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大人のお遊び

遅れましたーっ!(>_<)

寒さにやられて、数日寝込みまして(^^;

回復しても頭が働かないので書ける状態ではなく今日までかかりました。

本当に申し訳ございませんm(__)m

少し毛色を変えた書き方をしています。

「恨むわ」


 王妃が低く呪われそうな声を出す。

 王の仕事を肩代わりするために張りぼての座に就かされていた哀れな女は、王城の、いや国の頂点に立つとその本性を現した。

 悪魔が授けた貴族の権限を象徴するピアスを脅迫の材料にして、自分に敵対する者達を断罪し始める。

 返却することで味方寄りの貴族にも恩を売った。

 その恩によって断罪に関与させ、王妃に敵対する貴族に敵を作らせる。

 もちろん恩だけで王妃の味方になるほど貴族は甘くはない。

 公式な断罪によって得られる土地、権益、人材に魅力があったのだ。

 いくら派閥のトップからの指示があっても自分に利益が無い限り、その動きは鈍くなる。無理に動かそうとすると徒党を組んで反発することもある。

 だが例えば、国公認で隣の領地から水の利権が優先される、あそこの貴族が通行税を下げれば自分のところの町が発展する、そこの貴族の商家が潰れれば王都に進出できる…。

 そのような明確なご馳走が目の前に置かれれば、貴族でなくても食いつくだろう。

 より多くの御馳走を手に入れるために、断罪される立場になった貴族達についての様々な情報が王城に無償で上げられ、悪魔が嬉々として資料と照らし合わせて致命的な証拠として固め上げた。

 今現在、断罪される貴族達は証拠を突き付けられ、領地、利権を没収する通達を受け取って悲鳴を上げている。

 王妃は信用のならない元王派の貴族を手元に残さず、これから得られる莫大な利益を日和見になろうとしていた貴族に分け与えることで、忠誠はないがその利益を得るまでは自分を守ってくれるであろう盾を手に入れた。

 今後うまく考えて動けば安定した権力を握れる道筋を作っていた。


「あら?何を恨むのかしら?」


 だがそれを壊したのは王妃の隣に座る人物だ。

 王妃より遥か年うゴホォッ!ごほっぐふっ…。

 まあ…三十代なのに若く見える王妃と同年代にしか見えない、妖しかないハイブルク前公爵夫人ヘルミーナがその美しい口元をにこやかに歪める。

 そして王妃の手元にあるものを一つ取り、それと自分のとを合わせてテーブルに置く。


「リリアーヌはもっと後に出るべきだったのよ」

「そうしていたら王女はただの傀儡の女王様だったわね」


 ヘルミーナは王妃とは反対側に手を差し出す。

 そこにいるのはセイレム公爵。

 王都に住む貴族の大半が飽食により肥え太るか、仕事に忙殺されて痩せ細るかのいずれかである中、その肉体は例外的である。筋肉質で体格もがっしりしていて、すぐにでも戦場に出られそうなほど。


「それでいいのよ。女が上に立ってもまともに政務に関わることは無いわ」

「貴方は関わっているじゃないの」

「女の幸せを全てゴミクズの様に捨て去られた上での短い頂点の座よ。すぐに私自身も貴族達にゴミの様に捨てられるわ」

「それでエルセレウム王国が弱くなっては困るのよ」


 王妃は貴族を恨んでいる。

 国家の維持のために一人の娘を、無能な王の生贄にした王家と全ての貴族を憎悪しているのだ。

 だから王が、悪魔とその未来の伴侶の手により王妃へ供物として捧げられた後は、残る貴族達は互いに潰し合う様に追い詰められ、或いは餌を用意されて潰し合わせられることなってしまった。


 それをヘルミーナが止めた。

 王妃唯一の子供であるリリアーヌ第二王女を表に出させたのだ。

 そのせいで王妃は弱点おうじょを敵味方全てに晒されることになる。


「ハイブルク、セイレム、それにアレストがいればどうにかなるでしょう」


 確かにその三家が手を組めば、内政外交どちらもどうにかなるだろう。

 新興のハイブルク公爵に歴史あるセイレムから娘が嫁ぎ、ハイブルクの悪魔が武のアレストに嫁ぐことになり、エルセレウム王国はほぼ一強に纏まることになるだろう。


「民は貴方のおもちゃじゃないのよ。上のワガママで長い間、弄ばれて摩耗して壊されるわけにはいかないの」


 そう、いくら一強となる見込みとは言え、そうすぐには纏まらない。

 ハイブルクとセイレムの方針は対立する方が多いし、アレストの現当主は内政には疎い。悪魔が補うとしても、家と人が纏まるにはそれなりに長い時間が必要なのだ。


「ねえ、セイレム公爵。あなたは自分の兵士の命を賭させ、領民の子供が一冬生き残れたかもしれない食糧を糧秣にして、ポッと出の小娘を王の座に着かせたい?」

「王妃よ。すまないが私はそこまで愚かではないのだ。まあ、私だけならグヌウッ!」


 ヘルミーナがセイレム公爵に声を掛けながら、掲げていたカードから一枚だけ主張するように上げる。

 公爵はそのカードに手を伸ばし、少し迷ってその隣の札を引き抜き、表を見て呻いた。どうやら悪魔のカードを引いてしまったらしい。

 必死に自分の手元にあるカードと混ぜ始めた。


「私の息子はすでに見限っていたわね。あの子はお人好しに見えるけど、自分の持つ爵位の意味を理解しているから、私よりも容赦ないのよ」


 誰に似たのかしらとヘルミーナは頬に手を当てて首を傾げる。

 人によってはその容姿と仕草に魅了されるだろうが、あいにくとこの室内には虜になるような人物は一人もいない。


 そして誰に似たかというとお前だろうと言いたい。

 ヘルミーナが公爵代行をしていた当時は男では到底知りえない情報を使って交渉おどしてきた。貴族の夫人達から集めた情報だったのだろうか。

 個人の性癖、子供に嫌われるような行動、妻の実家には知られたくない情報…それらを用いて当主不在のハイブルク家をむしろ盛り立てていた。


「そしてセルフィルはバルトが大好きだから、嬉々として拡大解釈をして玉座を狙っていたかもしれないわね」


 ヘルミーナの言葉に王妃は一瞬だけだが硬直する。

 あの悪魔ならやりかねないと考えたのだろう。

 私はあの悪魔なら絶対にやると思っている。


「…その可能性は無くなったわ。セルフィル君とアレスト女辺境伯はリリアーヌを守ってくれるはずよ」


 王妃はヘルミーナによって表の舞台に引きずり出された第二王女を、セルフィル=ハイブルクに預けたらしい。

 たしかにあの大悪魔の伴侶となる者はグリエダ=アレスト、国家騎士団を一人で相手ができる化け物で、護衛をしてくれるなら最高の人物だ。

 気にくわなければ王にさえ反発する女傑だが、大悪魔からお願いされれば甘やかしまくる。調査によれば、現在の二人は、用事で離れるか帰宅しない限りはほぼベッタリらしい。

 調査の者が奥歯を砕けそうなほど食いしばって報告してくれた。今度からは夫婦仲が良い者を派遣することにしよう。

 適材適所は大切なのだ。


 あの二人なら、王についていた貴族共とそいつらに神輿にされかけている第二王子マロッド様や、第一王女オーレッタ様達から第二王女を護ることはたやすいだろう。


「そうね。あの子は面倒くさがりやだけど、悪戯するとき以外は約束は守ってくれるわ」


 セイレム公爵よ早くしてほしい。

 どれだけ混ぜようともあなたのカードの枚数は一番多いので、私が大悪魔を引く可能性は低いのだから。足元が寒いのだ。


「でもね、素直に従うこともしないのがハイブルク家の末っ子なのよ」


 ヘルミーナがその豊かな胸の谷間から一枚の手紙を取り出して、王妃に差し出した。

 それを受け取って読む王妃の表情が険しくなる。


「ヘルミーナッ、これっ!」

「それに関してはあの子が自分の意思で選んでいるわね」


 王妃が読んだ手紙を私とセイレム公爵に見せてくる。

 そこに書かれていたのはあの大悪魔らしい、人の思惑を裏切るような言葉だった


『今のところ第二王女の、人の上に立つ才能が低すぎです。

 第二王子と第一王女の二人に会えるように取り次いでください。二人次第で第二王女を普通の女の子にしようかなと考えています。

 してくれなかったら長兄とアリシアさんの子供を王位につけるように動きますよ。


 たぶん、これを見ている宰相様へ。

 その時は長兄が幼い子供の為に国政を頑張るでしょう。ん?その時、宰相はどこにいます?

 あ~、無職ですか。

 プッ、四十過ぎで役立た…でも貴族派のまとめ役で侯爵ですから生活は大丈夫ですね。

 残念ながら騎士団長の方は元気な限り続行です。死ぬまでこき使…いえ、騎士団を纏めるにはカリスマが無いと…。まだ宰相に魅力がないとは言ってませんよ?ただ、内政は魅力が無くても仕事ができればいいですからね。

 でも、同年代の親友が現役で無しょ…』


 よし、殺そう。

 アレスト女辺境伯?

 あの、人の嫌がることだけを喜んでこなすことに特化した超悪魔は、人前では危害は加えないと思い込んでいるから一人で活動している時に刺す。後は知らん。

 騎士団長のヒルティも刺す。

 ハイブルク公爵が持ってきたトランプで男達だけで遊んでいた。

 しばらくすると王妃とヘルミーナの魔女二人がいきなりやって来て参加を表明した。訓練があるからとすかさず逃げ出したからヒルティは敵だ。


「ジョディ。ハイブルクを巻き込むなら覚悟するのではなく考えなさい。私もバルトもセルフィルも自分達の為に動くわよ。」


 ヘルミーナはその重量物を腕で持ち上げ椅子に身体を預けて、楽しそうな笑みを王妃…だけでなく私、ボルダー侯爵とセイレム公爵にも向ける。

 私達にも何も対策をしなかったら被害が出るかもしれないと警告しているのだ。


「ボルダー宰相、セイレム公爵。次負けたらどれを脱いで貰おうかしら」

「「…」」


 違った。

 この魔女は私達男性陣をいたぶることを、王妃への警告と一緒に考えていたようだ。

 セイレム公爵は上着は着ているが、中のシャツは着ていない。

 魔女二人は魅力的だわと言っていたが、お茶を持ってきたメイドはセイレム公爵を見て噴き出した。斬新すぎたのだろう。

 私の服装は一見変りは無い。

 だがそのかわり、靴も靴下も無しで冷たい石の床に強制接地をさせられている。

 王妃がわざわざ負けの一回分を使って石畳を室内に持ってこさせたのだ。


「あら、宰相が次に負けた時は冷たい水に漬けてもらいましょう。王が熱い熱い言うから氷の魔法使いを呼んでいるの。たっぷりと冷やしてもらいましょうね」


 王妃よ、まだ私は許してもらえないのですかな。

 私よりも第二王女のことを考えませんか?それとこれは別?そうですか…。


「それならセイレム公爵はその逞しい胸元に口紅で接吻の跡でも描かせてもらおうかしら。奥様は亡くなられていらっしゃっても、お嬢様がご覧になったらどうなるのでしょうね」

「なっ!それは流石にいかん、いかんぞぉっ!」


 ヘルミーナはセイレム公爵を追い詰める。

 保守派のセイレム公爵は何かと革新的だったハイブルク家を目の敵にしていた。

 いくらヘルミーナが後退するはずだったハイブルク家を盛り立てた女傑だったとしても、全てが順調だったわけではない。煮え湯を飲まされたことも数知れずで、その時、上位にいたのはセイレム公爵だったろう。

 その仕返しが今行われている。


 セイレム公爵と目が合った。

 それは共同で魔女達を倒すためではない。

 お互いを最下位に落とす為の決別の合図だ。

 この魔女たちは、自分達が最下位になった時の罰は脱衣と勝手に決めていた。すでに小物の類は外されている。

 つまり次負けた時には着ているドレスを脱ぐことになり、二人は下着姿になるということだ。


 極悪な本性を知っている二人の下着姿なぞ見ても今さら何も湧きはしないが、その状況でメイド達が入って来た時、男二人の全てが失われる。

 自分の派閥に知られた場合はもちろん、貴族の習いとはいえ息子を亡くしたばかりの妻に知られたら、我がボルダー侯爵家は私が刺されて族滅する。

 セイレム公爵は王家を敵に回す寸前までいったほどの愛娘に知られたら終わりだろう。

 私達二人は自分は最下位にならずに相手を最下位に落とすという離れ業を演じなければならないのである。


 ああ、ただ王妃とヘルミーナのいる仕事場が嫌になって、隠れて軽い賭けのゲームしただけなのに、こんなことになるなんて。

 まだあの超悪魔が登城していた方がマシだったかもしれない。


「うぐっ」


 セイレム公爵の持つカードから一枚抜いて見ると、そこには超悪魔セルフィルの女装した絵が描かれていた。


 その後、セイレム公爵と一緒にハイブルク公爵から学んだ土下座をして、何とか最悪の事態は免れる。

 そして息抜きのゲームは就寝の前だけにされてしまった。

 つまり男は休まずに仕事をしろということらしい。

 セイレム公爵と二人で啼いた。ヒルティは逃げたので刺す。


 午後になって将来有望なダッシュとスナオが仕事にやって来たのだが。


「なんだそれは…」

「セルフィル様ですニャン」

「そっとしておいてくださいワン」


 二人は死んだ目で獣の耳を装着して太ももの半分が見えるスカートを穿いていたのだ。

 首から掛けた板切れには『この者らセルフィル=ハイブルク、リリアーヌ=エルセレウム第二王女の命で面白い恰好をしている。苦情があるならどうぞハイブルク公爵邸まで』と書いてあった。


 訂正しよう。

 あの極悪魔セルフィルは登城しなくていい。


極悪魔ショタ「ふむ、長兄はトランプを宰相達に教えてくれましたかね。次会った時には色々とむしり取ってやりますか」

怨み宰相「おのれ~極悪魔め~」


今回の一人称はショタのオモチャ宰相様です(^^;

先王の洗脳の被害者ですが、この人がまともだったら愚王と馬鹿王子はおとなしくしていました。

息子はおかしくなって処分、罪を償う為に非難されても宰相を辞めることもできないボルダー侯爵ですが、一番の不幸はショタにロックオンされたこと(;´д`)

まあ、息子を悲しむ隙間がないのはショタのおかげなんですが、恩は感じていません(^^;


今回はヘルママが色々と話していますが、内容はほとんどないんですよね~(--;)

王妃に情報や自分の考えを教える必要はないし、ゲームの最中の世間話みたいなものです。しれっとショタからの手紙を出しますが(;・ω・)


ショタが動き出しました。

そして筆者はなにも知りません(°▽°)

病明けで脳が麦味噌と入れ替わったせいかも?(;・ω・)


あ、ダッシュ達はマトモハリーに鼻で笑われて心が死にました。

いなくても人の精神をどん底に落とすのが得意なショタです(*´∀`)

あまりにも可哀想なのでヘルママが許可を出して普通の格好に戻りましたが、語尾はそのままでした。血は繋がってなくてもヘルママとショタは親子ですね(*´ω`*)


さあ!ボチボチ頭を働かせますよ!\(^o^)/

覇王様とのイチャイチャはいつ書けるだろうか…(;´д`)


無駄ネタ

ハイブルク制作トランプ

絵札がハイブルク家の人物て描かれている。

キングは長兄、クイーンは姉、ジャックは次兄でエースは各ママンズと侍女長。

もちろんジョーカーは小悪魔衣装のショタ♪ヽ(*´▽)ノ

すでに新しい絵札が制作中…残念長兄!覇王様に取られちゃうね(^_^)

あとはアリシアとベラかな~。

被害者シリーズもいいかも(*´ω`*)


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【コミカライズ一巻も発売するよ!】 【ハイブルク家三男は小悪魔ショタです1~3巻、コミックス1巻絶賛発売中!】 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵
― 新着の感想 ―
[気になる点] どうぞお身体をお大切に。 ご無理をなさいませんように。 [一言] 長兄のトランプ……うーん、とても魅力的なのでなくなるのは残念ですが、相手が覇王様ではまぁ仕方ないですかね。 トランプの…
[一言] さて、のじゃ姫は母に会えるのか?(普通の女の子か、王女かは別にして) 先王の歪んだ愛が生んだ因果の結末は…?
[良い点] いよいよショタが動き出すんですね! 楽しみです。 真面目な話も結構好きです。 [一言] 心の中のおっさん、やっぱり好きです。 あまり無理はしないでくださいね 面白いお話なので、待つのは全…
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