敵側の内情は非情(+コメディ)
遅くなりましたm(__)m
それもこれもPCのQとSとDのキーがお亡くなりなったせいです(´Д`)
買い換えとデータ移行で、筆者のやる気と脳内データがお亡くなりに。
「ふう……」
彼は書類に通していた目に疲労を感じて、椅子の背もたれに寄り掛かる。
上質な革と高級な木材を惜しみなく使い、一流の職人によって作りあげられた椅子は優しく疲れた体を包んでくれて、それだけで回復しそうなくらい。
「これでセンスが良ければ言うことないんだけどな」
椅子に全身をゆだねる彼の呟き通り、椅子の木材部分にはやたら金銀と宝石で飾られギンギラギンと主張が激しく、いくつもの極彩色で染色された革部分は目に映るだけで心が疲れそう。
なので彼は目に映らないように天井を見つめる。
彼のいる部屋は、持ち主の見栄と贅沢で彩られているので天井ぐらいしか目を休めるところが無いのだ。
「マロッド様」
「んっ……、入ってくれ」
ウトウトと意識が飛びそうになった彼、マロッドはドアのノックで覚醒する。
体勢を整えているうちに、ドアから数人の女性と一人の大柄な男が入室してきた。
彼女らはランドリク伯爵邸にセルフィルが訪問したときにマロッドの両隣にいた人物である。
ただし、その時のマロッドに寄り掛かった品の無い女ではなく、背筋を伸ばし完璧な貴族子女の雰囲気を出している。
ただ、以前と変わらず品の無いドレスや化粧のおかげで外見はどうしようもないようだが。
「お休み中でございましたか」
「いや、ちょうど合間に少し一息入れただけだよ。報告かい?」
「はい。騎士団が王都近隣の盗賊討伐に向かうことが決定しました」
「ふむ……、数は?」
「確定ではありませんが二千五百」
「三千の内の二千五百、出したねぇ。あと五百しかいないから、王都に衛士と一緒に配置かな。タエルス、君なら城に何人残す?」
「そうですな……」
マロッドは女性達と一緒に入って来た騎士に顔を向いて聞く。
声を掛けられた騎士、タエルスは小山の様に大きい男だ。全身が巌のような体格に女性の胴ほどある腕周り、既成品では合わずランドリク伯爵が用意したのであろう特注の服を着込んでいた。
「大体百名でしょうな」
「では君が短期間で鍛えたランドリク、アガタ派閥から集めた三百の兵達でやれるかい?」
答えたタエルスは再びマロッドに尋ねられる。
それに彼は獰猛な笑みを浮かべる。その目には王子に対する敬意はない、ただただ飢えて獲物を欲する欲があった。
「吾輩が鍛えた連中ですぞ、どんな敵でも粉砕してやりますわっ!」
タエルスは胸を拳で打ち、大太鼓を鳴らしたような音を鳴らして宣言する。
それに女性陣は驚き、そして不快な視線を彼に向けた。
王子のマロッドの傍で見続けたせいで、タエルスの粗暴な行動に不快感を表している。気品、マナーの貴族の世界にはあり得ないものだからだ。
「うん、その気迫のある言葉があるなら安心できるよ。私の騎士団をタエルスに任せて良かったね」
「ハッ!作戦実行の日までにもっと鍛えましょうぞ」
しかしマロッドは違った。
満面の笑顔で期待していると相手を称える。
それに更に胸を張ってこたえるタエルス。
「しかし、王子の私と言うのには違和感がありますなぁ。吾輩を配下に勧誘したときはその……」
「ん?じゃ僕ちゃんのほうがいいのかい」
「いやいやいや!今の方がよろしいですぞっ!王子としての品がありますからなっ!」
マロッドは表情を軽薄に口調も重みの無いものに変えると、タエルスは慌てて否定した。
王族に己の意見を通すほど彼は非常識ではなかった。
「そうかな~。まあ、ドロドロした王家の中ではさぁ、女たらしにでもならないと私は生きていけなかったからね。君が溺愛されている長男で、弟が優秀で差を見せつけられたらどう行動を起こす?」
途中から口調を落ち着いたものに変えるマロッド。
どこぞの末っ子の二重人格のように僕と俺を変えて愚王を恐怖に陥れたが、マロッドの場合は発言の流れを止めずに変化していく。
愚王とその側妃ヘレナは三人の子を作ったが、第一王子にだけ愛情を注いでいた。第二王子と第一王女など周囲に言われなければ、意識にも上らないほど無関心。
そんな状況で己が優秀だと示し、第一王子がマロッド達弟妹が邪魔だと愚王に言っていたら……。
「ううむ。吾輩なら殺しますな」
「だろう?その為の処世術は必須だったんだよ。まあ自分が女の子を好きになるのは予想外だったけどさ」
タエルスの言う通り殺されていただろう。
マロッドと妹のオーレッタは何度かは、己の両親と顔を合わせている。
その時、傍にいた第一王子には愛用のオモチャを大切にするような愛情を、マロッド達には向けなかった。
庭園に咲く多くの花の一輪、自分達大輪の花を華やかに魅せるための多くの貴族と変わらないもので。
邪魔なら摘み取られることが幼い時分のマロッドでも理解できた。
「それは英雄色を好むというのでないですかな。これから王子は王になるので丁度いいではないですか!」
「ははは、確かに王になるには必要かな」
「吾輩も女は幾つか所有しておりますが、王子には負けますな」
「それならタエルスは騎士団長くらいかい」
「ほうっ!それは言質を取ったと思ってもよろしいので?」
「王になる為に働いた功績にはそれ相応の恩賞を与えないと、私の才覚が問われるからね。その時には受け取ってくれるよね?」
「……爵位も欲しいところですなぁ」
タエルスはニヤリと強欲な笑みを浮かべて更に要求する。
「もちろん。子爵は確実になれることを約束しよう。私が王になった後の必要が無くなる連中の後始末も上手く実行してくれれば、伯爵の地位も……ね」
思わせぶりに告げるマロッドに、笑みが深まるタエルス。
「ま、それも私が王に成ればだ」
その後は訓練の進行状況、作戦実行日の軽い打ち合わせをして、タエルスは部屋から出ていった。
「……あ~、根本的な部分が違う者との会話は疲れるね」
タエルスが部屋から出ていき、しばらくしてからマロッドは肩をほぐしながら呟く。
「マロッド様、あのような無作法者ではなくて、他の者の方が兵を纏めるがいいのでは?」
「困ったことにランドリク伯爵家に優秀な人材はあまりいなかったんだよ。それなりに実力はあっても、土壇場で背中から切りつけてきそうな五人はあちらに処分してもらったし」
五人とはセルフィルとグリエダを狙わさせられた騎士達だ。
力はあっても己の我欲にしか興味が無く、いつどこで裏切るか予測できないと捨て駒にされたのである。
今は装備や馬を全て剥ぎ取られ、名も無き者としてどこに打ち捨てられたのか、マロッドにもわからないし、興味もない。
「君の言う無作法でない連中は騎士どころか魔術使いでもないし、兵を率いたことがないランドリク伯爵家のお飾りのなんちゃって騎士だから。まあ彼は短い付き合いになるから我慢してくれ。あ、私がいない所では話しかけてはいけないよ。古騎士の体現者が彼だからね」
「騎士の体現者ですか?」
女性達は首を傾げる。
「うん、古いが前に付くけどね。騎士道精神とかとってつけたものでなく、食い物を奪い、男を殺し、女を襲い、土地を奪うことこそが誉れと本気で考えている争乱時代の騎士だよ」
タエルスは攻めにくい土地にある比較的平和なエルセレウム王国では殆ど存在しない騎士だ。
戦で略奪の経験をした祖父の自慢話を幼少期に聞いてきたタエルスは、王が寵愛した女の生家の領地で、その恵まれた体格と魔力もって憧れた祖父と同じ騎士になった。
「さすがに君達には手を出さないぐらいの常識はあると思うけど、一応皆にも近寄らないように言っておいてくれ」
マロッドの忠告に彼女達は何度も頷いた。
「大丈夫、私が玉座に座るまでだから。多少前後するだろうが彼の命は尽きることになっているからね」
怖がらせてしまったかなと苦笑するマロッドに、彼女達は魅了されたように見つめる。
マロッドの言うことは正しい。
ランドリク伯爵領で古い価値観の騎士の行動を起こしていたのなら、王の威光が無くなった今、女辺境伯が許すはずはないのである。
騎士団長?伯爵位?いくらでもマロッドはあげるつもりだ。ただ、命の保証は自己管理なだけである。
「いなくなる彼の話はこれまでにしよう。さあ報告をしてくれるかな」
「「はい」」
そこからは根拠のない自分がやっているから大丈夫という話ではない、ちゃんと実のある会話になっていく。
「さっき言っていた盗賊討伐にヒルティ騎士団長もでるのかい」
「まだ不明です。討伐しに行く団員数から考えればほぼ間違いないでしょうが、確実な情報はまだ」
「う~ん、彼が指揮しないと討伐に時間がかかるんだよね。以前の部下に任せた時と彼が直接動かした時の差が開き過ぎていたんだよ」
「それならば指揮を執るかもしれない副団長に、しばらく体調を崩してもらいましょうか」
「いや、アガタ公爵から出す人数を増やそう。もう少し減らしたかったから丁度いいね」
「出てくるでしょうか?」
「盗賊が増えるのは事実だから出てくるだろう。ついでにお飾り旗頭の私からも密告で手紙を出そう。私の祖父ランドリク伯爵の暴走が激しいとね」
マロッドが首謀者というのは、王城にいる少しでも情勢を知る者なら知っている。
「宰相は中立にすることを決めたようです」
「うん、あの人は誰が王位に就いても国の運営が滞ることのないように傍観するのだろうさ。少し私の父方の祖父のせいでおかしくなっていたけど、冷徹な文官に戻ってくれて嬉しいよ」
「その代わりに、王派閥から抜けてハイブルク、セイレムに擦り寄った貴族達が、門前払いされてこちらに戻ろうとしています」
「はぁ~逃げ道が無いのに裏切り出戻りしてくるなんて最低最悪な連中じゃないか」
額に手を当てて、呆れたため息をつくマロッド。
「あー、ではさっき言ったアガタ公爵からの人員のは取り消し…いや、出戻り貴族達も一緒に追加で盗賊として討伐してもらおう。騎士団だけでは足りなくだろうからセイレム公爵にも派遣を促そうか」
「王家に不信を抱いているセイレム公爵にですか?」
「王家ではないよ、王と兄の第一王子にだ。側妃のヘレナの子である私とオーレッタはリリィより公爵にとって価値は下がるが、か細くなる王家の血を残すために私の言葉くらいは聞いてくれるさ。それに役立たずの王派の貴族達を一気に減らせる機会を逃すことはしないだろう。なにせ私はお飾りで己の助命のために真実しか伝えていないからね」
マロッドは堂々と祖父のランドリク伯爵を裏切っていることを告げた。
なのに女性達は平然としている。
彼女らは事前に知っており、そしてそれを当然としてマロッドの為に動いているからだ。
「私が王位に就く為には、法を通せば成れず、有力貴族の支持を持たないから後押ししてくれる者もいない。だから幽閉されている現王の父に直接次代の王と認めてもらうしかないね」
祖父の趣味の悪い椅子に背を預ける彼。
「その為には王城に入城しないと始まらない。そして父の傘の下で国を腐敗させた連中を生贄に差し出して、王妃様寄りになっている貴族達に認めてもらわなければ玉座に座り続けることは出来なくなる」
「こちらの肥えた豚達の兵力をさらに分散させて、現王のせいで評価を落としている騎士団に撃破させて功績を上げる機会を与え恩を売るのですよね」
「そのついでにセイレム公爵には王家に向いた不満の解消をしてもらう。解消相手は自分の娘を貶めた二家の派閥だから喜んでくれるだろうさ。私たちの計画実行日に動かないようには工作していたけど、忠誠というものは不確定要素を生むから、見捨てた王に向かないように外で動いてもらおう」
「マロッド様がセイレム公爵と直接相対せずに済むことなったのがホッとしています」
「私もです」
「心配してくれてありがとうかな。確かにあの公爵のいかつい顔には、王に即位して十分な利を提示出来るようになってから会いたいね」
三人の間に小さな笑いが起こった。
そこには現時点での仲間を裏切り、敵側に寝返る事に後ろめたさが一欠片もない。
襲う予定の集落も現王に組した別派閥の領地のもので、まともに領地経営していたら気づくものだが、代行に任せきりで王都で謳歌していた貴族達にはわからないし、知ろうともしない。
そこにマロッドが王に成る為に個別に指示をした。いや、王に成った暁には滅ぶその身を優遇しようと囁く。
王妃が、宰相が、セルフィル=ハイブルクが国に必要ないと数年かけて処分しようとした貴族達に、次代の王の傍に侍られるという甘い甘い果実をマロッドは用意した。
ただしそれは罠の中に置いてある。
「多少の修正は必要そうだけど問題になるほどではないね。何か起きた時にはすぐに伝えるように、深夜でも」
「「はい」」
情が湧かないから彼らは淡々と、ランドリク伯爵、アガタ公爵らに対しての処理をしていった。
「……最後に重要人物の彼なんだが」
マロッドは報告が優先度が低いものに変化してきたのを感じ取って、女性達が最近最後の楽しみにしている報告をするのを促す。
「「……プッ」」
彼女達はマロッドの言葉に緩んでいた己を引き締めようとして、吹き出した。
「ぷ、くふふっ」
「す、すいませんっ。少しお待ちいただいてもらますか」
「う~ん、ジェロイ君を兜下着一枚にしたり、リリィにイノシシの解体をさせたりして王女とは?と笑わせたり悩ませたりさせてくれるセルフィル君は、今度は何をしたのかな」
「「くっ!笑わせようとしていますねマロッド様っ!」」
「君達が最後に彼の情報を持ってきて、私のお腹をよじれさせてくるからだよ。この前のリリィと女装した彼が、変なステッキを持ってお尻をフリフリしながらダンスをしていたと、実演付きで報告された時は、笑い死にさせる新しい暗殺方法かと考えたんだからね。確か、『この世に悪がはびこる限り、のじゃショタは撲殺しに現れるっ!のじゃプリリリィとショタっ娘セフィ!モーニングスター明け星君ゼクスで一撃よ!』だったかな」
「「ブハッ!!」」
マロッドが裏声で女の子の声を真似をすると、女性達が淑女が出してはいけないものを出しながら膝をついた。
それから数分、彼女達が復帰するまでマロッドは待った。手で覆うようにしている口元は自爆の吹き出しを我慢していたが。
「さすがにこれ以上のことはないと思うけど、報告してくれ」
「つい先ほど、大慌てでハイブルク邸から馬車で出発しました」
「ふむ」
「行き先はアレスト女辺境伯邸でした」
「まあ着せ替えで遊んでいるときに何か問題が起きて、リリィがアレスト女辺境伯の屋敷に移っていたからね。もしかすると作戦実行日までそのままかと心配していたんだよ」
ホッと息を吐くマロッド。
だが、彼はセルフィル=ハイブルクと配下達の行動を予測出来ていなかった。
「ただ少し問題が」
「ん?」
「先触れで玄関先で今か今かと楽し気な雰囲気で待機していたアレスト女辺境伯の前で、馬車から降車しようとしたセルフィル様が躓き前から倒れこみ」
「傍に控えていた褐色の肌の美男子執事が抱きかかえて助けたのですが」
「それを見ていた両手を広げて満面の笑みで迎えていたアレスト女辺境伯が、額に青筋を立てて屋敷に籠りました」
「はい?」
「現在は美少年が半泣きで扉を叩いて許しを請うています。痴情の縺れですね」
「彼はいったい何をしているんだいーっ!?」
マロッドは叫ぶ。
敵対している重要人物が、婚約者と執事で恋愛物語を繰り広げていたら、そりゃ叫ぶだろう。
「大丈夫です。終わった時は連絡が来るようになっていますので」
「いやいや、ちゃんと途中経過も連絡しようよ。彼とアレスト女辺境伯の仲が悪くなると、女辺境伯が王都に滞在することになって私達は全滅なんだよ?」
「そこは愛する婚約者と元鞘になるので安心してください」
「君、数年前から流行っている恋愛小説にハマっていたよね?」
「私は、褐色執事に略奪愛されるのが……」
「それだと殺されるんだってーっ!!」
それから約二時間後に、無事ショタがアレスト女辺境伯の屋敷に入れたことがマロッドの元に届いた。
ちなみに報告していた女性二人は、現場を直接体験するのも必要な経験と向かってしまったが。
最終的に、セルフィルの服装が赤いランドセルで下着丸見えのスカートを穿く一歩手前のナース服で屋敷に入ったのはマロッドには報告されなかった。
シリアスが死ぬ、と考えた女性達の配慮である。
「ふぅ、こんなギリギリでご破算にするようことにならなくてよかったよ」
暗くなり窓際で月の明かりで報告書を読んだマロッドは安堵の息を吐いた。
報告書にはリリィを連れていなかったが、セルフィルの表情はマロッドと同じように安堵していたらしい。
「セルフィル君。君がいてくれたから僕は今回の事を実行しようと決めたんだ。どうか最後まで僕のパートナーとして踊り切ってくれよ」
月明りはマロッドの手元しか照らさない。
暗がりにある彼の表情は月にも知られなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
少し時間は遡り。
「うぇ~ん、どうして扉を閉めるんですかぁ~」
「セルフィル様、女辺境伯様程の魔力使いなら屋敷内からもセルフィル様の泣き真似ぐらいはわかるかと」
「こんなことになったのはお前のせいだからね!あ、一緒に締め出されたアレスト家の使用人さん達本当にごめんなさい。ご不満があるなら、この変態を殴ってください。素手は傷つくので棒か石で」
「私も殴られる相手は選びますよ。それよりセルフィル様、いい案が浮かびました」
「変態の案は基本変態だけど、一応言ってみて」
「今の現状は昔、セルフィル様からお聞きしたアマノイワトです」
「……なるほど」
「気を惹くようなことをすれば、閉じ籠った相手が興味を抱いて扉を開くことでしょう」
「真性変態が珍しくまともな事を言ったな。いつもなら僕を剥こうするのに」
「なので馬車にセルフィル様の衣装を用意しました。お勧めは紺のブルーマーです」
「真面目に耳を傾けた僕が間抜けだったか。まあ一理あるから試してみよう」
「「「試すのっ!?」」」(アレスト家使用人達)
「あ、いくつか着にくいのがあるんで手伝ってもらえますか。この変態にさせると変態接触をしてくるから嫌なので」
「「「あ、はい」」」
「う~ん、まずはブレザー女子からかな~」
「紺のすくぅるみずぎはどうでしょうか?」
「お前は僕を社会的に殺したいのか?」
◆◆◆◆◆◆◆◆
数日後。
ある場所で作業をしている数名がいた。
「くそっ!あの悪魔めっ!」
「「……」」
「中立を取ると、どちらが勝っても横からかすめ取っていく蝙蝠野郎と王都中に触れまわすから手伝えだとっ!」
((愚痴を言わずに手を動かしてほしい))
「ほら宰相様、手がお休みになられていますよ」
ピシッ!
「ひいっ!マ、マモト家のホリー嬢、痛いからその鞭を止めてくれないか」
「服の上からなら衝撃しか与えないからとのセルフィル様のお言葉ですよ宰相様。あと私は先日、改名してマトモハリーになりました」
「あの悪魔への忠誠度が上限越えしている!?いや、そんな改名より私の家に養子に入ったほうが(ピシッ!)はうっ!」
「宰相様……、私は第一王子の婚約破棄騒動に巻き込まれてわかったのです。人はなんて弱者に厳しいのだろうと」
「……」
「そして私を助けてくださったセルフィル様に教えていただいたのです。弱みを握って復讐すればいいのだと」
「あの悪魔めぇっ!」
「ついでに自分よりも弱者をいたぶるのも経験だよと」
(あの悪魔ーっ!!)
「残念ながら宰相様の弱みは、私ごときでは見つけることは出来ませんでした。そこで沈黙していれば被害は来ないと考えている二人については幾つか揃えたのですが」
「「おおいっ!僕達は真面目に作業しているだろう!」」
「なまけた時用です。残りの学生生活を地面を見ながら過ごすのは嫌でしょう?」
「「あ、悪魔の手先だ」」
「宰相様、お手が休んでいますが」
「ふん。蝙蝠と呼ばれるぐらい覚悟を決めればなんてことない。それに朝までに終えれ」
「あぁ貴方の瞳は氷の華よりも透き通り碧く美しい」
「っ!?なぜそれをっ」
「弱みが見つからなかったので、ヘルミーナ様と王妃様に相談したら、学生の頃に宰相様が奥方様に送った恋文の一部抜粋を……」
「あの悪女どもがぁぁああっ!」
「……効果は抜群ですね」
「おい、やべえよあいつ」
「崇拝する悪魔が城に来ないから苛立っているんだよ」
「こっちは悪魔の婚約者が来ないから、毎日のご飯が美味しいと騎士団の人達は喜んでいたのになぁ」
「そこ、次手を止めたら二年前の事が学園の女子生徒に広まりますよ。セルフィル様が責任を持って広めてくれるそうです。羨ましい」
「「いなくても悪魔だぁぁああっ!!」」
「あとちゃんと作業完了していなかったら、宰相様が権力で強引にダッシュに迫る本と、スナオが力で強引にダッシュに迫る本が今年中に発売されるそうです」
「「鬼かっ!!」」
「僕は二重で迫られるの……」
「先行でお三方の家、親戚筋に送られ、そういえば『騎士団長と宰相』は既にお二方の奥様も愛読書と」
「オロロロロロ」
「宰相様ぁーっ!」
「僕達のノルマが増えますから倒れないでくださいっ!」
「はぁーセルフィル様のお姿が見たいです」
ピンチショタ「開けてー!もうしませんから、開けてくださいー!」
むくれ覇王様「ムス~」
変態執事(ハァハァ、半泣きミニスカ制服サイコー!)
昭和の帰宅時間大幅オーバーした閉め出された子供をショタで表現しました(*´∀`)
あの頃は夕方になると数件の家の恒例行事でしたね。変態はいません。
さて、二章の敵チャラ王子ことマロッド回です。
味方の殆どを捨て駒として扱われると実力差があっても恐怖ですね。
ま、ショタは困りませんが(`・ω・´)
覇王様なんて差がありすぎて恐怖?何それ?ですけど(´・ω・`)
次回から玉座奪い合い当日編が始まります。(予定)
おかしいな書きたいこと削りまくっているのに一章の文字数をすでに超えている…(;・д・)
最後のコメディ二つは筆者のストレス解消です。クズを書くとストレスが溜まるのです。
この二つは三十分程度で書けるくらいストレスフリーヽ(´▽`*)ゝやはりボケか…(・ω・)
あとタイトルをしれっと変更します。
【ハイブルク家三男は小悪魔ショタです~婚約破棄のおかげで婚約者ができました~】
そろそろタイトルサギを脱却します(`・ω・´)









