山脈の下、低反発枕の上のショタ
ふっ、全面的に書き直すこと二回、合計一万文字!\(^o^)/
そして書かれたタイトルがおかしなことに?(;・ω・)
あ、明けましておめでとうございますm(__)m
前公爵夫人ヘルミーナ。
ハイブルク家において誰一人逆らうことのできない至高の存在。
だって自分の旦那を追い落とし、自分の息子である長兄が成人するまで、ハイブルク公爵家の力を増強し続けた女傑だ。
俺がいたから公爵家を維持できた、などというレベルの人ではない。
転生者の俺をしても、公爵家という大貴族の役に立つアイデアなんてほいほい出てくるわけがないのだ。
石鹸?すでに似たようなものはあるよ。
令和の現代社会の恩恵を受けていたオッサンが何かを作って、キャー凄いですわー!みたいなことを期待してはいけない。
主人公補正が付いていないショタにできることなんて、うどんが作れるくらいなの。
それだって小麦の種類が違うから、人に探し出してもらったからね。
おかげで日本円で一杯数万越えのかけうどんになった。今は少しはコストダウンしたけど、愛好者のロンブル翁と侍女長と気が向いた時にしか作らない。
現在、公爵領で行われていることは意識の改革だ。
俺が全てを作り出すのではない。今後の文明を発展させる基盤を作っているのだ。
そりゃ俺が頑張れば黒色火薬作成も、国盗りも簡単にできるだろう。電気の基礎ぐらいならできないことはない。
でもそれのどこが楽しい?
俺は人類のために二度目の人生を生きるつもりはない。
ヘルミーナ様は俺の意志を尊重してくれた。
俺の持つ知識で発展させることがどれだけ危険かを伝え、戦争の被害の桁が二つか三つ上がるのを知って躊躇したのかもしれない。
だからヘルミーナ様には俺というアドバンテージなど殆ど無い。当主代行と前公爵夫人という彼女自身の立場だけで、貴族社会の男達と渡り合ったのだ。
まあ奥さんたちの愚痴の中から脅しの材料を仕入れるヘルミーナ様と、ついでに連れて行ってもらった幼少期の俺が媚売りまくりで情報を手に入れて、ハイブルク公爵家の寄子の分裂は防いだりしたが。
前公爵第一側室のレアノ様や俺が味方につけた家臣、派閥の中で味方につけた貴族がいても現状維持が最上なのだ。
無能な派閥内の貴族連中を切り捨てて精鋭化。その上で領民全体の意識の底上げを内向きでしながら、他の派閥から守り、役立たずは引き抜き、放出して嫌がらせをしたりして。当主の座を長兄に引き継ぐまでに未来への基礎まで作り上げた。
そんなハイブルク家で誰一人逆らえない、頂点のお方なのだ。
「あなたがセルフィルの婚約者になったアレスト女辺境伯?じゃあ、その調子にのっている子猿を渡してくれないかしら」
その頂点がショタ(ヒロイン)をご所望になられている。
白シャツと黒のパンツという貴族の女性ではありえない服装で、悠然と大階段に座るヘルミーナ様の姿が女帝にしか見えない。
たぶん指先からレーザーぐらい出すの。
「貴女が誰なのか予想はついているが、名前を伺ってもよろしいかな。大事な婚約者を名も知らぬ者に渡すつもりはないよ」
「グリエダさん…」
後ろから抱きしめられてキュンッ♡とショタの心がなっちゃうの。
イケメン過ぎる覇王様に心のオッサンまでも胸の前で手を組んでキュンキュンしてます。
そうっ!このままショタを攫って逃げてぇっ。
夕方ぐらいになれば王城の連中の後に怒られることになるから、少しは女帝様も疲れていると思うの。
「あらそれは失礼したわね。そこのセルフィルの異母兄にあたるバルト=ハイブルクの母で前ハイブルク公爵の妻、ヘルミーナ=ハイブルクよ」
「私はグリエダ=アレスト女辺境伯だ。どうしてセルフィルのお尻を叩こうとするのかな」
覇王様と女帝様の交わる視線の真ん中で火花が散っている。
ヘルミーナ様の護衛らしき連中がいたが、数歩後ずさりした。わかるよ~、だって頭頂部に軽く電気を浴びさせられているみたいにビリビリしているから。
後頭部は抱き寄せられているから最高だけどねっ。
あれ?そういえばどうして怒られるの俺。
「…そうねあなたなら知ってもいいかしら。セルフィルはね、ハイブルク公爵家の最高機密なの。それをたかが寄子の娘がハイブルクの名に傷をつけるかもしれないぐらいで。おいそれと表に出てはいけない存在だったのに」
額に手を当て、ハーと深い溜息を吐くヘルミーナ様。
「いざとなれば王都への麦の輸送を停止するとでも脅せば、王家なんていくらでも譲歩させることができたのに、自ら揉め事に突っ込んで…。私達は怒っているのよ」
ん?私達?怒っている?
「たしかセルフィルからは王子の婚約破棄から起きる一連の揉め事を収めるためにあなたを呼ぶと聞いていたのですが」
うん、夜会の前にグリエダさんにそう話したのは覚えている。
「私の息子が二人もいて王家ごときにどうにかされるなんてありえないことよ。それにバルトにはいざとなったら王都を火の海にしてでも公爵領に戻ってきなさいと伝えてあるの」
自慢げに顎をあげ、山脈を腕の大陸プレートで押し上げていなさるヘルミーナ様に、心のオッサンは布団の中から手だけだして親指を上げていた。
セルフィルとしてはグリエダさんだが、中年からしてみればいくら立派な山があろうと未成年には視線を向けてはいけないという鉄の掟がある。まあそれで年齢が近いヘルミーナ様を見て歓喜するのもダメなんだが。
側室の子でしかない俺も息子と呼んでくれるのはとても嬉しいけど、ハイブルク家最終手段が王都炎上だったのは驚きだ。
末っ子は知らなかったよ!?
「起きたことは仕方ないわ。それに王都が平穏みたいだから解決もしたようね。でもセルフィル、自分を犠牲にするような事態の収め方は無責任よ」
う~ん、どうも第一王子の婚約破棄騒動でハイブルク家に責任を問われるよりも、自分に王家の敵意が向くようにと王子達を虚仮にしたのが駄目だったようだ。
最終手段、死んだふりして公爵領にとんずらを実行すればいいやと安易に考えていたせいで、婚約破棄からのざまぁを楽しみ過ぎた。
「家族のことを思いやる心は良いことだけど、後先考えないところは褒められることじゃないから、二人の母の分も私が叩きにきたのよ」
「ひうっ」
女帝としての威圧と、母親としての怒りに身がすくんでしまう。
あと二人はレアノ様とママンですか?
「ルデガルドも知ったら怒るわよね。あの子が一番あなたのことを可愛がっていたし」
お、おおぉ、ルデガルド姉上ですか。
遠く離れた家族がどういう反応を示すのか、俺の頭の中から抜けていたようだ。
セルフィル=ハイブルクの今生最大のピンチッ!
「子供が悪さをしたら親が叱るのは当然よね、アレスト女辺境伯?」
「……」
グリエダさんは返事を返さず、何故か俺の身体を持ち上げてくるりと反転させて自分に向かう形に座らせた。
巨馬の白王の上だから安定しているけど、少し身体を反らさないと彼女の顔は見えない。
「グリエダさん?」
「…セルフィル。私と出会う前の出来事については、君が危険を犯したと咎めることに引け目を感じていた。そのおかげで婚約できたのだからと」
「グリエダさん?」
「だから…うん、まあ叱られようか」
「グリエダさん、ちゃんと顔を向けて下さい。引け目を感じているというなら向いてちゃんと言ってください」
「…すこし君がお尻を叩かれるのが見たいかな?」
「本音を言ったよ!」
グリエダさんは全てを言わなくても理解してくれる頭が良い人なんだけど、かなり自分の欲望に忠実で、知性がよく本能に負ける。
とくにショタの痴態を見るのが大好物なの。
ヘルミーナ様に危険が無いとわかって、ショタのお尻ペンペンを見る権利で僕を売ろうとしているよっ。
「白王逃げてっ!君のライバルの僕がピンチだっ」
賢い白王なら俺を助けてくれるはずだっ。
「ハハハハ、後ろ向きになっているセルフィルを乗せて白王が動くことは無いよ」
「そのために向きを変えたんですねっ」
最強の味方が敵になったら勝てないよ。
サッと自分だけ降りて、キラキラした笑みを向けてくるグリエダさん。
「大丈夫、やりすぎと判断したら止めてあげるから」
「される自体が嫌なんですよっ。嫌だー!褒められることをしたのにお尻ペンペンなんておかしいってっ」
鞍に腹ばいになってしがみついた。
苦笑するなヘルミーナ様の護衛!こっちはお尻を見られそうで必死なんだぞっ。
しょせんショタの腕力、覇王様には勝てずに引き剥がされてずるずると降ろされる。
「グ、グリエダさん?お出かけしまょう!ええ、新しいケーキが出たカフェあるんですっ。食べさせ合いっこしましょうよっ」
「それはいいね。明日にでも行こうか」
「ノオォォウッ!今考えないでこたえているでしょうっ」
馬具を掴む指を一本一本を優しく外され。
「負けるものかぁああっ」
外されてももう一度掴みなおした。
ショタを傷つけたくないグリエダさんは強引にはしない。これでしばらくして泣けば彼女はショタ(ヒロイン)を攫っていってくれるはずっ。
「セルフィル、ヘルママから逃げられると思うの?」
「オウフッ」
ヘルミーナ様のたった一言で力が抜けてしまう。
グリエダさんに引っ張られていたので上半身が勢いよく後ろに倒れ、柔らかい山に後頭部が着地した。
「ヘルママ?」
「その子は小さい頃から私の事をヘルママと呼んでいたのよ。ヘルママ、ヘルママと走って抱きついて来てね」
「いやあぁぁあっ!!!」
十三歳の男の子からすれば恥ずかしくて憤死しそうなことを言われているが、俺にはそれ以上に効果覿面だ。
…だってそこに山があったら登りたいだろう?
どうも幼少期は子供の体に引っ張られて本能寄りになっていた心のオッサンなの。
ヘルミーナ様の山脈に挑むさっ!
ついでに篭絡するために母性本能をくすぐるママ呼びをしていたら変更不可ゲーだった。
グリエダさんには知られたくなかったのにぃっ。
「ヘ、ヘルミーナ様っ、さすがに十三歳もうすぐ十四でその呼び方はさすがに」
「あら悲しいわ。もうヘルママと笑顔で呼んでくれないの?」
「うごごごっ!」
口は微笑しながら泣きまねをするヘルミーナ様。
ああっ、前世で酔っぱらったオヤジが遊びに来ていた友達に俺の恥ずかしい話をしたのを思い出すっ。あの時は最後は蹴りをくらわせて大喧嘩で喋りを止めたが、ヘルミーナ様を止めることは前世の母を止めることに等しい。
つまり無理。
「お漏らしして侍女長に怒られるのが怖いから一緒について来てと言っていた、あの可愛いセルフィルはどこにいったのかしら…」
「あーっ!あーっ!あぁぁあーっ!グリエダさんっ!早くヘルママのところに行ってください」
これ以上の俺の暴露プレイを止めないと、本当に憤死する。
わかったわかったからと言って、届かないのに手を伸ばしている俺の要望にこたえてくれるグリエダさん。
数段飛ばしで階段を上がってくれる。
「他には二人のママが屋敷にいない時の夜は、怖いからと私のベッドに…」
「それ以上は言わせませんよヘルママッ」
それは本当に言わないでほしい、セルフィルはいいが心のオッサンが草原を頭突きで硬い地面に変えて死にそうだ。
「まったくヘルママは手段を選ばないで…」
「自分からお仕置きされに来てくれたのねセルフィル」
グリエダさんに抱き抱えられたまま反省を促そうとすると、目の前でニッコリと笑う女帝様。
「あ…。しまったあぁぁぁあっ。グリエダさん階段を一気に降りて白王で逃避行ですっ」
「出来ないことは無いが、セルフィルの身体に着地の衝撃を与えてしまいそうだから、非常時以外はしたくないね」
「優しい!でも今が非常時ですっ。主に僕の生尻がっ」
「それは見たいから非常時ではないよ」
「融通が利かない婚約者だよーっ」
ジタバタと抜け出そうしても少しも抜け出せない覇王様の拘束。
今まで一度も抜け出せたことがないのにピンチの時に抜け出せるなんてことは無い。
「どうぞ前ハイブルク公爵夫人」
俺の脇に手を入れて差し出すグリエダさん。力の差がありすぎて、あ、そこはくすぐったいのぉっ。
「あら、ヘルミーナでいいわよ。その呼び方は好きじゃないの」
「ではヘルミーナ様で。私の事もグリエダで構いません」
「じゃあ義理の娘になるグリエダさん、その子を受け取るわね」
「のわぁぁぁあ!そこのヘルママの護衛の人っ、これからハイブルク家の恥になるようことが行われますっ。どうか阻止してくださいっ」
護衛の連中は首を横に振って、自分達には無理っすと意思表示した。
「大丈夫よセルフィル。この正面大階段にはハイブルク家の者しかいないわ。まあ遠くからこちらを見ている門番の視力が良くないことを祈るのね」
「イヤアァァアッ!?」
そして覇王様から女帝に可愛いショタが受け渡される。
ヘルミーナ様、もういいかヘルママも魔力使いなので1.3倍の俺では逃れることは出来ない。魔力を使っていないヘルママでも勝てないけどねっ。
逃げることは許されず、階段に座っているヘルママ膝の上にうつ伏せで乗せられた。
知ってる?
上から山脈が重しになると動けなくなるんだよ。
「この体勢も久しぶりね。私が公爵領に向かう前日かしら、たしか門出だからとロンブル翁に火の塊を投げさせて破裂させたの」
「あれは失敗でした」
金属を粉にしたのを陶器に詰め、油を塗って火をつけて先に投げて、石をぶつけたら花火みたいになるかなと思ったが、火薬の燃焼力がなくて火の雨になって屋敷の木を数本ファイヤーツリーにしてしまった。
「セルフィル、君はいったい何時からおかしい事をしているんだい…」
「侍女長のお叱りは二日に一回だったかしら?」
「違います四日に一回です」
桁が変わってくるので修正しますよ。
「まあそれは今は関係ないわね」
「ひゃんっ」
下半身が外気に触れて変な声が出る。
「む」
「凝視しないでくださいませグリエダさんっ」
どうして女の子のあなたが男の子の生尻に興味があるの!?
「護衛の連中は回れ右、見るなっ」
せめて見るのはヘルママとグリエダさんだけにしてぇっ。
「ママ達の分だから、一人十回で三十回ね」
「せ、せめて魔力使用は止めてもらえるとぉっ!?」
スパンッ!と快音を鳴らす我が白き生尻。
おおお、三年ぶりに芯にくる痛みだ。
やめて痛みで悶えるショタを見ないでくださいグリエダさん。
「ルデガルドと侍女長の分で十回増やそうかしら?」
「割れるッ!?可愛い僕のお尻が割れちゃいますうーっ」
「すでに割れているから真っ赤になるだけだね」
「冷静なお言葉はいりませぇーヒグゥッ」
今後ないだろう王城の正面の大階段から響くショタの美声と鳴る快音。
国盗りまで含めて世界初ではなかろうか、いやMな簒奪者もいたはずニャハンッ!
目覚めかけショタ「ハゥンッ!(あれ?少し気持ち良くなってきた?)」
察し覇王様(む、セルフィルの顔が赤らみはじめている)
呆れ女帝「はいはい、それは気のせいよ。もう少し強くするわね」
気のせいショタ「ウヒィンッ!(やっぱり痛いの!)」
…(゜.゜)
…うん、通常運行の筆者ですね(*´∀`)
最初はショタのスパンキングは数行でヘルママの活躍しているのを書いていたの(--;)
それが、年の始めに真面目でつまんねえなと思い。修正していたら全面書き直しになり、天命がおりてきてなぜかスパンキングの回に(;・ω・)
2日から書いていてショタの尻叩きとは、詳しく生尻を書いているのを止めた筆者を褒めてください(*´ω`*)(三千文字ほど尻叩きを書いたのは狂っていると判断しました。合計一万三千文字の無駄ぁー!(。´Д⊂))
今年もショタと覇王様をよろしくお願いします♪(о´∀`о)
本筋よ筆者の脳内にあらわれたまえーっ!(・д・)ノ
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あとセルフィル達がご感想欄で一言お喋りしたりします。
筆者のエッセイでラー油で悶絶したのを書いていたのですが、たまにランキングにのっているのはなぜ?(;・∀・)
今回の話が尻叩きになったのはそのせいかもしれません(;´д`)
筆者は爆発してないですから!もう使いきって新しいラー油を作ろうとはしていませんよ?(;・ω・)
でもあのルビー色の液体は綺麗なんだよな~( ̄▽ ̄;)









