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元凶は愚王しかないよね。(後で地獄見せちゃる)

よ、ようやく伏線回収が終わった…(´`)

後書きにお知らせがm(_ _)m

 俺のミス、それは三人の乳母が前子爵夫人であることを知った時に違和感に気づかなかったことだ。

 リリィは側妃の手から逃すことを考えれば、愚王側に絶対に付かない信頼できる人物を選んだ結果と言えば納得する。

 でもマロッドとオーレッタは違う。

 実の親の愚王と側妃に愛情を向けられず、大半の貴族からも見捨てられても王子と王女である。

 腐っていく国政を今まで生き残らせてきた王妃様が、二人にまともな教育を施さないわけがないよね。


「王族の乳母に下位貴族の前子爵夫人が就くのがおかしかったんですよ。調べたら子爵に落とされた侯爵の妻でした」


 そんな重大な情報を教えなかった王妃様は俺の事を嫌っているのだろうか。

 オモチャぐおうをプレゼントして仲良くなったと思っていたのに酷い酷すぎるのっ!


「ただの落ちぶれた侯爵ならよかったのですが、その長子は非常に優秀な令嬢で、愚王が王太子だった頃の婚約者でした」


 これがまた俺が知っておくべき超重要機密だと思うのですよ奥さんおうひさま


 そして先ほどまでの様にマロッドは訂正をしてこない。

 俺に言わせるだけ言わせようとしているようだ。

 前子爵夫人の事を話し始めた頃から、こちらの思惑を探ろうとした目で見たり、ニヤニヤしていた顔が、何でも話を聞いてくれる仏像みたいな悟った表情をしている。

 もう意味・・の無い話をしているとしても怖いわー。


「ですが学生時代にある伯爵の娘と真実の愛に目覚めた当時王太子だった愚王に、卒業パーティーの時に侯爵令嬢は婚約破棄されます。父親だった侯爵は怒り、伯爵の娘が王太子妃になるのを妨害しまくって側妃におとしいれたところで満足したんでしょうね。しかし王家に歯向かった代償は子爵にまで落とされて権力も財産も無くなる、貴族として最悪の恥辱を味わわされることになりました」


 愚王は昔から安定の愚か者だったようだ。

 そして親子揃って卒業パーティーで婚約破棄なんて遺伝でもしているのだろうか?

 同じ婚約破棄だが結果は異なり、愚王は成功してしまった。

 未来の王妃になる令嬢の実家の侯爵家は有力な貴族だったのだろう。無駄に高いプライドで理不尽で馬鹿な王子に、報復と教育を実行してしまう。


 だけどその時の王は愚王の父、先王だ。


 今まで作り上げた功績を、王として守るべき国を全て消費して愚王の為の楽園という箱庭を作り上げたバケモノが、愚王の敵となる者をそのままにしておくはずがなく。

 愚王の真実の愛の相手を貶めた侯爵家は容赦なく没落ギリギリまで堕とされた。

 仲間だった貴族達は離れ、領地を奪われ、領民に恨まれ、名ばかりの地位しかない子爵貴族になってしまった侯爵は呆気なく亡くなったそうな。


「権力も財力も人望も無くなった元侯爵の前子爵夫人になった彼女。その復讐心の炎はどのくらい燃え盛ったのでしょうか」


 俺には彼女の気持ちはよくわからない。

 だってのじゃ姫リリィをあんなにも純粋にいい子に育てた前子爵夫人が、どんな手を使って王妃様に取り入りマロッド達兄妹の乳母となったのかなんて復讐ぐらいしかない。


「……母様は厳しく、そして優しく育ててくれたよ。恨みの言葉一つ、子供の私達に言わずにね」

「では全てを知ったのは?」

「ギリギリ王太子の予備の役目と交渉の駒があったことを思い出されて、母様と引き離された後だね。ほら、少し前に流行った遠くに行った母を慕って何百里を旅した子供の物語があったよね。あんな感じで母様に会いたかった僕は調べたんだよ」


 調べるだけでは知りえない追加情報ありがとうございます。

 でも王家の美貌顔で女性達から聞き出したとか、そのおかげで女好きになったとかの情報はいらないのよ。


「僕は正当な復讐は否定しないんですが、前子爵夫人は貴方に自分の代わりをしてほしいとは思っていなかったと思いますよ」


 一応、無駄とわかっていても止まる言葉をかけた。


「それは君にはわからないだろう? 僕にもわからなかったんだからさ」


 だけどマロッドは肩を竦めて何言ってんだこいつみたいにこちらを見る。

 チャラい女好きのにやけた目も、王に相応しい悠然とした眼も、母を慕う思慕の瞳も、その全てが無くなったどろりと濁った何か丸いモノで見ていた。


「でもさ、僕ら兄妹達を慈しみ育ててくれた母の、婚約破棄と家の没落によって追い詰められて自害した実の娘の復讐をしてはいけないのかい? 家族の復讐はしてはいけないのかい?」


 で、俺はマロッドの気持ちが少し理解できる。

 血の繋がりの無い前子爵夫人を母様と呼ぶほど慕っていることがわかれば更に、望まれずに誕生した子を守った実母を護る為に、父を地獄に堕とすことを決意したセルフィル=ハイブルクにはわかるのですよ。


 愚王に婚約破棄された元子爵夫人の娘は自殺した。

 どんな人物かまではわからなかったが、先王が愚王の為に用意した婚約者ぐらいだからかなり優秀な女性だったただろう。

 そんな彼女は責任を取ったのか、絶望したのか、それとも先王に殺されたのかわからないけど亡くなっていた。


「貴方が生まれる前に死んだ血の繋がらない彼女の為に復讐ですか」

「顔もその性格も知らない。だけど母様の娘は僕の姉だ」


 それのどこが悪いんだい? と続けるマロッド。

 おい実親の愚王達よ。お前ら実の息子に怨敵認定されているぞ。血は水より濃ゆいというが、クズ親だと赤の色水とかではなかろうか。あと激苦。


「それでセルフィル君の同情を買えるぐらいの揺さぶりになったかな。君のおかげで元凶に手が届くようになったから、その恩ある君が傷つくのは望んでいないんだよ。どうか私の前から退いて欲しいんだが」

「予想の範囲内でしたからなりませんねぇ」


 ただリリィの日記を読んだ後に予想したので、ほとんど手遅れだっただけだ。


「一応言っておくけど本当にあったから私は動いたよ」


 わかっているって。ハーレム作って悠々自適にも、長兄やセイレム公爵らを納得させて王に成ることも、妹達と一緒に幸福に生きていける人生も、全て投げ捨てた人が最後に嘘を吐くはずないぐらいわかる。


「はぁ、ではマロッド様の到達目標は愚王の首を刈って叫ぶことですか」

「そこまではしないかなぁ。せいぜい斬り殺すぐらいだよ」


 え、獲ったどー! と叫ばないの?

 貴方の妹はハイブルク邸のニワトリ小屋から確保した卵を天に振りかざして叫んでいたのに。


「まあ愚王殺害は困りますので阻止させてもらいますね」

「殺した方が君には都合が良くないかい?」

「まあそっちの方が楽ではあるんですがね」


 愚王は本当に面倒くさい存在だ。

 勝手に死ぬのならいいが、殺害した場合はもれなく王殺しの大罪がついてくる。

 夜会での俺の国盗りが許されたのは愚王を殺さなかったからだ。もし殺害していれば、宰相だけでなくハイブルク寄りというか長兄大好きセイレム公爵でも敵対していただろう。

 常時、問題行動でデバフを吐き続けて、倒したら自爆で巻き添えの超迷惑モンスター愚王。

 裏目魔法バックファイヤーで自滅するのを待たないといけず。王妃様がうっかりで壊さないか、【統合中枢詰め込み部屋】の皆様のストマックが地味にエンドレスリトルペイン中だ。

 ザマァとか考えていない。いないよ?


「貴方の妹の情操教育に悪そうなので阻止しようかなと僕は考えたんですよ」


 昼ドラより酷い王家の家庭事情、幼女のリリィに悪影響を及ぼすのは確実だ。


「家族愛に溢れる優しいお兄ちゃんが死んじゃうなんて、泣きますからねリリィは」

「……」


 愚王を殺すのはそう難しくない。

 ただ、その後に絶対に殺害した者と関係者の一族郎党処刑されるのだ。

 マロッドは祖父でありヘレナ側妃の父のランドリク伯爵も巻き添えにして死ぬつもりなのだ。もう一人、今後の邪魔になるアガタ公爵もオーレッタ姫を拉致して逃亡した罪に問うことができるようにしているし。

 彼は異母妹の未来に蔓延るゴミを始末し、同母妹を被害者として生き残る道を作り、育ての母と義姉と思う女性の復讐を同時に遂げようとしていた。

 一石何鳥してんだよこいつ。


「ですから大いに頑張って僕を突破しようとなさってください」


 俺の言葉にキョトンとするマロッド。


「貴方の後ろでまだ復権の夢を見ている連中を磨り潰し、マロッド様がこの城門前から先に進ませないようにしてあげます」


 動くのは止めないよ。止めるのは愚王殺害だけだ。


「どうか王族としての最後になる責務を実行してください。まあ阻止しますけど」


 マロッドは少し考え込み、そして重すぎる責任も、狂おしいほどの復讐心もない、チャラかった時のヘラっとした笑みを浮かべた。


「君、優しすぎないかい」

「ええ、僕は優しいんですよ」


 のじゃ姫リリィの情操教育の悪影響の排除、マロッドの恋人達の手助けの条件達成、エルセレウム王国にいらない連中の処分に、その他諸々が一度に片付けられる理由に、一度くらい王族として動いてみたいを付け加えるぐらいはね。


迷探偵ショタ「全ての犯人は愚王だ!」

三人メイド「「「おぉー!」」」

スナオ「空を指差してポーズ決めているけど」

ダッシュ「しっ!あれはツッコミ待ちをしているんだ。関わったら何されるかわからないよ!」



お待たせしました。

ショタとマロッドの答え合わせと修正は終了。

マロッドはすでに最低目標は達成しています。後は最終目標を叶えるだけです。

愚王によって人生を歪められた人達の復讐の代表になった彼を助けられるのはショタ?(・_・;)



後書きですが、少しお知らせがあります。

ショタと覇王様の書籍化情報が開示され始めました!

イラストを描いて頂いたのはゴロー✳様。

ショタはショター!な感じに可愛らしく。覇王様は超イケメンに!(女の子だよ?)


残念ながらこちらでのイラストの投稿仕方に挫折しました…(´・ω・`)

なのでGCノベルズの新刊情報で見られます。

GCノベルズ

https://gcnovels.jp/


あと旧Twitterにショタと覇王様の公式アカウントが公開されました!

ドンドンパフパフ~♪(≧∇≦*)

毎日更新だそうなので、筆者も知らない情報が出るかも?(;・д・)


フォローしてもらえると、大の字五体投地感謝を深夜にします!担当様が!(あ、これ見られてたらキルされる…(・_・;))

https://twitter.com/Little_D_Shota


フォローしてリポストすると特製スマホ壁紙が貰えるそうですよ。

筆者は苦労して自分でスマホ壁紙にしたのにチクショー!(´Д`)

リポストってナニソレ?な筆者です(´・ω・`)


あとがきで短編ぐらい書いている筆者。何が旧Twitterで書かれるかな~♪(っ´ω`c)

Little_D_Shotaって小悪魔ショタかい!ヽ(゜Д゜)


さて、楽しいコメディざまぁを書きますか!(*´▽`*)


(旧Twitterを見る筆者)(゜ω゜)

長兄ってバルトって名前なのかぁ。メモっておこう。

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【コミカライズ一巻も発売するよ!】 【ハイブルク家三男は小悪魔ショタです1~3巻、コミックス1巻絶賛発売中!】 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵
― 新着の感想 ―
>愚王は本当に面倒くさい存在だ。 >勝手に死ぬのならいいが、殺害した場合はもれなく王殺しの大罪がついてくる。 >夜会での俺の国盗りが許されたのは愚王を殺さなかったからだ。もし殺害していれば、宰相だけで…
あ、大掃除の方も間違いではないのね あくまで最優先事項が汚物の方だっただけで 先王はほんと晩節を汚してるなぁ······ 有り余る政治能力をただ一人の自身の子のためにだけ使って暴走した結果なにもかも…
先王も地味にやらかしてるなあ
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