドや芝生地、遊具など子供の遊び場がある。

 今でも美沙は自主トレで大池公園の周りを走り込んでいるらしい。


 告白は、やっぱり二人の思い出の場所がいいよな。

 美沙にしては気が利くじゃないか。ワクワクが止まらない。

総合評価が800Pを超えました。

たくさんのブックマーク、ご評価を賜り、ありがとうございます。

大変励まされました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ