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ひとときの安息か~ら~の~(裏主人公その4)

筆者は投稿を我慢することを覚えた!(`・ω・´)

だがそれは半日だ!(´・ω・`)

ダッシュ君最後の回です。


 ボスンと倒れこんだベッドは僕を優しく受け止めてくれた。

 ベッドのシーツは白一色の清潔さで、替えたばかりなのか太陽の匂いも嗅ぎ取れそうなくらいで、何年も同じものを使っている僕のベッドのシーツとは比べられない。


「僕、ここで一生暮らしていくんだ」

「何言ってんだよ」


 至福の時間を享受している僕に、現実に戻す無粋な声を掛けてきたのは呆れ顔のスナオ君。

 そう言う彼も僕が横たわるベッドの反対側の壁に設置してあるベッドに座っている。


 最近の僕達は国の機密に触れすぎたせいで、城の中に部屋を貰っていたけど、成人したら放逐される下級貴族の子供の僕達に、貴族が宿泊する客間が一人ずつ用意されていたのをお断りして、使用人の二人部屋にしてもらった。

 調度品一つでも壊したら僕の人生が終わりそうな物の中で気が休まらず。隣の部屋だったスナオ君は、馬車よりも床が上等らしく一歩も足を踏み入れていなかった。

 調度品が机のみ、柄が染みの壁に、ベッドが二つだけ置いてある使用人部屋に通された時は二人で気が抜けて泣いたよね。


「それより今晩のアレって何だったんだ?」

「僕だってわからないよ。久しぶりに部屋で眠れると思ってたら、ホリー嬢を連れた宰相様が急にやって来て、招集されたんだから」

「俺は郊外からようやく帰還を許されて戻って報告しようとしたら、城門前でダッシュを縄で拘束した宰相様が、鞭を持ったホリー嬢に引き連れられているのに強制参加させられたんだぞ」

「あ、それ僕がスナオ君を見つけたから巻き添ゴホゴホッ仲間は多い方がいいって宰相様に囁いた」

「せめて取り繕うぐらいしてくれよ……」


 どうしてスナオ君は肩を落とすのだろうか。


「それで本当にアレは何をしたかったんだ」

「うーん、たぶんだけど明日何かが起きて、僕達がさっき行った事で誰かが不幸になるんじゃないかな。セルフィル様の指示だし」

「セルフィル様だもんなぁ……」


 小悪魔の正式名称で分かり合えるのは苦労を分かち合った仲間だからだろう。


「ダッシュはいろいろと知っているんだろ教えてくれよ」


 スナオ君はベッドに横になりながら情報をよこせと言ってくる。


「スナオ君はどのくらい知っているの?」

「あー、セルフィル様が第二王女様の教育に取り組み始めて、グリエダ様の訓練じごくの頻度がかなり減って騎士団の皆で喜んでいたら、王都郊外に長期滞在用の拠点を造るのに駆り出されたところまでかな」

「スナオ君……。騎士団の行動歴と同じなんだけど、騎士団員じゃないよね? 」

「おかしいよな。俺さ警備兵の下っ端ぐらいになれたらマシな職に就けたなと考えていたんぜ。それなのに今は国家騎士団の兵士の下っ端のような事をしているはなんでかなぁ……。やたら豆料理が多くてさ、食べれるだけ自分の家よりも良いんだけど」


 遠い目をして涙を目尻から横にながしながらこちらを見ないで。

 言えない。

 僕は忙殺される前は午前中ぐらいは学園に行けていた。

 その殆どはセルフィル様が考えたゲームを第二王女様とする事に費やされていたけど、その時にセルフィル様がゲームをしながら何かを書きながら呟いているのが聞こえたんだ。


『ん-、ハイブルク公爵領兵で試した事を王都でもしてみましょうか』

『ちょうどいいところに成長期の若い子が確保できてるし。ハイブルク邸にある僕の罰用の豆を融通して、卵も僕よりも強いハイブルク邸のニワトリから頂き、肉はロンブル翁に狩らせるか。肉体負荷は騎士団にいればそれなりに出来るだろうけど、効率がいい訓練方法も教えておこうかな』

『ハイブルク領ではやり過ぎてマッチョを大量生産したから、今度は持久力がある方がいいかな。長期間動く信用あるメイドインジャパンがやっぱり好まれるし』

『親友に人体改造の方法を教えてもらっていてよかったなぁ。洗のゲホゲホ……の方は才能が無かったのかてんで駄目だったけど』


 あんたに親友がいるのかと驚いて、その時は聞き流した話の内容は、おそらくスナオ君の事だったんだろうな。

 だって以前はそこそこ体格の良かったスナオ君は、現在は身長も明らかに伸び、体も一回り大きくなっているからね。

 スナオ君には小悪魔が関わっていると教えない方がいいだろう。ただきつかったと思う方が心の負担は少なくすむはずだ。

 ……僕も何かされていないよね?


「僕だって詳しい内容は知らないよ。セルフィル様が第二王女リリアーヌ様の教育のついでに、王派の貴族達を一網打尽しようとして失敗したぐらいだよ」

「めちゃくちゃ詳しい」

「側妃派のランドリク伯爵の屋敷に逃げ込んでいた第二王子マロッド様が伯爵家を乗っ取って」

「待った」

「第一王女のオーレッタ様はマロッド王子の手先みたいでさ。王女様が逃げ込んだ王派筆頭のアガタ公爵も王子の下に取り込まれたみたいで」

「情報が多い情報が」

「それで今はマロッド王子率いる貴族達が王都近隣の村、町を襲っていて、その対処に忙殺されたのが僕達文官サイドです」

「おいそれって」

「うん、スナオ君が王都に帰還させられたのは騎士団が討伐に出るからだね。訓練や雑用には参加は許されても、さすがに実戦には連れていけないよ」

「うーん」

「従軍したかったの?」


 唸るスナオ君に問う。


「いや討伐について行くほどの覚悟なんて無いし。でも教えてほしかったなと、複雑な気分」

「まあセルフィル様のせいで見習いぐらいで騎士団に組み込まれていたんだからしょうがないよ」

「そうだよな作戦行動なんて教えてもらえる立場じゃないよな。腹いっぱい食べれるだけマシか」

「そうそう」


 でもそれはスナオ君の立場は僕にも当て嵌まる。

 僕が知っているのは、セルフィル様の策が失敗して大幅な修正が入った部分の大まかな部分の更に上澄みだけだ。

 細かい部分や裏に何かを僕達子供が知ることはない。


「僕達はしょせん貧乏下位貴族の放逐される子供だから、きつい仕事の代償に美味しいものをお腹いっぱい食べれて、すきま風が入ってこない部屋を与えてもらっただけで、か、か感……謝しないと?」

「ダッシュって思ってもいない事を言う時、すっげー顔に出るよな」

「え、出てた? 」

「もろに」


 う~ん、もしかして逃亡しようとした時によく逃げるなよと言われたのは表情のせいか。教えてくれない国の上層部の人たちは酷いと思う。


「ふわぁ。もうそろそろ寝ようよ。日中は文字を見続けて頭を使い、夜は遅くまで肉体労働して、僕の眠気は最大なんだよ。おやすみ」

「あ~俺もだな。日中は杭打ちは剣術の基本って断言する先輩に捕まって杭打ち百本をしたうえでの深夜のアレだから、流石に死ぬ」


 あくびが出た僕が就寝を告げると、スナオ君も大人しく毛布を被った。

 しかし杭打ち百本こなして僕達に付き合ったスナオ君の体力は、順調に小悪魔の予定通りに成長しているみたいだ。


「本当にアレなんだったんだろうな。城門前の広場の石畳を掘り起こして下の固くなっている土をある程度耕してから石を戻すって」

「僕にわかるわけがないよ。改名したマトモハリー嬢もセルフィル様の命令を受けただけで、わかっていないんじゃないかな」


 最終的に狂人こあくまの考えはわからない、に二人ともたどり着いた。


「そういや俺さ、部屋に戻る前に報告をしたら、明日から休暇って言われたんだけど」

「見習いじゃなくて新人扱いされてるね。僕の方も埋もれる程の書類の山があるのに日が落ちる頃にはみんな仕事を止めて、明日は丸一日休みで全員寝るって」

「……」

「……」

「寝るか。もう疲れすぎて何も考えたくない」

「うん、そうだね。僕達も丸一日寝ようか」


 考えちゃダメだ考えちゃダメだ。

 明日、小悪魔が何をやらかすかなんて考えたら眠れなくなるの!


 ◆◆◆◆◆◆◆◆


「あったらーしい朝が来た! ぜっつぼーのあっさーだ!」

「「……」」


 小悪魔が僕達の部屋の扉を全開に開けて、元気に笑顔で叫んでいる。


「おはようお寝坊さん達! マトモハリー嬢から聞いたよ。昨晩は頑張ってくれたみたいだね! でも若いからもう元気に動けるはずだ! さっき悪戯しに行った宰相なんて目を開けたまま死相が浮かんだ寝顔で死んでいて、怖かったから何もしなかったよ」


 あぁ、僕達はまた間違えた。

  城のベッドの方が寝心地が良いのと、朝食がお腹一杯食べれるのに惹かれて、城に残ってしまった!

  宰相様達がいるところは安全地帯なんて、何時からそんな変な勘違いしていたんだ。


「ダッシュ君にスナオ君」


 セルフィル様が小悪魔の様にニヤリと笑った。


「ちょっと実戦をしに行こうか。いい経験が出来るよ」


ダッシュ&スナオ「「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!」」

ハイテンションショタ「うむ、良い鳴き声だ。前世でようやく帰れる目処がついたと思った3秒後に、追加の問題案件を押しつけられて覚醒した後輩を思い出すよ」


これでダッシュ君のお話しは終~了♪(*´▽`*)

そしてようこそ本編、小悪魔ショタよ(´・ω・`)

ダッシュ達のデスマーチは終わるのか!

次回!ダッシュ死す!(心が!)


そして筆者もストックが切れたどころか、バカップルもまだ書いている途中だ!死ぬな筆者!(;´Д`)

筆者のデスマーチはいつものことだ!


というわけで、次回からショタに戻ります。

ショタがやらかしている間のダッシュ達がどうしているかの回でした。

でもダッシュが知っている情報が少なくて書ける事が制限されまくりで、なかなかの難産でコメディ回になってしまいました。

長兄や宰相は把握していますが、ダッシュ達は制限された情報しか知りません。子供だからさ。ですね(^_^)

だから逃げるタイミングを間違えて、小悪魔にゲッツされる二人です。南無~(´・ω・`)


コメディはここまでです。

次回からショタが少し本気を出します(`・ω・´)キリッ


ご感想、評価、ブックマーク、いいね、をしてもらえると頑張れます。

感想欄にはたまに裏設定とか、ポロッと書いたりしています(^^)


秋も近づいてきたので、寝る時のお供に

【釣り合う二人はバカップル】

ノクタ版

https://novel18.syosetu.com/n1277hy/


カクヨム版

https://kakuyomu.jp/works/16817139556484842815


ノクタ版はエチエチが入ります。ノーマル版はカクヨム版を。

ただのバカップルを書いていたのに、人前で読むと、口から噴射して大変なことになる物語です。

ショタの前世の親友、魔王様も少し出ます。

笑わずに読めたら是非ともご感想を!

君は雨乞いワールドから逃れられるか!(*´∀`*)ノ

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【コミカライズ一巻も発売するよ!】 【ハイブルク家三男は小悪魔ショタです1~3巻、コミックス1巻絶賛発売中!】 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵
― 新着の感想 ―
[一言] 二人に週休二日制を導入してあげてください? と、ふと思ってしまいましたww
[一言] ダッシュ君シンジくん化待ったなしw
[良い点] > 「めちゃくちゃ詳しい」 > 「待った」 > 「情報が多い情報が」 > 「おいそれって」 このテンポ!スナオ君はきっと6組の転せ……ゲフンゲフン。 [一言] 更新ありがとうございます。…
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