くっ! 敵はこちらの十倍の数か!?(戦力とは言っていない)
【言い訳】書籍化作業で疲労困憊でした!ええ、あんなに凄いことを作家様はしているんですね(´▽`)ノ
【現実】あ~前のスマホより何十倍も速いしエラーないし、動画嵌まるわ~(゜∀゜ゞ)
【結果】年末年始は続きを書くことに…(´Д`)
久しぶりに合いそうな人との会話は楽しかったけどお開きになる。
いくつかの取り決めの確認をした後、マロッドは鮮やかに馬を操って自軍に向かった。
俺は防衛用の土塁が登れなくて、変態執事に抱えてもらってのご帰還となった。
「さーて、これから楽しい楽しい防衛戦ですが、皆さん準備は万端ですか?」
「はいっ! 僕は体調が万全ではないので帰ってもいいですかっ!」
「それだけ元気があれば大丈夫ですね。あまりしつこかったら一番きついお仕事に回しますよ」
これから攻めてくるマロッド達に対抗する為に主だった連中を集めて手短に事情説明をしようとしたら、真っ先にダッシュ君が手を挙げて嘘を吐いたので即座に却下してあげた。
チクショオオォォッ! と四つん這いで叫ぶダッシュ君は国のトップばかりがいる【統合中枢詰め込み部屋】で、そこそこ人を見る目が鍛えられたようだ。
でもチラチラとこちらを窺うのはまだ余裕があるのがわかるぞ。
「えーとセルフィル様」
「なんでしょうかスナオ君」
相方のダッシュ君が絶望の演技をしている隣にいたスナオ君がおずおずと手を挙げる。
体つきは出会った頃よりもがっしりとしているスナオ君。
騎士団の訓練やグリエダさんの暇つぶし(という名のベリーハードブートキャンプ)と、何故か俺の罰用に王城で用意されていた豆を横流ししただけはあるね。成長期には適切な運動と栄養が必須ということだ。
「どう考えてもこの人数では勝つどころか、僅かばかりの時間で突破されると考えます」
「スナオ君は状況をよく見ているね。確かにマロッド王子が率いるのは五百、こちらは五十と面白おかしい連中ですから、圧倒的に不利な状況に僕達側は置かれています」
こらこら人を指差したらいけないぞメイド二人。
俺の隣にいる変態執事には何の影響も及ぼさないから。
「面白おかしい連中の中にはスナオ君も入っているからね……」
「え?」
人を陥れる笑みを浮かべて言っているけど、君もしっかりその一人に入っているからねダッシュ君。
「では五十名を直接指揮してくれるランドン男爵に聞いてみましょうか」
「ん? 儂か?」
「「……」」
まともな人の言葉なら疑い深いダッシュ君も信じるかなと思って声を掛けたご年配男性。
だけど、恍惚の表情で槍に頬擦りしているずんぐりむっくりでドワーフみたいなジジイでは信憑性が皆無なようだ。
このドワーフジジイは、愚王の夜会でグリエダさんに付き従っていたジジイだ。
もう一人の痩せエルフジジイみたいなエイプ子爵と共に、貴族として若輩のグリエダさん補佐をしているアレスト辺境伯領の重臣である。
そんな結構凄い人がどうして槍に頬擦りしているのか。いや俺のそばにいるのか。
ショタにだだ甘な覇王様が、別行動のお願いを受ける代わりに、覇王軍配……ケホケホ、アレスト辺境伯領軍で古参の兵五十名と一緒に付けたのだ。
そのおかげで、元々ハイブルク家の兵で最初から王都に分散配置して集合させる簡単なお仕事が、のじゃ姫リリィが滞在するおかげで監視が厳しいアレスト側から気取られずに兵を出すために、わざとハイブルク兵が分離するのを見せつけて監視の目を向けさせて交代したのである。
その代償に、情報を引き出すだけだったマロッドの恋人達の彼の助命と交換に見逃す行為をしてもらうのを約束することになった。
俺の周りには我が儘な女性しかいないのだろうか……。そこの変態メイド二人、私達は違いますよと手を横に振るな読心術を使うな。
「んんっ。長年アレスト辺境伯領で騎馬民族と隣国から国を守ってきた御人から見て、この防衛戦は勝てますかね?」
「無理じゃのう」
ランドン男爵はあっさりと首を横に振る。
こらこら若者二人を不安がらせないでください。俺は心にオッサンを飼育しているので顔に出さないけど。
「この低い防土塁で、十倍の数の相手の防衛はちと難しいのう。もって三百数えるくらいか」
ランドン男爵は胸程の高さしかない、城門前をぐるっと囲んだ土塁をごつい拳で叩いた。それだけで土がパラパラと表面が削れて落ちていく。
城門を角が丸いコの字に囲んだ土塁はだいたい同じ高さで、勢いをつければ武装した兵でも余裕で登れるだろう。
「我らは今、岐路に立っているっ!」
不安がるスナオ君を弄ろうとしたら大音声が聞こえてきた。
「ここで逃げる者には屈辱にまみれた死が必ず訪れる。だが私と共に歩む者には輝かしい先があるだろう!」
「あちらもそろそろ動き出し始めますね」
振り向くとマロッドが味方を前に鼓舞している。
彼はハーメルンの笛吹きの様に愚王派を俺に向かわせて全滅させるつもりだ。
長年利益を享受しまくった連中は、自分に都合の良い方にしか動かない。マロッドの誘惑の誘いはさぞかし脳を甘く蕩かすだろう。
いやはや損耗を考えないで済む兵って羨ましいわー。こちらは一人も死なせずに完勝しないといけないというのに。
「はあ、ダッシュ君のせいで時間が無くなりましたね。スナオ君、ランドン男爵の言っていることは正しいですが、それは現状を見ただけです」
「僕のせいっ!?」
そうですよね? とランドン男爵を見るとニヤリと不敵な笑みを返された。
現場指揮官を任せているので、これから俺がやることの殆どを教えているから、さっきはわざとスナオ君をビビらせるように言ったのだろう。
土塁に体を預けて戦の準備をしている中年からジジイの五十名もニヤリと顔を向けるな。ムサい、ムサいの。
「ですから君には実地で体験してもらいましょうか。セイト、カルナやっちゃって」
「「はい」」
「え? うわわわっ」
俺の命令で動いたメイド達にがっしり拘束されて着替えさせられるスナオ君。
平和な王都では滅多にない実戦なので、彼の経験値を上げようと考えた。
「あの~、僕は実地はいいんですよね? ね?」
「さすがの僕でもひ弱な文官見習い補助のダッシュ君を……いやこれも経験?」
「逃げませんし言う事をちゃんと聞きますので、どうかセルフィル様のお傍にいさせてくださいお願いします」
「むう見事な土下座」
四つん這いで聞いてきたダッシュ君はそのまま土下座に移行。おそらくは長兄の真似をしたのだろう。未熟ながら負け犬感が滲み出てなかなかのものだ。
全く長兄も簡単に土下座を家族以外に見せてはいけないと注意しているのに。
え、大半は俺の為に土下座してたの?
……聞かなかったことにするから、俺の傍にいてもいいよダッシュ君。長兄にはもう少し優しくしようかなぁ。
ダッシュ君が立ち上がって俺の近くに寄りつつ、ショタを盾にして城門に逃げ込みやすい位置取りをするのは逃げ癖がさらに強まっているね。
「うぅっ、恥ずかしかった……」
メイドに半裸にされて着替えさせられたスナオ君が顔を真っ赤にしながら戻ってきた。
「ふむふむ、サイズピッタリで似合ってますね」
俺が将来身に着けようと考えて作った鎧はスナオ君の身体にフィットしたようだ。
「あちらはセルフィル様が十五歳になられた時に着られる鎧でした。……おや?」
「……」
「スナオ様は同年代の男性よりも一回りは体格も良く。……あら?」
「……」
「セルフィル様はそのままがいいんですっ! 幼児体けイゴフゥッ!?」
「お前は喋るなアレハンドロ」
言ってはならないことを胸を張って言おうとするアレハンドロの脇腹にチョップを叩きこんで黙らせる。一応女性のメイド達は広い心で、でも男は許さん。……あとで侍女長にチクってやるか。
「あの~セルフィル様」
「ん? なんだいダッシュ君」
「戦力比はどうなっているんですか」
どうやって勝つかを聞いてきたら考えさせようとしたのに、上司の俺の教育の賜物で成長したようだ。
仕方ない、上司は導くものだから答えてあげよう。チッ、小狡さが上がりやがってボソッ。
「千対一圧勝ですね」
「百対一で圧勝じゃの」
「「……ん?」」
あれ? 現場指揮官のジジイと大きく食い違っているんだけど。
ビミョーショタ「ダッシュ君が成長してつまんない」
ダッシュ(よし!これで興味が薄れれば)
ショタ「なので次章でこき使います。絶対に」
ダッシュ「ああああー!」
スナオ「俺、現在進行形で何かさせられるの…」
アレストジジイズ「「「根切りじゃー!!」」」
コメディは書いてて楽しいけど、書き終わって読み直すと全く話が進んでないことに気づいて愕然とした年末の筆者(;´Д`)
ま、まあ次回から小悪魔に絶望させられる欲望の亡者達が見れます。
年の初めがざまぁか…(・_・;)
書籍化ですが、たぶん順調に進んでいると報告します(^^;)
旧Twitter見ました?
愚王が愚王ってましたね~(●´ω`●)裏目魔法バックファイヤーされるくせに!
旧Twitterでもショタはコメディしていますのでお読みくださいm(_ _)m時々、筆者が蠢いています(ΦωΦ)
筆者のサインなんているのかなぁ(・_・;)
うん、バカップルの更新は無ー理ー(;´Д`)
それでは皆様良いお年をー!(≧∇≦*)
(ふう、今年中に書けたぜ(っ´ω`c))
J「ん、泣く」
筆者は魔王様に磔にされました。筆者は魔王様に磔にされました。筆者は魔王様に磔にされました。(バカップルをお読みなられた方はこのノリがわかります)









