臭悪な魔法使いの倒し方(ショタ編)
書いたぜ!(o゜▽゜)o
デコルはさらさらと灰にはならず。貴重な頭頂部の髪を何本も何本もさらさらと落とした。
そのあまりにも惨い姿に、視線を外すもの多数。ロンブル翁は自分が薄くないからクックックッと笑いを堪えていやがった。
「それでは副会長さんには魔法協会を任せてもいいですか」
「え、神の言葉でも嫌ですわ」
「……」
どうして何かに狂った連中は我が儘なのだろうか。
元凶の一人のくせに、俺が作成した論文をいくつか渡すことで了承してくれた。でも会長職は嫌だと言うので、育毛剤でこちら側に引き込んでいたおでこがキラリンしている魔法協会の中間管理職のトーチョーを会長に据えてはどうかと提案した。
育毛剤という餌がある限り薄毛に悩む男性たちは裏切らないのである。
「あとは長兄が手配するセイレム公爵の兵に任せれば終わりですかね」
はい終了終了。
帰って風呂入ってポーカーでロンブル翁からカモって寝よう。寝不足はショタのお肌の天敵なのだ。
「じゃあこれから帰宅していいんですね」
「さすがに帰してあげたいのですが、残念ながらダッシュ君の今後の予定は宰相に取られました。王城に直帰でそのまま今回の後処理の手伝いです」
現場にいるだけでも精神削られるから本当に帰してあげたかったのよ。でも【統合中枢詰め込み部屋】の面々が書類の山で死ぬから連れて帰って来てと懇願して来るの。
「……」
ダッシュ君無言で斜め上を見てツゥーと涙を流し始めた。
何も言われてないスナオ君がその肩に手をポンと置いたら払われた。
「おーい、セルフィル様こいつらこのままでいいの?」
「この部屋から動けないなら放置でいいと思いますよ」
「それでは魔法でどうにかして逃亡するかもしれません」
放置と言ったら副会長が指摘してくれた。
そういや魔法使えるんだっけ、使う前に全滅したから忘れてたよ。
「脚を折っておきますか」
「それだと後々の移動に面倒になりますから」
エイプ子爵は容赦ない提案をしてくれる。
「……絶対に殺してやる」
考えていると小さな声が聞こえてきた。
聞こえた方を向くとデコルの取り巻きの一人がこちらを睨んでいる。
「今の状況は自業自得じゃないですか。今ならデコルだけを戦犯にして貴方たちの罪は軽くなるのに報復をしようとするんですね」
変なことは考えるなと伝えても彼の目は変わらなかった。そして他の取り巻きたちも睨んでいる。
デコルの惨状を見ているのに馬鹿なんだろうか? いや馬鹿なんだな。
ならば温情は無しだ。
「わかりました。僕も全力で抗ってみせます。今から死ぬかもしれないけど死んだ方がよかった目にあわせてあげましょう」
「っ! セルフィル様!?」
俺が何をするのかわかったロンブル翁の顔色が変わった。
魔法使いを倒すのに武力は少しでいいことを教えてやろう。
「副会長さん。貴女の魔法は何ですか」
「え? 風魔法ですが」
いきなり聞かれて戸惑う副会長。
「無詠唱は習得済みで?」
「もちろんですわ!」
まあ俺の論文を見ているなら習得しているか。しかし風魔法は都合が良い。
「エイプ子爵。全員数時間は自分の脚でこの部屋から出られないくらいまで痛めつけてください。スナオ君も手伝って」
「はあ」
「わかりました」
二人は首を傾げながらも取り巻きたちを痛めつけ始めた。
「なあセルフィル様それ止めね? しばらくお店に行けなくなっちゃうの」
ジジイが懇願してくるが無視無視。
エイプ子爵たちがひと仕事終えて戻ってきたので部屋から出るように促す。
チェルシーは少し元気が出てきたのかキョロキョロしながら、副会長はそれに付き添って。エイプ子爵とスナオ君は俺を守る配置で一緒に後ずさって行く。
そしてロンブル翁はダッシュで逃げた。そして何となくわかったダッシュ君もダッシュで扉をくぐり、俺からの報復を恐れてそこで止まった。
「僕はですね。その昔、ハイブルク公爵領で悪さをしていた魔法使いを倒したことがあるんですよ」
言いながら腰にあるポーチからあるものを取り出す。
「ロンブル翁やエイプ子爵のように武力で圧倒できるならいいんですが、悲しいことにこの体型。魔法で一撃で死んじゃいます」
それは厚めのガラス瓶だ。フタも厚めに作られていて密封も完璧。そのうえで太めの針金でロックが掛かる仕組みになっていた。
「でも武力が僅かでも、呪文を詠唱しなければならない魔法使いなんて余裕で倒せたんですよね」
副会長に俺たちからデコルと取り巻きたちに微風が吹くようにお願いした。しかもなるべくデコル側の空気がこちらのいるドアに来ないように。
すぐに風が巻き起こりデコルたちに向けて弱風が吹く。凄いウチの三人メイド並みに発動速度が速かった。やるな副会長。
「簡単なんですよ。五感のどれかを強烈に刺激すれば人は喋る余裕なんてないのですから」
俺はロックしていた針金を外し、フタを外してデコルたちに投げつけた。
「自家製シュールストレミング改十三号、匂いで死ぬことはたぶんないから一晩楽しんでくださいね」
そして両開きのドアの外に出てエイプ子爵とスナオ君に閉めさせようとして、ふと思い出した。
「スナオ君それ貸してください」
「え、あ、はいどうぞ」
スナオ君から渡してもらったのは、GSだ。
反射率ゼロの黒い靄を出すこの迷槍を魔法よりもっと謎があるんだぞとデコルに見せつけてやりたかったのだが、チェルシーのことで忘れていたのだ。
なので
「てい」
室内に投げておく。
GSは立て掛けて、その近くを素行不良な騎士が通ると倒れてくるとスナオ君から聞いた。
さすがに気のせいと思うが、デコルたちのいる部屋に置いたらどうなるのだろうか。ちょっとした実験である。
そしてドアは奇麗に閉まった。
「さあここから全力で逃げますよっ!」
俺はまだおぼつかないチェルシーの手を取って走り出した。
魔法狂いの副会長は神の声に反応してなかなかのスタートを決め、運動系のエイプ子爵とスナオ君も反応は遅れたが加速がいい。ロンブル翁はすでに逃げている。
「う、おえ」
そして遅れたダッシュ君は僅かに漂ってきた臭いに少しやられたようだ。
「あれは何ですかセルフィル様」
走りながらエイプ子爵が聞いてくる。
「あれはですね獲った魚を長期保存するため密封した容器に入れて醗酵させたものです」
「ほう長期保存ですか」
「ただ凶悪なまでの激臭でほとんどの人は食べれずに強烈な吐き気を催します」
「……」
軍事物資に使えるかなとエイプ子爵は考えただろうが、ダッシュ君がまだえづいているの見て諦めたようだ。
ハイブルク公爵領では魔法使いのいる建物にワインを送ってぐでんぐでんに酔わせてから投入してやった。阿鼻叫喚嘔吐しか聞こえず、収まった後に激臭に耐えながら袋に砂を入れて作ったブラックジャックで一人一人殴打してやったのだ。
今回は聞こえなかったが逃げられない空間で十三型まで改良したあれをくらえば阿鼻叫喚嘔吐気絶は間違いないだろう。そして臭いで復活、ループの完成だ。
「ふふっ、あははっ」
チェルシーが笑っていた。
「あっはっはっはっ」
俺も笑う。
どうして笑い始めたかはわからない。けれどまあ悪人は滅び、全力で走れば面白いかもしれないのだ。
「おぇ」
ダッシュ君は無理かもしれないけど。
通販ショタ「ほ~らこんな簡単に魔法使いは倒せるんですよ」
ダッシュ「おぇぇぇ」
というわけでショタ武器の中で最終兵器シュールストレミングでした(-ω-;)
魔法使いだけでなく人を倒すのなら公開は抜群だと思います。それに耐えうる慣れがないと共倒れですが(´▽`)ノ
さあ厨二病な魔法使いは倒しましたので次回からエピローグです。え?覇王様?(;・д・)









