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ミスが真実に近づく道

コメディの何十倍もシリアスを書くのは疲れます(´・ω・`)

 マロッドは俺の最後の言葉に完全に停止した。

 若いからしょうがないだろうが、核心を突かれた時に動揺しないの。

 社畜なら死んだ顔か、笑顔で死んだ目で仕事を受けるのです。じゃないと上司のパワハラで一時間も消費されるからね。動揺は心の中で悶えさせずに、そっと刺し殺すのが大人になったということなのだよ。


「……その話はこれから始まる事に必要かい?」

「いえ? よく言えば僕の疑問のいくつかが解けて、やる気が出るぐらいで。悪く言うとマロッド様への精神的な攻撃ですね」


 軽い沈黙の後、手で促されたので続行する。嫌がらせが好きなのか、Mなのかな?


「この手紙には二つの暗号がありました。一つは違和感に気づけば、手紙に書かれたものだけで解ける暗号で、閃きさえすればあとは努力と根気でどうにかなるものです」

「あれを閃きでとか言われると自信を無くすね」


 いやいや複数の手紙に異なる方式で暗号を仕込むなんて、普通出来ないから。

 前世でコ〇ンと金〇一を読んで、受注先の暗号の様な言葉を理解する閃きそんたくで覚えた解読の方法と、変態な三人のメイドのマルチな才能が無ければ解けなかっただろう。

 ……やっぱり、この男欲しいなぁ。


「もう一つは特定の解読用の鍵になるモノがないと絶対に解けない暗号でした」


 例えば同じ小説の本を二冊用意して、どの暗号にするかその都度ページで決めれば、その本が無い限り解くことはほぼ不可能な暗号がある。それが手紙に二つ目の暗号として隠されていた。


「鍵がないのに君は解けたのかい。私達兄妹の過去を知っている人は少ないし、ヒントになるモノが少なすぎる。普通は解けないはずだよ」

「確かにマロッド様達の情報は少なかったです。ここ数年の女好きと芸術狂いが際立っていますが、幼少期が殆ど王子と王女としてはあり得ないほど情報が集まりませんでした」


 ランドリク伯爵邸でマロッドと会見する前に、彼と妹のオーレッタの事は調べていた。

 報告されたのは言った通りのもので、その頃は重要度が低く軽くしか調査はしておらず、

 マロッドと会った後も調査は続けたけど、女性遍歴と美術品買いが増えていくだけで、彼等の子供の頃の情報は最初に調べた時からあまり増えることはなかった。

 そしてリリィは側妃に目を付けられないように王妃様によって秘匿されていて、なぜか詳しい情報が俺の下に集まらなかった。


「たまたまだったんです。マロッド様と会見した前後に集めたお二方の幼少期の情報が少なくて。そしてたまたま調べていた第二王女リリィの生い立ちの中に、一つだけ同じものがあったんですよ」


 俺がメイド達に面倒だけど頑張れば解ける暗号を解読させている間、こんなバレやすいのには裏があるのかな? と考えて片手間に探していたの。

 その時、三人の少ない情報で重なる部分が頭の中に浮かんできたのは、当時の俺には本当にたまたまだった。


「三人共に前子爵夫人が乳母と報告されていました。そこからたまたま思いついたんです。もしかすると同じ人物が乳母だったのかなと」


 リリィの幼さから、年の離れた兄と姉との共通点を考えたら数点しかなくて、たまたま最初に聞いた子守歌がビンゴだった。

 誰かが用意したようなたまたまで、マロッドのもう一つの暗号は解けたのである。


「……一応暗号が正解か聞いておこうかな」

「そうですね。『カアサマノタメニ』でしょうか」

「うん、間違っていないね。さすがに二つの暗号は難しくて、短くしか入れ込めなかったんだよね」


 マロッドはあっさりと二つ目の暗号があったことと俺が解いた答えを認めた。

 それは側妃の子供であるマロッド兄妹が、乳母を通じて王妃様と繋がりあったことになる。どうしてそうなったのか。


「その前子爵夫人は、第一王子の兄だけを可愛がっていた父である王と側妃の母に生まれた直後から見捨てられた僕と妹の為に、王妃様が付けてくれた女性だよ」


 まあ愚王一択しかないよね。

 愚かなやらかしでは他に追随をさせない愚王だ。ここまでの職と恋愛に家庭のトリプル愚を犯していたら、さぞかし楽しい人生を送っていただろう。


 この情報だけでも初期に知っていれば、こんな面倒くさい今の状況になっていないのになぁ。


「君は王に見放された子はどうなると思う?」

「こいつに媚びへつらっても無駄と判断されて臣下の貴族にも舐められた、でしょうか」

「少し違うね。正解はいないものとして扱われるんだ。気まぐれな王の不興を買うかもしれない王子と王女なんて怖くて近寄らないんだよ。そして王の命令で二人分の予算もその大半が第一王子に回されて、落ちてくる利益という甘い蜜も無かったら貴族や使用人の記憶からも忘れていかれるのさ」

「あーそれは」

「王妃様が乳母を、僕とオーレッタが母と慕う前子爵夫人がいなければ、もしかすると王族は二人程欠けていたかもしれないね」


 予想の斜め上に急斜面を持ってくる愚王とその愉快な仲間達だぜ。

 第二王子は第一王子に何かあった時のスペアで、王女は外交、政略結婚という常識を吹っ飛ばす連中だ。

 潰してよかった愚王グループ。あいつらに国政を任せていたら、数年後には確実に内乱が勃発していただろう。


 そしてマロッドが話す二人の幼少期の暮らしはちょっと引くものであった。

 王城のすみで王族とは思えない暮らしをしていたようだ。

 食事は用意されないから最初は乳母が用意したものを食べ、成長すると食べる量が増えるので小さな菜園を作り、肉類は愚王達が毎晩の様にパーティーを開催するので厨房からくすねていたということ。

 着るものは、王妃様から下げ渡しされたドレスを仕立て直して着ていたらしい。

 質はどこかの下級貴族の五男坊よりもいいけど、王族の子供の生活じゃないよね。


「まあそんな生活は王妃様が国政をある程度動かせるようになってからは、良識ある貴族も動いてくれて最低限の王族の生活は出来るようにはなったよ。私が学園に入る年齢に近くなってくると、さすがに入学させないといけないしね」

「……その良識ある貴族達は後で注意しましょうか」


 セイレム公爵と宰相達には『権力を持った愚者の国で、家臣の行う正しい行動について』の講義をみっちりせねばなるまい。

 愚王の尻ぬぐいに忙しかったからといって、常識を疎かにしてもらっては困る。まあ先王の遺産せんのうのせいだろうが、国政の中枢のオッサン達が何やってんだと言いたい。

 そして王妃様グッジョブ! でもその辺の情報をショタは欲しかったよ!


「それで、オーレッタに私からの連絡の証拠に、育ての親で母とも言える前子爵夫人を使っただけなんだが……。ふむ、セルフィル君にはそこに琴線が触れたのかい?」

「そうですね」


 やだねー。複数の女性を関係を維持できるから、人の機微を察するのがずば抜けていますよこの王子。


「一つ目の暗号だけなら、僕は絶対に裏があるはずと考えて、いろいろと調べてランドリク伯爵達にちょっかいを出さなかったと思います。ですからマロッド様の策に騙されたのではなくて、気づいてはいけない暗号に気づいて同情して手心を加えてしまったんです」


 ちょっと母親の為にハイブルク公爵家を改善した俺に親孝行的な行動は効果は抜群なのだ。あと心のオッサンの歳になると、三千里とか見ると涙腺がダバー状態になるの。

 つまりマロッドが王城に侵攻出来た今の状況を作ったのは、当時お兄ちゃんが妹の為に頑張る姿を想像して同情し、あまり調べもせずに安易に動いた俺のせいです。

 本当仕事に情を持ち込んだらダメだよね。


「ですからマロッド様の策にかかってはいません。かかっていても、襲撃された仕返しに立ち塞がっているでしょうが、マロッド様の本命・・の目的には気づいてなかったでしょうね」


 恋文でマロッド達が情があるまともな連中と勘違いして、襲撃された時に敵認定した。


「本命かい?」

「ええ本命です。それに気づけたから、マロッド様の恋人達が僕に手を貸してくれたんです。だって愛する人が死亡前提で本懐を遂げるのはさすがに許容出来ないでしょう」


 リリィの日記を読んでマロッド、オーレッタにリリアーヌの繋がりを思い出して、調査を再開。


「死亡前提かい? そりゃあ強引に玉座に就こうとしているのだから死ぬ覚悟は持ってい」

「あ、そういう誤魔化しはもういりませんから」


 そして見つけ出してしまったのだ。

 マロッドが俺と同じ親を想う人物と想定したら、低い可能性でも実行してしまうモノを。


「本当の目的は父である愚王の殺害でしょう? 貴方達の乳母である前子爵夫人、いえ元侯爵夫人の復讐の為に」


迷探偵ショタ「ふっ、僕のホワイトな脳細胞が閃くぜ!」

第二王子「それは真っ白なくらい脳を使っていないということかい?」

変態執事「そうですね。今回大ごとになったのはセルフィル様のせいということです」

ショタ「言うなよ~」


まだまだ続くシリアス回。

筆者ラブコメとざまぁが書きたいのに、二章の最初の頃に入れた伏線が鞭で打ってくるのです(ノД`)

破滅の道を歩むマロッド君の本心を暴くことが出来るのかショタよ!(・д・)

まあその破滅の道を最初に作ったのはショタなんですがね(;・д・)

つまり自分の不始末の尻ぬぐいで、マロッドをネチネチストレス解消の相手にしているショタです(´Д`)


実はもう一話書き終わってから投稿しようと考えていた今回のお話(・ω・)

筆者のお尻に火を着ける為と、もう一つありまして。

そろそろ【ショタと覇王様】(正式なタイトルよりこっちを先に思い出すダメ筆者(;´Д`))の書籍化の動きが始まりそうなのを、ご報告させてもらいたかったのです。

もう少しすればショタとイケメン美女が!いやいやあのキャラ…おや?筆者の度々目色の脳に名前がないぞ?(;・д・)

活動報告で書けばよかったのですが、読者様のおかげで筆者の書くやる気が出ているので、こちらで皆様のお手元にも情報が行きそうなことをお伝えしたかったのです(*´∀`*)

皆様に足を向けて眠れません。立って寝るか、逆立ちで寝ないと…(´・ω・`)


さて、次に良い報告ができるまでに次の回を完成させなければ!

ドキドキチキンレースの始まりデス!(`・ω・´ゞ





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【コミカライズ一巻も発売するよ!】 【ハイブルク家三男は小悪魔ショタです1~3巻、コミックス1巻絶賛発売中!】 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵
― 新着の感想 ―
そっちだったかー······ ゴミ掃除には違いないけど生ゴミ処理じゃなくて汚物処理の方ね
[一言] コミカライズとアニメ化とゲーム化はまだですか?
[一言] あ、前話でロンブル翁が頑張った話を見落としてました>接点 如何、ボケが進んでおる……orz
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