たった一言で運命は決まるのDeath
あー、ショタが暴走するから話が進まない(´・ω・`)
逃げ下手ダッシュ君、マッチョ化進行中スナオ君に変態執事の三人で作られた駄馬に騎乗する今の俺はなかなか格好いいのではないのではなかろうか。
その上にカイゼル髭が付いたら、もう最強?
「うむ。僕の覇気に恐れをなしているよ」
「変な子供が堂々とおかしい行動をしているから、どう対応していいのかわからなくて混乱しているんだと思いますよ」
ツッコミが早すぎるんじゃないかいダッシュ君。
もう少し優しくしてくれてもいいんだよ。ん? 無理? じゃあしょうがないか。
「冗談は置いといて、僕のおかげで相手側の動きは止まったよ。やはり付け髭で威厳を出したのが良かったのかな」
俺達の目前には完全武装した騎兵達に歩兵を従えた第二王子マロッドの軍勢がポカーンと口を開けてその行軍の歩みを王城前の広場に入る直前で停止した。
俺達を見た瞬間に、即座に蹴散らそうと突撃されたら最悪だったからね。
冗談? 髭? 威厳? おふざけだろ? と駄馬の後ろ脚二人が呟いているのは無視無視。
……カイゼル髭格好いいと思ったんだけどなぁ。
「む、出てきましたね。諸悪の根源が」
しばらくすると、相手の隊列が中心から左右に分かれて今回の首謀者、第二王子マロッドが前に出てきた。
チャラかった態度は鳴りを潜め、その時代時代の代表の美女を取り込んだその血脈の美貌は凛々しく堂々としていて、愚王や第一王子ジェ、ジェ、コホン……とは人の上に立つ格が遥かに上の存在感が出ていた。
身じろぎするだけでキラキラ光る白銀の鎧を纏い。毛並みがいい立派な白馬に騎乗する姿は、白馬の王子さ……。
いや~、グリエダさんと白王のコンビには遥かに劣るな。
モテるだろうけど、たかが王子ごときでは覇王様には勝てぬのだよっ!
「僕達も前に出ますよ」
「え、このままですか⁉」
「軍や王子様の前に出る緊張感より、恥ずかしさが上回りますって!」
「何を駄馬の後ろアシーズが羞恥するんだい? 君達の感情は頭部兼前脚兼変態が担っているんだから君達は駆けるのがお仕事だからね。ハイヨアレハンドロー!」
「ははっ!」
「あ、待って待って盛った土の上から騎馬で降りるのは怖いひぃぃいんっ!」
「「ひいぃぃんっ!」」
いや~防壁用に造った土壁が思っていたよりも高くて、滑り落ちるように降りるのはヒュンッとしたのにはまいったね。
後ろアシーズがこのエセ中世にはなかなかない逆落としに軽く腰が抜けたようで、俺の駄馬はそこで解散した。
まあ二人にはこの後、楽しい楽しい実地講座が待っているから少し休憩とさせておこう。
「栄光ある我等の進軍を阻む愚か者めがっ! さっさとその土山をどかして道を開けろっ!」
え? 何こいつ?
アレハンドロだけをお供にしてマロッドに近づいていくと、騎乗したマロッドについて前に出てきた大柄で粗野そうな騎士が居丈高に騒音のような罵声で叫んだ。
マロッドを見ると困った顔で苦笑して肩を竦めた。
どうやら彼の護衛についたバカが馬鹿を勝手にやらかしたらしい。で、バカの対処を俺に任せたいようだ。
超面倒臭い。
こういう威圧と暴力で世間を渡ってきた自己バカの相手をするの苦手なんだよね。だって基本人の話なんて聞かないから、凹ませるのに手間がかかるのよ。
あ~前世の理不尽部長を思い出すわー。暴言威圧に前日仕様変更当たり前、日曜深夜に帰宅してようやく柔らかい布団の上で眠りに入った時に、取引後の限度を超えたアフターサービスをしろと鬼電してきた部長。
嫌な記憶が思い出されてやる気が失せかけると、心のオッサンが親指立てて首を切り、そのあと下に向けて笑顔でやっちまいなと訴えかけてくる。
そうだよね前世みたいに我慢しなくてもいいよね!
それにちょうどいいタイミングで大柄な騎士が大ポカをやらしてくれたから、マロッド以外が命惜しさに逃亡出来る最後の機会を摘もうか。
「はい言質取れましたー。君の発言でマロッド王子率いる貴族達は、エルセレウム王国に背く謀反人と確定しました」
「なっ!?」
俺が大声でマロッド達を逆賊だと宣言をする。
大柄な騎士どころかマロッドの後ろに待機している烏合の集団に動揺が走った。
何を驚いているのかな?
「君、僕が逆賊と言ったのを否定しなかったよね」
ボーナス査定もしない上司でもないのに、俺に前世の部長のような威圧は効かないよ。
「そして進軍と言った。国家の中心にある王城に軍を向けるのがどういう事なのかぐらい、騎士の恰好をしているのだからわかるよね」
うんうん、顔が青褪めているってことは最低限の知識はあるようだ。ただの筋肉バカだったら
ん? 小さい声じゃ聞こえないよ。さっきの大きな声はどこに行ったんだい?
「くっ。だが我々は第二王子マロッド様の下で……」
「王子でも王女でも有力な貴族が集まっても、王かその代理が招集命令を出さなければ、たとえ王を助けるという名目があっても、城に兵を向ける行為は謀反なんです。君達は死んでも国賊です。ほら、観に来ていた貴族の配下や民が、君の言動を広めに動き始めていますよ」
チラリと視線を横にやって、俺の言葉が正しいことを示す。
俺達でもマロッド達の陣営でもない者達がちょこまかとしているのが見れた。
きっと一時間もすれば王都の半分にはマロッド達が国賊だと知れ渡るだろう。
彼らの騎士として貴族としての全ては地の底に落ち、さらにその先には破滅の穴がある二重のオチの今後の短い人生がマロッド以外の陣営には待っている。
だから取れる道は一つしかない。
「そんなものは私が王になればひっくり返る。だろう?」
対応出来ない大柄な騎士をさらに追い詰めようとした俺を止めたのは第二王子マロッドだった。
「私の臣下をいじめないでくれるかな」
「いじめてはいませんよ。迂闊な発言は身を滅ぼすのを身をもって体験してもらっているんです」
苦笑してマロッドが馬を前に出してきた。
綺麗な手綱捌きで素人レベルではない事は俺にでもわかる。
「放蕩三昧の遊び人だったのに馬の扱いがお上手ですね」
「女の子を前に乗せての遠乗りは人気があったからね。セルフィル君も覚えた方がいいよ」
「考えておきます……」
くっ! グリエダさんの前がおれの固定位置なのを気にしているのを気づいているな!
「さてタエルス。君の不注意な言葉で私の軍が動揺しているね」
「は……」
大柄な騎士はタエルスというらしい。
そういえば集めた兵士達を鍛えている騎士がそんな名前だったような気がする。アホな事してんなと、呆れて脅威度を少し下げたのは覚えているけど、そのせいで記憶できなかったのかもしれない。
「特に貴族達は、たった今消えた逃げ道を探そうとしている。戻って兵を締め上げろ。そして何人かは殺してもいいから、貴族を逃すな」
「……」
美しい顔に感情一つ乗せずに命令するマロッドに大柄な騎士はひるんだ。
そこにマロッドは馬を寄せて騎士の身体をポンと軽く叩く。
「逃げ道は無い。無いが、私を王位に即位させる勝利への道は目の前にあるぞ。タエルス、君が我が軍を率いて勝利に導いてくれ」
「は、ははぁっ!」
大柄な騎士は兵士達を落ち着かせるために下がっていった。
取引相手の俺から追い詰められ、自分の上司直々に更に落とされた後に持ち上げられて、重大な仕事を任せられる。
どん底まで落としてから手を差し伸べて、扱いやすい駒に仕立て上げるなんて、軽めのマインドコントロールだよね。
「さあ、間抜けな横やりを入れる者はいなくなったよ。私と、いや僕ちゃんとお喋りしようか」
すっごい楽しそうに声を掛けてくるけど、人を消耗品と思っている人とお喋りしたくねー。
悩みショタ「う~んう~ん、次代の王の選択ミスったかな?」
のじゃ姫「のじゃっ!?」
長兄「愚王でなかったら、まあたいして変わらんだろう」
遅くなりましたーm(_ _)m
ショタが騎馬戦ごっこするから、マロッドとの舌戦まで書けませんでした(ノД`)
まあそのおかげで愚王派だった貴族は逃げ道は完全に無くなり、前に進まないと後ろからショタが宰相、騎士団、王妃派貴族、覇王様をけしかけられます(゜∀゜)
彼らにはもう王になったマロッドに縋り付くしか生きる道はありません。
その為には城門前にいるショタを倒さないといけないのですが…無理じゃね?(;・д・)
覇王様よりましかな?
前世の理不尽部長ですが、しっかりざまぁされています。
黙認していた叔父の専務と一緒に、セクハラモラハラの証拠、愛人との写真が社内の共有フォルダにアップされて人生終了しました。
心のオッサンと平社員は喜びましたが、ブラックな業務は減らなくて、なぜだぁ!?と絶望しました(つд`)
心のオッサンは置いといて。
舌戦の後は戦いが始まります。
ニワトリにも空中三段蹴りで負けるショタが勝てるのか!?
乞うご期待!(*´∀`*)ノ
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