はおー様はまだ十六歳なの(。・ω・。)ノ(ただし肉食系)
遅くなりました。m(__)m
「負傷者四十三名。内訳、騎士五名および兵士二十名軽傷、使用人十五名軽傷、公爵夫妻心神喪失、第一王女は頬の腫れですか」
「…」
俺が読み上げる報告書を睨む彼女。
さすがに、そのくらいでは紙を消滅させることはできないようだ。
魔力使いは身体能力も向上するものなので、彼女ならば視線では無理でも手の振りだけで衝撃波ぐらい…はさすがに物理的に無理か。
無理だよね?
こう剣聖技とか、魔力があるなら彼女ならできそうだ。
「屋敷の応接室とその両隣りの部屋が全壊。鋼鉄製のハンマーじゃないと無理と書かれています」
目が横に泳ぐ。
人的被害より建物の物的被害の方が気になるのは辺境ならではだろう。
人の価値より物の価値の方が上の世紀末覇者の世界の考えかな。
21世紀の日本もたいして変わらない考えだからよくわかるよ。精神を殺し、肉体を徐々に殺していく現代日本社会のほうが残酷なのかもしれないな。
うん、中世ファンタジー世界の上位に生まれて良かったね。
奴隷からとかチート持っていても成り上がるの無理だから。上位の地位にいなければ食い物にされるか暗殺されるのがオチだ。
ビバッ!どんな世界でも権力サイキョーッ!
「そのくらいなら、経費で王妃様に出させるんですが。え?必要経費ですよ。のじゃのじゃを女王様にする必要経費です」
他の、トランプ量産やコスプレ用の質の良い生地の生産への横流しの金額に比べたら…ゲホゲホっ!
僕ハ御国ノ為ニ綺麗ナ心デ働イテイマス。
まあ、今修復してもそう遠くないうちに違う貴族の邸宅になるのだから、その時に少し修復費用を足して回収すればいいことだ。
貴族の見栄って無駄で儲けるのですよ。
まだ殆ど出回っていない希少なモノとか言えば、原価の数千倍で売れるの。
「ですが芸術かぶれの第一王女の絵画、陶器、彫像等々、破損したものと同じ物か同じ作者の作品を要求されました」
眉根を寄せる彼女。
それは無理だろうという感情からくるものなのか、一緒に始末しておけばよかったという感情なのか。
たぶん後者だと思う。
「それ以外で事を収めたいのなら、元の金額の五倍でなら応じないでもないそうです」
「…」
上手いよね。
怪我や屋敷の破損はだいたいの金額がわかるので金額を釣り上げるのは難しい。とくに敵対している俺達側には無理だ。
だから価格に変動の幅がある芸術品で攻めるのはいいアイデアなのである。
それに美術品に同じ物は存在しないので、五倍以上で払えというのが本音だろう。
相手は沙汰を受けるのを大人しく待っている間は潜在的敵対関係でしかないので、損害を与えたこちらは、今は素直に賠償をしなければならない。
支払いを渋ったら、まがりなりにもまだ公爵と第一王女を害した横暴な連中が国政を担うぞ、と声高に広められるだろう。
いや、確定負け犬の遠吠えなんて別にいいんだけどね。
しばらくの間、少しは影響が出るだろうが、十年もすれば不満を持った連中が逆らえないぐらいには抑え込むだろう。長兄達が。
だが今回は放置することができなかった。
その少しの影響が出る相手が我が婚約者、グリエダ=アレスト女辺境伯だからね。
チャラ王子マロッドへの訪問の帰り時に起きた爆発は、予想通りの覇王グリエダさんの暴走だった。
てか魔法以外で爆発音を出せるのは彼女ぐらいしか俺は知らない。
ワンチャン魔法使いかなとも考えたが、エルセレウム王国では魔法使いは全員、国に登録されているので、貴族の屋敷が爆発なんてしたらすぐに現場検証されて、使用された魔法と同じ属性の魔法使いが近辺から探されることになる。
登録していないモグリ魔法使いだったら、よほどの希少性を有していない限りは、犯罪を犯すとその属性用途によって使い潰されるらしい。
大量殺戮兵器魔法使いには人権なんてないのだ。
ではその大量殺戮兵器魔法使いと同レベルの破壊を素手で起こせるグリエダさんはどうなのかって話なんだけど、身体能力上昇の魔術使いにはその法は適用されないし、そもそも貴族より上は罪にも問われないことも多い。
未熟な法には抜け道がありすぎて困っちゃうね。
爆発音の理由について、九割以上の予想はしていたが、帰宅を護衛してくれるアレストの爺さん達が耳を塞いでいるのを目にして、それが確信に変わった。だから爆発があったとされるアガタ公爵邸にすぐに向かった。
そして見た光景は噴煙止まない瓦礫の山の上にいる二人の人物。
一人は最近の流行のドレスを着た、顔がチャラ王子マロッドによく似た美少女、第一王女のオーレッタ。
ある一定の美しさになると男女どちらの性別でも美しい人になる顔はあるよね。愚王も第一王子も優男系だったから、そういうタイプを血統で王家の顔を作り上げたんだろう。王家の遺伝子Tueeee。
そしてもう一人は王族の美を超える美女の白銀の覇お…乙女のグリエダさん。
いつもの男装を汚し、所々破けさせ、無表情で芸術王女オーレッタの胸倉を掴んだままペシペシとビンタをしていたのである。
たいそうお怒りな彼女の様子に、配下の爺さん達やアレスト家の兵士は最初からどうぞどうぞと俺に勧めてくる。
定番のボケは好きだから最初からして欲しかったけど、異世界に求めるのは酷だったようだ。(ダッシュ君ならやってくれそうだけど、この時は爆発を聞いてすぐに王城に連絡してきますっ!と走っている馬車から落ちるようにして逃げた。やるな)
まあ俺がグリエダさんを止めたんだけどね。
瓦礫の山の端で気絶している陰気なオッサン(アガタ公爵だと後で知った。ほ、本当だよ?)を踏み台にして登り、スキルウルウル目で帰りましょうと説得した。
袖を引っ張るまで気づかなかったようで、俺を見て困った顔をする彼女に王女をペイッさせてから帰宅しようしたのだけど、グリエダさんの愛馬白王が乗馬拒否。
どうも汚れたグリエダさんを乗せたくない、という体で精神的におかしくなっている彼女を俺に任せたいらしかった。
気配りの出来る良い馬だぜ。
ちなみに後で連絡がきたが、スナオ君はグリエダさんが暴走した時点で解決できそうな俺を探しにでる、という態で逃げたようだ。
ダッシュ君といい、逃げ癖がついてしまっては少々俺が困るので二人共ヘルママに預けようと思う。
逃げられない人の元で成長してほしい。
現在、ヘルママは王妃とやり合っているから、精神は鍛えられるだろう。宰相やセイレム公爵、騎士団長達は仲間が増えて喜ぶはずだ。
白王の配慮でグリエダさんを俺の馬車に乗せ、アレストよりもハイブルクの屋敷の方が近かったので連れて行き侍女長達に任せた。
汚れていたのもあるが、袖が破けていたり、脇が破けて白い脇腹が見えたり、パンツが裂けてきめ細やかな太ももが見えたりしていたのだ。男連中に見せるわけにはいかない。
爺さん達があの覇気出しまくりの御姫によく近づけるのとか言っていたが、美人で可愛い彼女をなんだと思っているのか。
汚れ落としの為にお風呂(危うく連れ込まれかけたが)に入ってもらい。
その間にアリシアさんとお茶したりデートしたりして回復した長兄にチャラ王子マロッドに会い、芸術王女オーレッタをボコにしたことを伝えた。
なぜか胃の辺りを押さえて、『二日、二日で持ち治すから、その間の処理は母上に任せる』と言い残して自分の寝室にフラフラと消える長兄。
はて、国盗りした時よりはましだと思ったんだが、長兄の胃の壁は薄くなっていたようである。
その後は風呂上りでメイド達におもちゃにされて、ピンクのフリフリなドレスを着たグリエダさんをべた褒めし。
アレストの爺さん達へ渡す武具を選びに倉庫に行き。
まさか大半の武具が無くなっているとは思わなかった。
何も無くなった場所には二枚の紙切れがあって。
一枚は我が姉、『私達の護衛達の分貰っていくわ』と書かれていて、もう一枚は我が次兄からで『俺の側近用に貰っていく』と書かれていた。
我が兄姉は種籾も奪おうとするヒャッハーモヒカンなのかな?いや猿顔の三人組の泥棒のほうなのかもしれない。
よくできた分は分解して保管してあったので、持っていかれなかったのが幸いである。
俺にはどんなのを贈ればいいのかわからなかったので、ドレスを着た姿をべた褒めされて少し機嫌が良くなった(ただし手は繋がれる)グリエダさんに選んでもらった。
刀はサーベル型もいくつか作っていたので銘はMOK。
槍はドラゴンフライスレイヤーは選ばれず、選ばれたのは西洋風に作った迷槍ゲイ・棒。GSといい、下ネタから離れられない爺さんのようだ。
武具を選んだあとはのじゃ姫の訓練光景を眺め。(いつもならグリエダさんに泣きつくのに、俺への暴言だけで済ませたのはなにか感じ取ったのか。成長著しいのじゃ姫だ)
そして二人っきりでの夕食。
メイド達が後はお二人でごゆっくりと、ボコボコにした変態執事を引き摺って部屋から出ていった。職務放棄なので後で侍女長に伝えることにする。
手は離してくれなかったので、右手が空いている俺がアーンして食べさせた。
この時点でグリエダさんの機嫌はかなり良くなっていたと思う。
女性に合わせるのが男の常識なので、そこは別に困っていない。それに彼女みたいな美少女と一緒にいられるのは楽しいだけです。
だけど同じベッドで一緒に寝るのはどうかと思うのですよ。
三人メイドまで味方につけて自分の宿泊する客室にショタを連れ込むのはちょっとした犯罪だと心のオッサンが申しているの。
ピンク色のぶかぶかパジャマが用意されている時点で少し怪しいと思ったのよ。まあすぐに昭和のお股ギリギリ半ズボンパジャマの時よりマシだなと思ってしまった自分を殴りたい。
着替えた瞬間に部屋に突撃訪問してきた(たぶん聞き耳を立ててた)変態メイド達に担ぎ上げられ、神輿の様に廊下を練り歩いて客間にペイッされたのである。
満面の笑みのグリエダさんが室内にいるのは拉致された時点でわかっていたよ。
同じピンク色のパジャマを着ているのは彼女と変態メイド達のどちらが主犯かは悩みどころだ。
俺は成人するまで我慢できるショタである。
なのでアガタ公爵から届けられた賠償が書かれた書類だけ自分と一緒に持ってこさせた。
落ち着いた次の日に話し合おうと考えていた案件だけど、貞操の危機の防壁にはなったようだ。
「だって…」
「だって?」
約半メートルぐらいの距離にある可愛らしい唇が突き出される。
う~む、美人はどんな表情でも美人でお得だよね。
超近接で彼女の顔を見ている今の俺?
ベッドでグリエダさんに腕枕されているよ。まわされた手に後頭部をがっちり掴まれているから、彼女と俺の間で読まれている賠償が書かれた紙一枚が本当に最後の防壁になっているのです。
「あいつは自分が女王になったらセルフィルを自分の夫に迎えると言ったんだよ」
「おう…」
それは勇者ですな、芸術王女オーレッタよ。
アガタ公爵から国盗りショタのことを聞いたのだろうが、だけどアレスト家を敵に回さないことが第一条件だから。
そしてアガタ公爵はグリエダさんのショタに対する執着心を、芸術王女に教えるのを忘れていたのかな。
そのせいで自分のお家が半壊されるとは。おお公爵よ。報連相をしっかりしないとは情けない。
「かなり不愉快なことをしてくると言ってましたよね」
「アガタ公爵の嫌味に、公爵夫人の上から目線、あいつの変な美術品自慢。私も貴族だからね、耐えたんだよ」
「…」
うん、一つ気になることがあったんだけど後でね。
「そんな私の態度が気に入らなかったみたいで、最後の最後帰る間際に耳元に囁いてきたんだ。それでカッとなって」
「屋敷半壊、怪我人多数になったと」
「…生きているだけで感謝してほしい」
「僕の最低限ラインが生き死になんですが、グリエダさんの価値観では最上の扱いなんですか?」
「四肢も残っていたら最上級だね」
辺境の地は世紀末よりもハードそうだなぁ。
そのうち行くことになるからいろいろと考えておこう。騎馬民族に拉致でもされたらそれこそグリエダさんが本物の覇王様になりそうだ。
白王の蹄で顎をかち割られるヒャッハーは見たいけど。
「まさかアレスト家に賠償を送らず、君に送るとは…。あのまま首を折った方がよかったか」
「本当にやめてくださいね。王族殺しはさすがに奴らに本格的な大義名分を与えますから」
愚王と第一王子をGSしたのは?
あれは生きているからノーカンノーカン。子孫を残せる王族はまだいるしね。
恐ろしいことを言っているグリエダさんだが、いつもキリッとしている眉を八の字にし、俺を困らせているのにへこんでいた。
正直に言っていい?
かーわーいーいー!!
横になっているのでサラサラの美しい銀髪が横に流れて、いつもは出しているおでこが隠れて大人っぽさが軽減され。
人をからかうぐらいの余裕が剥がれて、年相応の少女らしさが出た顔は超可愛いっ!
もうグリエダさんっ!これ以上ショタを魅了してどうするんですかっ!
首から下は意識的に見ないようにしているよ。
ピンクのぶかぶかのパジャマ姿の超絶ボディ(十六歳)なんてショタを吐血させるつもりなの?
心のオッサンなんかセルフ石抱きで、石にロープつけて絞首刑もおまけ付きにしちゃうよ。(あ、草原の真ん中にいるからロープを掛ける梁がないや)
どうも周囲は勘違いしているようだが、グリエダさんは覇王様であるけど、十六歳の少女でもあるのだ。
生まれついての覇王様になれる素質と、常に狙われ続ける辺境の地の当主としての地位を幼少期からその背中に背負えば、男装で大人の余裕があるように見せるのが彼女の処世術だったのだろう。
だっていくら覇王様の余裕を醸し出していても、可愛いモノ(ショタ)が好きだし、イチャイチャ(ショタ限定)するの好きだし、褒めると照れるし、デートに誘ったら喜ぶし。
グリエダさんは普通に女の子をしているの。
現に今だって、俺に迷惑かけたとシュンッとしているし。
あ~こんな可愛い人の婚約者になれてよかった。
婚約破棄してくれた第一王子ありがとうっ!
君の裏目魔法バックファイヤーのおかげで幸せになります。
「まあ気にするなとは言いませんが。何かしらの嫌がらせはしてくると予想していたので、今回はグリエダさんに乗っかって僕に実行しただけですからあまり気に悩まないでくれると嬉しいです」
「…怒らないのかい?」
顎を引いて上目遣いするのは反則ですよ。
くっ、覇王様は武力、美貌だけでなく仕草まで覇王様級なのかっ。これでもショタはその顔と媚びでハイブルク家の中を生きてきたのだ負けないぞおぉ。
「あ、僕の言うことを聞かないで暴走したのは怒りますよ。玉のお肌に傷がついたらどうするんですか」
メッとグリエダさんの頭を軽く小突いた。
キューンと怒られた子犬のようになる彼女に胸が締め付けられる。ギャップ、ギャップなのか?ショタにはない技術だ…。
「すまない…。賠償は私の屋敷の方にまわしてくれ。現物は無理だし、金額もきついが他の二人を王位に就ければ無効になるだろうから、少し殺る気が入っていい…」
「あ、別に賠償はいいですよ。そんなにかかりませんから」
「だろ…ん?」
言葉の途中で割り込まれて首を傾げるグリエダさん。
「かからない?あいつから聞いた話では一枚の小さな絵でも金貨五十枚(五百万円)はすると言っていたよ」
「はぁ~、金貨一枚が末端までいくとそこまで上がるんですね。もう少し釣り上げてもいいのかな?」
「…どうして君が金貨五十枚の元が金貨一枚と知っているのかな」
「いひゃいれふ(痛いです)、ひゃなひてひゅれひゃいひょひゃふひぇひゃひぇひゅ(離してくれないと喋れません)」
目が据わったグリエダさんに頬っぺたを痛くないくらいでムニュムニュされるのは嬉しいけど、話せないと襲われそうだから止めてもらった。
「えっとですね。まあ、王女が要求してきた芸術品の大半は、まあ九割ぐらいはハイブルク公爵領で作成されたものなんですよ」
びっくりしました?奥さん、ショタも驚きのネタバレです。
芸術王女オーレッタのコレクションの殆どがハイブルク産だなんて、そりゃあ驚くよ。
たぶん時代の最先端を行こうとしていたんだろうね。
漫画やアニメ風の絵や、フィギュア風彫像を収集するなんて先見の明があり過ぎる。
ほら専門的な技術革新なんてできる知識がない心のオッサンでもさ、こう何かしら大金を手に入れることが出来ないかなと考えたわけですよ。
いくつかは漫画を読んで実現可能なものも作成した。水車の自動洗濯機は公爵領では主婦に大人気で、俺が本当のショタだった時にハイブルク家の細かい情報を握る使用人達(女)を味方にできたのは、洗濯機のおかげともいえる。
他にも出来そうなのを考えていた時にふと思いついたの。
写実絵画ばかりの世界で漫画とかの絵って金にならねえ?って。
だから人を何人か集めて適当に絵を描かせて美味い奴に漫画の基礎を教え込んだら、あらビックリ。
原価の数倍のお値段で売れるじゃないですか。
ついでにそこそこの大きさのフィギュア彫像なら作れたので販売したらそちらも大儲け。
これで貴族の末っ子から成り上がり人生の始まりだぁ!と遊んでいたら姉と次兄に密告されて、権利を全てヘルママに取り上げられた。
ちゃんとした理由があるなら利益の中から貰える仕組みにはなっているので、管理してくれるだけ楽だと思っている。(泣)
ちなみに第一側室レアノ様は挿絵を描いてほしいとお得意様だ。
「一番多いのはセイトの絵ですね。あいつ休みの日には趣味で描いていますから幾つか貰いましょう。あとのも侍女長に話せば倉庫から出してくれるはずです」
まさか五十倍まで高騰しているとは思わなかったよ。
そういや三人メイドが演劇を良く知っているなと思っていたんだが、絵やフィギュア彫像で副収入を得て通っていたんだな。
あとで卸している商人に賃上げ交渉に行こう。公爵家の末っ子なのにお小遣い制の俺は婚約者ができてから出費が激増して困っていたところなのでちょうどいい金蔓ができそうだ。
あと副収入を得ている使用人を調査してもらおう。下手すると俺より小金持ちになっている奴もいるかもしれない。
「き~み~は~、吐け。他にも何か隠しているだろう」
「ひゃふひひぇひぃひゃふ~(隠していません~)」
隠してはいないよ。ただ忘れているだけです。ショタの可愛い頬っぺを伸び伸びさせないで。
なにかグリエダさんに伝えないといけないことがあったと思うが、忘れているからたいしたことではないだろう。(異世界転生の件)
「うん、正直賠償の件は助かったよ。自分のやらかしで領民のお金を使うのはさすがに困ったからね」
「絶対に踏み倒すつもりだったでしょう。もしくは本当に亡き者にして無効にするか」
頬っぺたフニフニから逃れるために二人でドタバタして、ベッドの上で軽く息が上がる。
いつの間にか防壁となっていた賠償金額が書かれていた紙はどこかに消失し、ショタは覇王様の腕の中にすっぽりと収まっていた。
うん、やばいよねショタの貞操。
心のオッサンが草原を全力疾走…あ、五十Mぐらいで失速している。お酒、肥満、運動不足は精神の中でも付きまとうようだ。
「セルフィルは私が困っていると助けてくれるよね」
「口先で解決できることだけですが」
ハイブルクかグリエダさんという後ろ盾がなければ、下手するとのじゃ姫にもまけそうな最弱のショタである。
正面を向くとお山の谷間で窒息死しそうなので上を向いているのだが、獲物を狙う猫の目が爛々としていてドキドキだ。
ワンコにニャンコといろんな表情を見せてくれる彼女は最高だね。喰われる立場でなければだが。
芸術王女オーレッタの裏目魔法バックファイヤーは自分を犠牲にして、俺に効果を及ぼすようである。
やるな王家固有魔法!嬉しいけどピンチなのは今生で最大級だぞ。
「え~と、こういうことはあと五年後にしませんか?僕が十八歳ぐらいになってグリエダさんの背を超えたぐらいで」
「君が五年後に成長しているとは思えない」
「…しますよ。ええ、今現在どうなっているか不明の父親は背が高かったので」
実母は今のショタとほぼ同じ身長だけどね!未来の希望は捨てません。
「女に恥をかかすのかい」
「それは怖気づいている男に言う台詞ですけど、逃げられないように拘束してから言っていいもんですかね」
「ロンブル翁から聞いたよ。セルフィルはヘタレというものだから私の方から迫らないと進展しないってね」
「あのジジイーっ!」
二つ名を石投げから男の娘いじめに変えてやるっ!
ジジイの行きつけの店ぐらい少し調べればわかる。女子制服を着てその店の前で泣いてジジイの娘なのに認知してくれないと叫んでやる。いつまでもイケオジで夜のお店で人気があると思うなよっ。
ゆっくりと銀髪の美貌が近づいてくる。
ああ、ここでショタの椿の花が落ちるのか。
普通は逆だけどね。でも今の二人を見たら、銀髪の美男子と金髪のショタ。どう見てもパ〇リロ系です。
「せ、せめて優しくお願いします…」
「…こういうときセルフィルは受け身だよね。いいよ」
まあハッピーエンドなのかなぁ?
バタンッ!
「セルフィーとグリエダだけで寝るなんてずるいのじゃっ!妾も一緒に寝るのじゃっ!」
「よしっ!空気を読まないその行動力とタイミング。もはや一種の才能ですよリリィ」
最後のあがきでドアのカギを掛けないように小細工をしていたら、泣き顔ののじゃ姫が勢いよく開いて登場だ。
うわ~、グリエダさんの本気で嫌そうな顔を初めて見たよ。愚王にいろいろと言われたときも同じ表情だったんだろうな。
そういう雰囲気はワガママ幼女のおかげで吹き飛んだ。
覇王様とショタの間に幼女が収まり眠ることに。
グリエダさんはチクチクと嫌味を俺にかけながらも、日中に暴れたせいかそのまま眠り姫になる。
「熟睡する姿を見せてくれるのは気を許しているってことだよな」
彼女の色んな表情を見れたから少しは感謝しようではないか、芸術王女オーレッタよ。だが貞操の危機だった分は困らせてあげようではないか、お兄ちゃんのチャラ王子マロッドもついでに。
寝息を立てるグリエダさんの顔にかかった銀髪を指で払いのける。
うん、美男子風で美女で美少女の好きな人の顔はどれだけ見ても飽きないね。
「ふぐっ!ジェ、ジェロイよ兜だけでは死んじゃうのじゃ。鎧を着るのじゃあぁぁ」
「のじゃ姫リリィよ。お前は寝言でも面白幼女ですね」
さて、寝る前に今後のことを少し考えようかな。
グリエダさんのおかげで予測が立てやすくなったことは、不幸中の幸いだな。
前から言っているけど、正確な情報は重要なのだよ。
チャラ王子マロッドに芸術王女オーレッタ、そしてのじゃ姫リリアーヌ。
俺がこういう風に動くのもヘルママにはお見通しなんだろうなぁ。
あ~、部屋のすみに置いてあるなんちゃって斬馬刀とエルセレウム号が怖いから寝よ寝よ。
どうかグリエダさんの愛刀、愛槍になりませんように、おやすみ~。
不機嫌はおー様「ちっ!」
ホッとショタ「ギリセーフ!」
無邪気のじゃ姫「のじゃ?」
全然話しは進まないのに長編では過去最高の文字数に(;´д`)
まあ、ショタと覇王様のイチャイチャ回です。少しでも気を抜くと椿が落ちるスリリングなショタですね。あと五年頑張れショタ!
ノクタ行きはもう勘弁な筆者の為に!(;・ω・)
覇王様の中身は十六歳の女の子ですので、支えてくれる人がいないと衝動的に動いて失敗することが多々あります。
スナオ君ではなくアリストの爺様達がついていれば暴走は起きませんでした。
カッとなったら屋敷を半壊させる婚約者を受け入れるショタはかなりの変人ですね(*´ω`*)
ショタの常識は心のオッサン基準です。自分が大人にるまではと考えています。
襲われたらどうしようもないですが(; ̄ー ̄A
ショタはお金は持っていませんが、資産になるようなものは山ほど持っています。(^_^;)
維持管理ができないのでハイブルク家に丸投げしていますが(;・ω・)
お嫁に行くときに渡されます( ´∀`)
武具を選んだ時に、覇王様も自分の分を選んでいました。
使用されるとひき肉が量産されます(;´д`)
今回、かなり遅くなったのは、身内のことでがあったからです。
自分では大丈夫と感じていても、メンタルはダメになっていたようで、頭の中にある物語が文章に変換できませんでした。
いつもは一気に書けるのが、数行書くと集中が途切れて困りました(-_-;)
しばらくは少し書く速度が落ちると思いますが、読んでいただけるのは筆者にとって大変嬉しいことなので、無理せず書いていきますので、見捨てないでくれると悶えます♪(/ω\*)
さて悪魔なショタと乙女な覇王様(肉食系)の犠牲者になるのは誰にしようかな~♪ヽ(*´▽)ノ
ワンチャンのじゃ姫?(;・ω・)
いやいやそれをしたら流石にブクマが沢山剥がれるから、止めるんだ筆者の左手よ…。
いいねを押して頂けると、筆者が喜びますよ(・ω・)(たまごっちかな筆者は)
あとエッセイ書いたらいつも買っているチョコが売り切れに(T_T)
バレンタイン?それとも筆者のせい?あんなに沢山売ってあったのに…。糖分が欲しいの(。´Д⊂)









