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13 リア充に爆弾をくれてやる

 カラオケで彩音と別れた後、僕はタワマンに帰る。

 

 廊下で彩音が僕に抱き着いているの見たから、穂香ちゃんがいつにも増して張り切って御馳走を作って待っていてくれた。


 カラオケで焼きそばとか色々食っていたので正直苦しかったが、全部食べた。

 穂香ちゃんには、彩音とはつきあっているふりしていると説明し、穂香ちゃんは大好きと伝える。


 金持ちは、多くの女性に気を遣わないといけなくて、大変である。


 ◆◇◆


 自分の部屋でベッドに寝そべりながら、スマホで無駄金システムのホームページを見る。


 無駄金システムはコンピューターの会社のようだ。市役所とかのコンピューターを使うシステムを開発している。


 なんか難しそうなことをやっているので、どうやって潰せばいいだろうかと悩む。

 

 コンピューター……

 システム……


 単語を頭の中で浮かべて、うんうん唸っているうちに閃いた。


 うってつけの人がいるやんか。

 コンピューターシステムといえば、スーパーハッカーのサユリさんだ。


 ついこの前、女子バレー部員が顧問に淫らな写真を撮られて性奴隷にされていた。

 だがサユリさんが顧問のパソコンをハッキングして、完全に消去してくれた。


 顧問のマンションに僕が侵入しないといけなかった点を除けば、サユリさんの技は見事なものだった。


 サユリさんなら、無駄金システムにハッキングして、会社を滅茶苦茶にしてくれるんじゃないだろうか。


 よし……前は上杉さんを通してサユリさんに仕事を依頼したが、今回は直接依頼しよう。


 これまで上杉さんに頼ってばかりだったけど、スクールカースト最上位のムカつく奴をぶっ潰すくらいなら僕だけでやってみせる。


 サユリさんの電話番号は残している。


 スーパーハッカーだから、何が実体かわからない謎の人。


 メガネの中学生くらいの美少女が、暗い部屋でパソコンに向かっている姿を想像している。


 電話はもうつながらないかもしれないけど、掛けてみる。


 トゥルルルルルル


「虎児郎くん、ふふ、今度は何?」

 サユリさんの声。よし、つながった。


 気難しい人だけど、機嫌は悪くないみたいだ。


「サユリさんにハッキングしてもらいたい会社があるんです。報酬は弾みますから、引き受けてもらえないでしょうか?」


 また報酬は全財産の1兆2千億円ていうのは勘弁してほしいけどね。


「つまんない相手だったら、やらないよ」

 サユリさんは金よりも、クエストの面白さを求める人らしい。


「う……つまんないかもしれないですが、話を聞いてもらえませんか」


 僕は冷や汗をかきつつ、サユリさんに説明した。

 翔というイケメンでムカつく奴がいて、復讐をしてやりたいと。


「リア充は爆発しろ」

 聞き終えたサユリさんが吐き捨てる。


「そ、そうです。まさに翔は、にっくきリア充」

 僕も同調する。


 サユリさんはきっと引きこもっている人だからリア充に敵意を持っている。これはシメシメだ。


「引き受けた。リア充爆発割引を適用して報酬は100万円でいい」


 ガッツボーズ。

 相変わらずサユリさんの報酬は高いのか安いのかわからない。


「ちなみにリア充爆発割引って何割引きですか?」

「99%引きだが、不満なのか? 虎児郎くんは」


 値引き過ぎやろ。そんなにサユリさんはリア充が嫌いなんだな。サユリさんの過去に一体何があったんだろうか……


 とにかく定価は1億円てことだから9900万円も得した気分。


「い、いえ、ものすごく安くしてもらえてありがたいです」

 翔はリア充であることが仇になったと、ほくそ笑む。


「2、3日もあれば余裕で侵入できるが、すぐに会社を潰しちゃっていいのかな」

 サユリさんが事もなげに確認してくる。


「本当ですか!? この前みたいに僕が無駄金システムの社内に忍び込まないといけないってことはないんですか」


「虎児郎くんの話を聞いた限りではその必要はないと思う」

「へえ……僕の話だけでわかるんですか」


「無駄金システムとやらは、市役所向けのしょぼいシステムを作っているゴミ会社だ。造作もなく侵入できる」


「まあ、有名な会社ではないですけどね」

 超巨大企業のクリスタル自動車にもサユリさんは侵入してたからな。無駄金システムなんて、虫けらみたいなものかもしれない。


「市役所向けシステムを作っているっていうところがゴミだ。市役所の仕事など、全国共通なのに、日本では市役所ごとにシステムを開発している。共通のシステムを作ればコストも安いし、セキュリティ対策も集中的にやれるというのにな」


 サユリさんが蘊蓄(うんちく)を披露してくれる。


「ふむふむ」

 僕はよく理解できないが話の腰を折らないよう相槌を打つ。


「市役所の昔からやり方を変えたくないっていう無能なオッサン公務員の言うとおりに、カスタマイズしたゴミシステム開発しているわけだ。まあ日本は民間企業もそうだがな。どこもガラパゴスなシステムを開発をして、税金や経費を無駄にしている」


「ふうん……てことは無駄金システムは税金で食っているってことですか?」


「そのとおりだ。ぶっちゃけ、この世から無くなった方がためになる寄生虫だよ」


 サユリさんの話を聞いて、僕は心おきなく無駄金システムを潰せる。


 翔は、僕が児童養護施設育ちで、税金で食っているとイジメた。

 だが、翔だって同じなのだ。自分のことを棚に上げやがって、腹立つぜ。


「潰すのは僕が合図するまで待っててもらえますかね」

 僕はサユリさんの問い掛けに答える。


 どうせなら最高に愉快なタイミングで潰してやりたい。


「りょーかい。個別に作り込んだシステムなど無駄に複雑でバグだらけ。セキュリティホールはいくらでもあるからな。爆弾を仕掛けて待っているよ。ふふーん」


 ハッカーとしてサユリさんの技量はきっとカンストしているレベルだ。


 無駄金システムの社員は、自らのシステムがサユリさんが仕掛けた爆弾に気づかず、のうのうとしているだろう。

 破滅へのカウントダウンが続いているというのにな……ククク


「あと、サユリさん、翔って奴のスマホもハッキングできませんか」

「できるできる」


 気軽な答えが返って来る。

 今日は、サユリさんの機嫌が良すぎる気がする。よっぽどリア充をボコれるのが楽しいのかな。


「へえ、すごいですね!」

 僕は電話越しに尊敬している感じを伝える。


「無駄金システムの会社にハッキングして、社長のパソコンにウイルス感染させる。次は社長のスマホ、家族のスマホに感染を広げていく。我にかかれば造作もない」


「さすがぁ。じゃあ、お願いします。翔って奴が隠していることがないか、洗いざらい探ってください」

「ふふふ、虎児郎くんは特別だよ」


 サユリさんは別料金を請求することもなく、引き受けてくれた。

 なんか僕、気に入られているみたい。やったね。

 

 ……もしかすると、彩音と翔が隠している秘密が出てくるかもしれないな。

 何が出てくるかドキドキだ。


 よし、これで翔を破滅させる準備はできたも同然。

 あとはいつやるかだ……フフフ

作者はシステム関係の仕事をしたことがあるので自嘲を込めています。

社畜なので、会社を潰されたら困ります。


総合評価が2100Pを超えました。


たくさんのブクマ、ご評価ありがとうございます。

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