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閑話:剣聖②

大分日が空いてしまいました。

すいません。

「はあ、はあ、」


 こんなに疲れたのは、いつぶりだろうか。

 それにしても、やはりノエル師匠は強い。

 見ためは可憐な少女なのに、鬼や悪魔という言葉が生温く感じる程強く、容赦がない。


 この7日、ゲーム内では四週間。地獄を見た。いや、それすら生ぬるい。

 祖父との稽古もきつかったが、これは次元が違う。

 まず、最初にブランさんとヴァイスさんが俺を指導してくれることになった。この二人、隙が無い。恐らく、ノエル師匠クラス。

 そして始まった悪夢。まず素振りをさせられた。木刀を持ち、持ち上げ、降り下ろす。拳が飛んできた。

 全くなっていない、そう言われ、手本を見せられた。

 惚れ惚れするほど完成させられた降り下ろしだった。

 これをやれと言われた。

 俺はできるまでただひたすらに振るつもりだった。しかし、10回降り下ろしたところでまた殴られ、拷問が始まった。

 骨を砕かれ、爪を剥がされ、肉を抉られた。

 そして言葉攻め。

「10回も振ってなぜ少しも上達しない?」

「真剣さが足りない。」

「できないならお前に生きる価値も死ぬ価値もない。」

「お前は剣を降り下ろす。それだけを考えればいい。」

「わかったらとっととやれ。」


 できるできないという言い訳は通用しない。

 やらなければまた地獄を見る。

 もうあんな仕打ちは受けたく無い。

 言われた通り、木刀は振り下ろす。それだけを考える。他の事は考えるな、ひたすら集中しろ。

 その一心で、文字通り死ぬ気でした。

 呼吸を止め、心臓の動きすら無駄と断じ、限界を越えて木刀を振り下ろした。


 それは、俺が振ったとは思えない程、完成された振り下ろしだった。


 そこで俺は気を失……う直前に強制的に戻され、休む暇もなく次へ。


 ひたすら強制的に限界を越える。できなければ死ぬ。そんなことをノンストップでやる。ログアウト?させてもらえんよ。一週間も部屋に引きこもってれば誰か心配するところだか、ノエル師匠に聞いたところ、「神術でちょちょいとやってるから大丈夫です。」と言われた。

 普通ならそんな馬鹿なと思うところだが、ゲームのシステムから逸脱してるようなことを散々見せられた後なので、納得してしまった。

 いや、メニュー画面を封じられるとかやられればな…


 そんな地獄というのも生ぬるい所業の後、ノエル師匠に組み手をしてもらったが、こちらも容赦がなかった。少しでも乱れや隙が生じれば、いくつもの“死”を幻視するほどのおぞましい殺気を叩きつけられ、動きを誘導され、矯正を施される。そして同じく休む暇が無い。


 まあ、指導をお願いしたのはこちらで、結果強くなった。もんくはない。


 それにしても、あの三人もいつのまにか強くなっている。三人同時なら負けるかもしれん。



 さて、今度は実戦だそうだ。

 どんな強敵を相手に戦うのかと身構えていたが、この森の魔物だった。それも比較的浅い所の。

 確かに強いが、ノエル師匠達三人に比べると、かなり劣る。

 はっきり言って拍子抜けだ。


 まあ、最近転がされてばかりの俺達に自信をつけさせるためでもあったのだろう。

 確かに強くなったとは思っていたが、あの三人と戦っていると実感が無いからな。

 いい経験でもある。


 いつか、ノエル師匠を越えてみたいものだ。

 そのためには、もっと頑張らなくては。


 俺は強くなれば成る程底が見えなくなるノエル師匠への尊敬を、さらに強めた。


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