チャラ王子のお手紙は波乱を呼ぶ(ショタに)
わかりにくいと思うので、第二王子マロッドの手紙を侍女長が読んでいます。
ショタが途中まで読んでそのまま仕舞おうとしたので、覇王様が侍女長に取り上げさせて読ませました。
普段なら覇王様の命令を聞く必要がない侍女長ですが、ショタがイタズラを隠すときの顔になっていたので実行しました。
これを読んでいるということは無事に屋敷に戻れたんだね。
それとも矢傷ぐらいは負ってくれたかい。
君が動けないくらいに負傷していてくれたら今後が楽になるんだけど、まあアレスト女辺境伯が傍にいたら無理だろうね。
君達を襲撃した騎士達のことは気にしなくていいよ。
実力はあったけど協調性が無くてさ。僕が王になった時にろくでもないことをしそうだから、最後のお勤めしてもらったのさ。
おかげで兵士を率いるのは、少しは身の程をわきまえた騎士になったから、女辺境伯には感謝した方がいいのかな?
「待ってグリエダさん。冷静に落ち着いてっ!」
「私は落ち着いているよ?第二王子をパンッと叩き潰せばいいんだろう?」
あ、さっき書いたけど僕、王になるつもりだから。
女の子が周りにいたら大人しくしているつもりだったんだけど、祖父からランドリク伯爵家の全権を貰っちゃったからさ。
機会があるなら頂点を目指すのは男の夢だよね。
だからさ。
邪魔な君達には動かないようにいてもらうために小細工をさせてもらうよ。
渡した手紙の暗号にまんまと騙されてくれたよね。
離れた妹を心配する兄のように書いてみたんだけどさ。
健気にも支え合いながら裏で敵対勢力を削ろうとしている風に読めた?読めたよね?
「侍女長読むの止めてっ!そしてこっち手伝ってなのぅっ!」
「いえ。私には辺境伯様をお止めすることが出来ません。ええ、セルフィル様の代わりに読み続けます」
「ハハハ。女性の脚にしがみつくなんて、セルフィルはいけない子だなぁ」
あの頃は王の椅子を狙える状況じゃなかったけど、君が引っ掻き回してくれるかなと思って工作したのは我ながら自分を褒めたい気分だよ。
優しい優しい兄と姉が破滅に向かっていくのを、リリィに見せない為にランドリク伯爵家とアガタ公爵家を潰そうとしてくれたのかな?
そうだったのならハイブルク公爵家は随分とお気楽な家なんだね。
「……セルフィル様、この手紙は破り捨てます」
「破こうとしたららめぇっ!せめてお伺いはしてほしいっ!」
「ちっ」
「侍女長ってハイブルクを侮辱されると態度が悪くなるよね。あと本当に手助けをっ!抱きついている脚と抱きついていない脚の振りが変わらないのっ!」
「御家に忠誠を誓っておりますのでイラッとするのです。セルフィル様、女性のおみ足に触れるのははしたないですよ」
そうそう妹のオーレッタは僕の手先だよ。
言うことを聞くように幼い頃から逆らえないように躾けてきたから、アガタ公爵を上手く乗っ取ってくれたね。
いくら僕が女好きといっても実の妹にまでには手を出していないよ?そこは覚えておいてくれないと、こちらのいらない役立たずの連中に王都で暴れさせるから。
少し前話しが長かったね、ここからが本題だ。
「長いっ!本題に入る前に何回死ぬつもりなの!?」
「ほら、民の命を軽く見る王位継承権を持つ愚か者なんて、首を直角よりも折れ曲げればいいんだよ」
「さすがエルセレウム王国の守護神、アレスト女辺境伯様です」
「煽らないで侍女長っ!」
君が全裸兜とこっそりと呼ぶジェロイ君に仕掛けさせてもらったよ。
彼は自分の家ヒラリス家に戻っているはずだ。
さて彼はオーレッタの様に僕の操り人形で指示されたとおりに行動したのか。
それともリリィの心に大きな傷を与えるかもしれない情報を知ったせいで自分で行動したのかな。
どちらかは君が直接ジェロイ君に会って聞いてほしい。
数日後にはヒラリス家から招待されるから、リリィを連れて行くといいね。
招待に応じなかったらどうなるか。ジェロイ君の命はあるかな?
そうそうアレスト女辺境伯も一緒でいいよ。
てか絶対について行ってね。
「ほらっリリィのことが書いてありましたよ。起きてっ!暴走気味の女性陣を幼女の純粋な心でお怒りを鎮めてっ!」
「むにゅ~。ふわふわパンケーキは美味しいのじゃ~。でもハチの巣を採るのは怖いのじゃぁ~」
「「セルフィル(様)?」」
「注目が僕の方にっ!?い、いえ安全を確保した上でやらせましたよ。全身を漆黒の革で覆い、黒の鉄兜にコーホーコーホー鳴るお面も付けて」
「子供になんてことをするんだい」
「王族になんてことをさせるのですか」
セルフィル君が最善の行動をしてくれることを僕は望む。
まあ、こちらの動きの殆どがわかる君なら大丈夫か、上手く動いてくれ。
追記、婚約者の下着事情まで調べるまでは僕でもしたことないなぁ。そういう時は自分が似合うと思うのをその場で着用してもらうんだよ。
これは年上のたくさんの彼女がいるお兄ちゃんからの助言だね。
「いや、着て欲しいならやぶさかではないが。流石に私の下着を調べられるのは恥ずかしいので止めて欲しいな……」
「セルフィル様、この後お話をしましょうか。ハイブルク家からそのような変態を出すことは出来ませんので、忘れている常識というものを教え直します」
「濡れ衣―っ!せめて弁解の機会を与えて下さいっ!僕の情報網の有利性と欠点を知ってもらえばしょうがないと思ってくれるはずですっ!」
「否定はしないんだね?」
「……初回は止められなかったんですよ?」
「うみゅ~。ロンブルじいじ、イノシシの脳ミソパーンは怖いのじゃ~」
「……お話の時間と相手が増えますね」
「それは僕は知りませんよっ!」
戦慄のショタ「手紙でこの僕をピンチにするとはやりますね」
覇王様「どのくらいのピンチだい?」
ショタ「豆料理のみ一週間を告げられたぐらいでしょうか」
侍女長「それはセルフィル様にとって最大級に近いということですね」
……(;´Д`)
文字数は少ないのに、バカップルを書けないほど時間がかかりました(´`:)
あれですね、考えながら書くというのは難しいんですね。
ん?つまり毎日投稿していた一章は考えていなかっ……忘れよう(´・ω・`)
さあ!チャラ王子マロッドが完全敵対でショタを翻弄しにきました。
ぶっちゃけるとショタがランドリク伯爵とアガタ公爵を追い詰めなければ、この時にはマロッド達は動けなかったんですよね。
つまりショタのせいっ!(`・д・´)
ですので二章の後半はショタのセルフ尻拭いとなっています。
今回侍女長が喋っています。
ハイブルク家に最も忠誠を誓う、ハイブルクの子供達にとって最恐のオカンです(^_^;)
御家が間違った方向に進むなら、命をとして忠言する人で、前公爵が公爵のままだったら処分されていました。
たまにしか出ない人なので裏設定です(´▽`)ノ
家宰?誰それ?(・∀・)(おそらく皆様も忘れている存在……)









