前公爵夫人ヘルミーナ登場
ようやく話を進めてくれそうな人が出てきてくれた\(^o^)/
変態執事?停滞させる存在ですよ( ; ゜Д゜)
学園の門前で執事を踏むお馬さんの光景は生徒達に刺激が強いと衛士の方に注意されたので、縄でグルグル巻きにしてもらい、学園と交渉して応接室の使用許可をもらう。
応接室はゴテゴテ飾られていない、それでいて居心地がいいようにしつらえてあった。
さすが高位の貴族も通う教育機関だ。
肌触りの良い布製のソファーにグリエダさんが座り、俺はその隣に座ろうとして彼女の膝の上にのせられた。
グリエダさんが傍にいるときは座面に座れなくなったんだよな。
それを受け入れている自分が少し怖い。
「さて報告してもらいましょうか、この変態」
テーブルを挟んだ反対側のソファーの上に変態執事アレハンドロが簀巻きで寝かされている。
床でいいと言ったんだけど学園付きの衛士は流石にと言ってソファーに置いていった。
「この光景にセルフィルが関わっていると思うと、おかしいと感じなくなったのは君に染まったと考えるべきなのかな?」
「そうですね。責任を取ってグリエダさんに嫁ぎましょう」
少し悟られたグリエダさんにそうこたえると、顔を寄せてきてすりすりされる。
知ってるよ~、いじらしいショタに愛でる気持ち爆発なんですよね。
そして変態執事、これが寝取られとかハァハァしながら呟くなよ。お前のものになったことは一度もないからな。
「たしかヘルミーナ様が王都に来るには半月程かかると長兄が言っていましたが、もうひと月経っていますよ?」
アレハンドロは前公爵夫人ヘルミーナ様を一日でも早く連れてくるために向かわせたのだ。
なのに倍以上かかって一人で俺の元に戻ってきた。
変態だけどこいつの身体能力はグリエダさんを除いたら俺の知っている中では一番だ。そして今のところ俺の暗殺失敗以降、命令されたことで失敗したことは一度もない。
俺が真面目に聞いたことで変態執事は執事アレハンドロに戻る。
「む」
グリエダさんの身体に力が入ったのを感じたので手を取って心配ないと伝えた。
簀巻きでビチビチしていたのに、縄がするりとほどけて綺麗な姿勢で座るアレハンドロ。
執事になった当初は珍しい褐色の肌のイケメンであるこいつはメイド達にキャーキャー言われたのに、ショタを狙う性癖が日に日にバレてくると、やがて見るだけで舌打ちをされる残念な存在になり果てた。
でも本人はいたって真面目なんです。朝の変態三人メイドとの朝這い争いで、勝てるのに怪我をさせないようにして容赦なくぼろクズにされるのも。
こうして簀巻きからいきなり真面目になった一連も全部真剣なのだ。
ショタより真面目に生きている、それが元暗殺者執事アレハンドロであるっ!
まあ、ただの変態だ。
「セルフィル様がバルト様の命令を聞けと言うので、聞いてやってヘルミーナ様のもとに向かいました」
「・・・すまない。この男はなにかおかしい事を言ったような気がするのだが」
「あ、こいつはハイブルクの中の特例で、僕の命令だけしか聞かなくていいとなっています。面倒臭い奴ですよね」
「あ~、騎士の誓いみたいなものかな」
「ただの我が儘ですよ」
そんな高尚なものと一緒にするのは止めて下さい。
まあこいつとはいろいろあるんですよ、いろいろと。
「途中、野盗が現れたのでしかたなく全員森の肥やしにし、捕まっていた村娘を途中まで送り」
「飛ばして飛ばして」
「ん?」
「野犬に襲われている商人の馬車を助け、その娘が付いて来ようとしたので気絶させ」
「いらない情報ですよ」
「んん?」
「ランドリク伯爵領から王都に向かおうとした騎士と兵士を始末し、近くの重税にあえいでいた村にその装備を、遺体の処分をする対価として与えました」
「あ、良い情報ですね。よくやりました」
「まて、君達は何を話している」
アレハンドロの垂れ流し情報を捌いていると、グリエダさんが止めてきた。
「そいつは何を言っているんだ?セルフィルもそんな嘘の話を聞くなんて」
「あ、アレハンドロの場合はこれが普通なんです。何というか不幸体質というか主人公体質というか、まあ気にしないでください」
「なんだって?」
「ハイブルク領の山のヌシをロンブル翁と一緒に撃退したのは凄かったよね」
「あれはセルフィル様が攫われたから必死だった。二度と戦いたくないイノシシだ」
「聞きたいっ。詳しく聞きたいっ」
「そのうちですねー。今は報告を聞くのが先です」
ロンブル翁が投げた何かが折れて先が剣山状になった棒が、山のヌシの目に刺さらなかったら、俺はイノシシのショタになっていたかもしれない。
俺がお願いを流したので、えっ!?と目を見開くグリエダさんも可愛い。
たまには覇王様をイジメたくなるんですよっ。たまたまだけど・・・。
「お前の冒険譚はいいから、ヘルミーナ様に出会ったところから話してください」
そんなふうに頬を突かれても聞き出しませんよ。
おつかいに出しただけでチンピラから女の子を助ける奴ですから、ひと月も放流していたら一晩では語れないぐらいありそうですから。
鮭の一生みたいなだな。あ~焼き鮭食べたいな。
「三日目にはヘルミーナ様に合流出来ました」
「大体の予測地点しか教えなかったのに早かったですね」
五日かかる距離だったはずだが、グリエダさんも大概だけどアレハンドロも大概だ。部下の能力を把握できていないのは問題である。あとでちゃんと聞き取りしよう。
「当主から託された書状をお渡しすると、間に合わないとご判断され行進速度を大幅に緩められまして」
「ふむ、ヘルミーナ様ならそう判断するでしょうね」
長兄が状況を書いている時に補足でどうやっても間に合わない可能性が大きいことも書き加えていた。
当時、黒幕と予想していた王妃様は、しっかりと友人であるはずのヘルミーナ様が王都に来るのを妨害したからね。
「ですので新しい交易行路を開拓しながら王都にやって来られまして、こき使われました」
「お前がいたらしそうですね」
一応、ヘルミーナ様に合流したら、その命令を聞きながら戻ってこいと指示していたのを遂行したようである。
しかし、ヘルミーナ様には無駄骨を折らせてしまった。
公爵領の発展のためには長兄に近い権力と俺の荒唐無稽な知識と思想を理解する人物が必要だったのだが、その二つを併せ持つのは前公爵夫人のヘルミーナ様しかいなかったのだ。
そしてサポートに前公爵第一側室だったレアノ様、公爵領軍を鍛えるために次兄も向かうことになった。
俺の実母も連れていかれたが、それは癒しキャラでだ。
だから二十代の長兄が王都で身内が学生の俺しかいない状態で孤軍奮闘していたのである。
それでもよほどのことが無い限り問題はなかったのだ。
だけど第一王子が婚約破棄して、寄子のせいでハイブルクに被害がおよぶ可能性のある事態が起きた。
ヘルミーナ様が王都にいらっしゃるか、長兄が結婚して夫人を作っていたならば、王妃様や他家の夫人達に働きかけて抑えられたであろう出来事である。
弟の実母が初恋である長兄が婚約者すら作らなかったせいで大事になったともいえる。
決して俺のせいではないっ!
「そして昨日、俺だけ先に王都に向かわされて、セルフィル様に言付けをと指示を受けました」
「ん?」
変態執事は抑えきれない情欲のせいで学園来たんじゃないのかな?
「ヘルミーナ様からです。私が戻るまでに屋敷に戻っていなさい。逃げたらお尻を剥き出しにして叩く。ハイブルク公爵邸にいる使用人たちの前でよ。ということです」
「はい?」
ホワイ?
なぜそうなるの?
おかしい、ハイブルク家のために頑張ったのに、どうしてお尻ペンペンされるの。前にされたのは十歳の頃だけど、さすがに恥ずかしいお歳頃になっているよ?
ヘルミーナ様の考えがわからない。
あの人、貴族に特有の自分が上の地位だから下の者は逆らえないという感覚はないから、王妃様や宰相みたいに腹が読めないんだよね。
「・・・ふむ。それは見てみたいな」
「グリエダさんっ!?」
婚約者が俺の痴態を見たいとおっしゃられる。
そんなっ、生尻を見られるのは嫌じゃー!
「アレハンドロ」
「はい」
「ヘルミーナ様はまだ王都に着いていないよね?」
「馬車でなら昼ぐらいに到着でしょう」
よし!まだ時間はあるぞ。
「グリエダさん、今から王城に行きましょうっ。長兄と王妃様と宰相と騎士団長とセイレム公爵をヘルミーナ様の生贄に捧げて、僕の被害を減らしますっ」
なぜ怒られるのかわからないけど、五人を犠牲にすれば生尻プリンッ♪ぐらいは避けられるはずだ。
「セルフィルの傍はいつも楽しいな。いいよ行こうか」
「まってグリエダさん。僕は面白くないですよ?」
俺のお願いを聞いてくれるグリエダさんは大好きですけど、それは納得できません。
「アレハンドロっ、帰ったら僕の靴下をあげるからヘルミーナ様が屋敷に戻られたら足止めしておけ。お前が馬車に轢かれたりしたら半日は時間は稼げるから」
「ハイブルク家がおかしいのかセルフィルがおかしいのか悩むね」
「下着も付けてもらえたらやりましょう」
「・・・ハイブルク家かな?」
僕以外がおかしいのがハイブルク家です。
でもグリエダさんのアレスト家も十分おかしいと思いますよ。どうして前辺境伯がヒャッハーしているのかわかりません。
アレハンドロは時間稼ぎのために屋敷に帰らせる。
俺はグリエダさんに片腕で抱き抱えられて白王のもとに。
「な、なんでこんな朝から城に行かないといけないんですかぁっ!?」
「嫌だぁっ!せめて昼食を食べないと地獄が乗り切れないっ」
その前にダッシュ君とスナオ君を捕獲する。
最近はハイブルクの寄子の子供が言うことを聞いてくれるから二人を捕獲するのは簡単だね。
たぶん犠牲者を二人だけにすることで、自分達に被害が及ばないようにしているんだろう。
簀巻きにされた二人が伯爵家の馬車に積み込まれて王城に向けて出荷された。
「「覚えてろよお前らぁぁあ!」」
「「「ふ、君達の犠牲は忘れない(わ)」」」
いい性格しているね君達。
今ならいい就職先が・・・間に合っている?
この子は私の家が雇いますわっ!とか庇わなくても別に強制はしないよ?
大丈夫、これ以上の犠牲は出さないっ!て君は馬車を提供した伯爵の息子だよね。
これでヘルミーナ様が喜びそうな将来有望な人材も用意できた。
どうせアレハンドロぐらいでは、ヘルミーナ様はすぐに気づいて王城にやって来るだろう。
「僕のお尻は見せませんよ。見せませんからねっ」
「・・・そこまで執着していないからね?」
見てみたいと呟いたグリエダさん、信用できません。
安定のグリエダさんの前に座って何度も忠告しておく。
「ヘルミーナ様がハイブルク前公爵夫人というのは知っているんだが、いったいどういう人なんだい?」
「あ~、公爵領に向かわれたのは三年前ですからグリエダさんは会われたことないかもしれませんよね」
三年前なら今の俺と同じ十三歳のグリエダさん。
いくら辺境伯といっても子供では会えないだろう。
「そうですね・・・、グリエダさんが僕が知っている中では一番強い女性です。でもヘルミーナ様は王になれる才を持つ女傑です」
「?」
白王に乗っているから表情は見れないけどグリエダさんがわかっていないのが伝わってくる。
「ヘルミーナ様が王都にいたら、おそらく愚王も第一王子も何もできずにその地位に甘んじていたでしょうね」
聖女なんてものは途中で消されていただろうし、側妃の横暴も許さなかっただろう。
長兄が無能というわけではないのだ。
貴族という社会では女性側にも影響力を持っていないといけない。
若いながら長兄は、言うなれば片翼だけで王都のハイブルク公爵家を維持していたのだ。それだけでも凄いと思う。
「まあ、会えばわかりますよ。一目で」
「さすがにセルフィルの異母に会うのに緊張するんだが」
愚王まで王城を爆進した人がですか?あとGSでパンッを数回したのに?
「女には女の緊張感があるんだよ。私は十六歳だから年長の同性には逆らいにくいんだよね」
「へーそういうものなんですね」
覇王様にも苦手なタイプがいたことに驚きだ。
そういえば暴君になってもいいくらいの実力者のグリエダさんだけど、礼儀作法はちゃんとしているんだよね。
母親や周囲の年上の女性陣が教育を施したから、今のグリエダさんになったのかもしれない。だから年上の女性には緊張・・・王妃様や側妃には全然平気そうでしたが?
話しているうちに王城に着く。
城門?
はっはっはっ、巨大馬白王に乗るショタと覇王様はフリーパスですよ。
門番の人お疲れ様です。痣が付いているのはグリエダさんにしごかれた人ですね。
こんど騎士団にはお酒でも贈ります。
ええ、婿(嫁)になる身として当然のことをしますよ。
門をくぐり抜けて、夜会の時にグリエダさんのドレスを見せびらかした正面の大階段に向かう。
白王は愚王より圧倒的に賢いので大階段前で俺達が降りても、自分から厩舎の方に向かってくれるオートホースなのである。
だから基本俺達には出迎えはいない。面倒というのもあるが。
なのに今日は出迎えがいた。
大階段の一番上に優雅に座る女性。
ボリュームのある金髪を後ろでまとめて、そのきつめの美しい顔を晒している。恰好は黒のピッタリとしたパンツに白シャツ。
全てがこの世界の貴族どころか女性にはありえない格好だ。
そしてその大きな山脈を組んだ腕で支えている。下から支えて白シャツの雪山を作っておられた。
のこのこと罠にかかりにきた兎を見て艶のある笑みを浮かべられる。
「あなたのことだからアレハンドロを先に向かわせたら、素直に屋敷に戻るようなことはしないわよね、セルフィル」
たぶん、王城にいる人の中でこの人ほど王と呼ばれるにふさわしい人はいない。
ハイブルク公爵家の女帝、ヘルミーナ様がご降臨なされてショタを睥睨なされていた。
「罰のお尻ペンペンはどこでしようかしら」
グリエダさん、このまま白王で辺境伯領まで逃避行しませんか?
セルフィル「お尻は~お尻プリンだけは~」
ヘルミーナ「騎士団でも集めようかしら?」
グリエダ「む、あまり人には見せたくないね」
変態執事「かぶりつきで!」
・・・大晦日に筆者はなにを投稿しているの?(;・ω・)
はいっ!一章で存在だけ確認されいた前公爵婦人ヘルミーナ様の御光臨です\(^o^)/
今年中に出せたよ~( ̄▽ ̄;)
でも、今年の投稿はこれで終わりです。
2日ぐらいまではごろごろします♪ヽ(*´▽)ノ♪
セルフィルとグリエダの物語をお読みいただいた皆様本当にありがとうございましたm(__)m
来年もショタと覇王様を楽しみにしてください( ´∀`)
よいお年をー♪(*´ω`*)
ヘルミーナ様は女帝かな?(;・ω・)
アレハンドロ?あいつは変態執事で決定ですね。









