王になるために必要なモノ(ショタの偏見)
バカップルを書いたら遅くなりました。
のじゃ姫の教育回てす。
「王になるための才覚と、王としての才覚は異なります。そしてその二つを併せ持つ人が何代も続く国の創始者となります」
パチリと上が黒の駒を置いて三枚の駒を裏返す。
まだまだ序盤なのに、むむぅと唸るのじゃ姫に少し呆れるよ。
「王になるための才覚ならば、そこまで高いものは必要ありません。あるならあるで困りはしませんが、あり過ぎると全てを自分でこなして誰も付いてこれなくなって孤立。王になったとしても最期は非業の死か、数代で滅ぶ国の出来上がりです」
「それは私の事かな?」
背後のグリエダさんチェアの飛車が一気に王手をかけてきたので、俺の玉を壁の厚い場所に避難させる。
覇王様は一人無双が好きなのか飛車がやけに動く動く。そのおかげでわかりやすいからなんとかしのげています。
おかしいな、覚えて数局目なのにもう俺と互角な彼女だ。
前世でもそこまで強くなかったけど、強くなるの早すぎませんか。
「いいえ、グリエダさんは人の言うことを聞いてくれますから。それでもその強さに嫉妬や恐怖を抱かれて暗殺される可能性は高いですね」
地球なら項羽か呂布?
いやカリスマがあって率いる能力があるからアーサー王かな。
運命に巻き込まれたら、波乱万丈で最後は悲しい結末になりそうだ。
源義経もそうだね、武力が突出すると周囲が道具にするか、畏怖されるか。
グリエダさんがいくら強くても、周囲が敵だらけになったらさすがに生き残れない。だよね?
う~ん、怪しい単語を抜き出してみたけど、さすがに安直すぎるか。
「つまり私ではダメなんだね」
「決して武力が悪いとは言いません。成り上がる初期の頃は先頭に立って鼓舞することも必要ですしね。でもそれでは王にはなれてもその後が続きません。どちらかというと将軍などがあいますね」
グリエダさんはどちらかというと覇王様で、単独運用ができる飛車角に二回行動が付与されている無敵駒だと思う。
戦場で輝く人物だね。敵陣にいたらまず勝てない。
「では、王になるための才覚としては、それ以外が必要なのですか?」
聞いてきたのは我が次兄の婚約者ベラ嬢。
第一王子の婚約破棄の時の被害者の一人で、王子の側近の…どいつだったっけ?側近の誰かの婚約者だったがなんやかんやで婚約破棄になり、俺とグリエダさんに難癖をつけてきたのだ。
破棄のせいで余裕がなかっただけで、さすが劣化グリエダさんと俺が名付けただけあって、すぐに俺達に非がないことを調べ上げて謝罪してきた。
そりゃ自分の一生とお家のことがかかった婚約が破棄されたら、直後はイライラぐらいするよね。
でもちゃんと調べて、すぐに謝るだけの判断能力があるしっかりした娘さんだったので、ちょっとハイブルク家次兄の婚約者の候補に勧めてみた。
その後、俺はちょっとした愚王を強制去勢国盗り物語を実行していたので関与していなかったのだが、俺の知らないところで長兄が数度顔を合わせ、ヘルママが王都に戻ってから最終面接を受けていたようだ。
長兄については後で聞いたんだが、ヘルママの時には事前に顔を青白くしてベラ嬢がやって来たので、心構えを教えてあげたのである。
まあ、悩んでもいいがどもるのは良くない、ぐらいしか教えられなかったが、めでたく合格して次兄の婚約者候補から候補の文字が取れたベラ嬢なのだ。
「知識、それを使いこなせる能力、人を惹きつける能力、圧倒的に不利な状況でも諦めない根性、他にも山ほどいろんな才覚が必要ですね。でもそれらは人並みでもいいと思いますよ」
そう言ってベラ嬢としていた五目並べで少し離れた場所に黒石を置いた。
それで彼女が作ろうとしていた二つの四三候補は崩れ去る。
「では、王になるためには何が一番必要だと思うんだい?」
グリエダさんの打った銀が王手飛車取りになる。
本当にしたことないんですよね?どうしてそこそこ将棋をしていた俺が負けかけているのだろうか…。
今日は見ての通り、オセロ、将棋、五目並べをのじゃ姫、グリエダさん、ベラ嬢としながら、のじゃ姫のお勉強というより心構え?まあ聞いていて少しは為になりそうなお話をしているところだ。あと一つしていることがあるけど、グリエダさんの将棋が一手ごとに強くなるので、少しおざなりになりかけている。
のじゃ姫よ、お前の為に話しているのにオセロにのめり込むんじゃないの。
同時処理能力も上に立つ者には必要な能力なんだよ。
そのためにベラ嬢にお前のチェアをしてもらっているのだから。
もちろん俺のチェアは最高級お山付きグリエダさんチェアである。リラックス効果は抜群だっ!
「う~ん、しいて言うなら嘘つきの才ですね」
「「「嘘つき(なのじゃ)?」」」
「何を嫌がっているんです?貴族王族は基本嘘つきの集まりじゃないですか」
三人ともえ~という感情が乗った反応だ。
「そうですねグリエダさん、例えですが軍事行動中に勝利は目前、ですが輸送が滞って勝つか食料がもつかの瀬戸際で、正直に軍全体に食料が危機と伝えますか?」
「…いや、それは伝えないだろう。それよりも少し無理をして勝つ速度を上げるようにするかもしれない」
「ではベラ嬢。貴方の家の領地で他国から呼び寄せた染物師が新しい色の布地を作りました。その布で作ったドレスを着た貴方に、隣接する領地の娘が興味津々で話しかけてきたら正直に話すのですか?」
「…いえ、染物師を引き抜かれる、または拉致されないように秘匿します」
「正しいですね。でも、あからさまに狙ってきているのですから損害を与えたほうがよりいいです。少し離れた潜在的な敵対貴族と縁を結べて仕入れたとか吹き込めば、情報を精査するのに時間がかかりますから面白いことになります。他にもある程度の製造方法を広めるとかですね。素材が違えば無駄に終わりますし、ある程度出来ればもうすぐ完全に出来るのではと期待して、お金を散財してくれます」
どうして引いた顔をするんですかベラ嬢?
まだ可愛いこと言っているつもりなんだが。
「さてリリィ。あなたが侍女長の礼儀作法の講義をサボり、逃げるときに飾ってあった花の花瓶を、お尻で突いて落とした件ですが」
「のじゃっ!?わわわ、妾そんなことはしていないのじゃっ!」
「はい、この様に自分はやっていないと思い込みたい自己弁護などがありますが、自分を実力より優秀に見せる、弱ったふりを見せて同情を誘うなどがあります。そしてリリィ花瓶の件はバレていませんが、つまみ食いしたのはバレていますので、帰ったら講義をサボったのと一緒に怒られてください」
「のじゃぁ…」
まったく誰に似たのやら、俺なら料理人に媚売って別に貰うぞ。侍女長の講義は諦める、だって侍女長からは逃れられないからな。
「勝利の為に嘘を吐く、情報を渡さない為に嘘を吐く、潔白の為に嘘を吐く」
オセロの角を取り、五目並べは気づかなければ三手後に四三が二つできるようにし、将棋は…玉を逃がした。あと五手で終わりかぁ。
対面ならもう少し伸ばせるんだけど覇王様チェアは捨てがたいの。
「それらは味方、敵、自分を騙すことですが何かを勝ち取るために必要です。王となり頂点に立つためには、全てが揃った人物になるのではなく、全てに嘘を吐いてでも這い上る人物になるべきだと思います」
味方を騙して士気を上げ、敵を陥れて敗けさせ、自分の折れそうな心を頂点に立つために欺く。
他にも運、きっかけ、努力、根性、いろいろとあるだろうが、自分も騙せないようでは国一つを創り上げるのは無理だろう。
さて、頭の文字でもダメ、表でもあったらほぼお手上げかな。でも見つかると困るようなものを手元におかないだろうし。こういうのは限定的でわかりやすいもので作るはずだから…。
あ、もしかすると。
「リリィ、眠れない時に歌ってもらった歌とかありませんか?」
「?あるのじゃ」
のじゃ姫が教えてくれたのはエルセレウム王国で幼い子供に聞かせる子守唄の一つの数え歌だった。
ここをあーしてこーして。
ふむふむ、わかりやすいことで。
あと、のじゃ姫は味方かどうかもわからないのに教えるなんて、一つ減点です。
負けショタ「くっ、負けちゃったよ!」
苦笑覇王様「次は二人だけでしようか」
次兄嫁?「四つも同時進行で負け…」
のじゃ姫「早く次をするのじゃ!」
オセロで先を読む力、ショタのお喋りで王になるために必要なことを教えられ、同時進行で脳の処理能力底上げ…を目論んでいたショタですが、六歳児にはオセロに夢中になりました。
ついでに次兄嫁?もお勉強( ̄▽ ̄;)
次兄が出る章まで婚約者候補のままじゃいけませんから、ちょい登場です。
ショタの地球雑学は偏見ありまくりですが、理解できれば中世ファンタジー世界ではかなり優秀な人になります。貴族の夫人として役に立つかはベラ嬢次第です(^^)
そして覇王様…、この人習得速度が早すぎませんかね?(;・ω・)
ショタが将棋は弱かったことにしよう(;´∀`)
ショタは四つ同時にしていますが、オセロと五目並べはかなり手を抜いてしていますので、実質将棋とあん…おっと秘密秘密(ノ´∀`*)まあ二つしか思考していません。
あ、喋りもあわせれば五つだった(;・ω・)
さて次回を書き始め…、おうふもう真夜中だΣ(゜Д゜)
明日から書きます(--;)









