ショタ+爺ズ=?
書きたい事は沢山あります。それを削って書くのは増やすより難しいですね(-ω-;)
それは昨日の事。
覇お、グリエダさんが明日には出発すると告げられたので、護衛に変態執事を久しぶり置こうと長兄に話をつけに行ったら。
「アレハンドロは母上が使っている。御婦人方に会う時に役に立つと言ってな」
「あー、あいつ若い子からご年配の女性まで魅了しますから便利ですよね」
褐色イケメン執事はモテる。本人は俺以外は老若男女興味無いだけらしいが、それがクールに感じて格好いいらしい。ケッ!
「ヘルママなら仕方ありませんね」
アレハンドロは俺と直接契約しているので優先度は俺だけど、ハイブルク公爵家の裏ボスヘルママに俺が逆らえるわけがないので変態執事は諦めた。
「ではアリー、セイト、カルナの三人を戻していただけますか」
普段は呼べば即参上呼ばなくてもしゃしゃり出てくるのに、最近は『あとはお若い方たちでごゆっくり~』みたいな顔で必要な時以外は来ないのあの三人メイド。
「三人もお前には付けられん」
「え、じゃあ二人か一人ですか?」
「人数の話ではない全員だ」
「えー、誰も付いていなかったら僕、宰相に拉致監禁事務処理にまわされますよ」
「身体の安全は保障されているだろうから、私としてはそちらがいいのだがな」
グリエダさんがいない間を宰相にこき使われるなんてノーセンキュー! 俺をチヤホヤしてくれる人が欲しかった。
「第二王女の王女教育が始まってな」
「? それは良い事ですね。ハイブルク邸では王族教育は無理でしたから」
長兄は急に話を変えてきた。よくわからないけれど、一応俺の教え子であるのじゃ姫こと第二王女で次の女王リリアーヌの事なのでのってしまう。
「その教育が全くはかどっていない」
おや?
「王女は教育係が一つ教えると『なぜじゃ? どうしてなのじゃ?』を複数質問をしたらしい。それで答えられず失意で辞退する者、手を上げようとして辞めさせられた者が続出した」
「疑問を持つことはいいですね。一対一で教えて疑問を持たれたのなら納得させるぐらいはしないといけませんよ」
「お前は歴史学者以外心に傷を負わせて再起不能にしたな」
「おかげで礼儀作法は侍女長の学ばなければ時間延長方式で苦労しました」
「血縁でどう接していいかわかっていない王妃が教えるのは問題しかない」
「まあそうでしょうね。ではどなたが教えるんです?」
「……母だ」
長兄は深く深ぁーくため息をついて言った。
ん? なに? ボクハキコエナカッタヨ。
「王族に教育出来る知識を持ち、権力とお前を屈服させる人選が我が母しかいなかった」
「おうふ」
いと哀れのじゃ姫、ハイブルク公爵家裏ボスヘルママが教えるとは……。
「母には権威も疑問も通じず。基礎的な知識を詰め込み式で教えられた王女は……」
長兄の真剣な表情にゴクリと喉が鳴る。
「逃亡した」
「……はい?」
「何も通じないと理解した子供の最終手段だが、捕まえるのに使用人では相手にならず騎士を動員しても、どこをどう逃げているのか全く把握出来なかったらしい」
逃げる方法はどうも子供目線だとわかる王族専用の隠し通路を自前で発見したのを自慢していた。そして逃亡先は調理済みの食料がある厨房か、俺の所に遊びに来ていた。
秘密だ。長兄はお前の所に来てただろ? の目線を送ってくるけれど、証拠が揃っていないからなのか聞いてこないので黙秘だ。
「アレハンドロは通常業務と母の付き添いに追加したら精神崩壊すると言って王女の捕獲業務は断ってきた」
「あいつには苦痛でしょう。貴族子女と奥様のかしましい集団なんて」
「なのでアリー、セイト、カルナを捕獲要員にする為に母付きにした。屋敷では王女の相手をしていたのは三人だったらしいからな」
俺の直属のメイドたちが取られてしまった。変態執事はまぁ別に。
「王女をお転婆……いや、野生児になってしまった原因は我が家にあるから全面的に埋め合わせなければならん。もう意味は無いとわかっているが、少しは関わっておけばよかったと心から思ってしまう」
「あの頃は先がどうなるか読めなかったら仕方がないと思いますよ」
のじゃ姫をハイブルク邸で預かった時、長兄は一度も彼女に会おうとはしなかった。万が一何か悪い事が起きた時に、当主の長兄は関与していなかったと言い張って、ハイブルク家の傷を最小限にするためである。
俺は真っ先に責任を取らされるけどね! あとのじゃ姫を俺に預けたヘルママもだろうけど、俺が罰を受けるのは嫌なので対処するのまで織り込み済みな感はあった。
あとのじゃ姫がプチアマゾネス化したのは本人に才能があっただけかと。没落した時用に学んだサバイバル技術で目覚めたのではない。
というわけで、俺は右翼(変態執事)と左翼(三人メイド)をもがれた哀れな戦闘機となってしまった。
「安心しろ。お前を一人で行動させるなんて、そんな国家規模の危険な事なんて私はしないぞ」
「可愛い弟にたいして言っていることが酷いと思いませんか長兄」
可愛い? とクエスチョンマークを付けて首を傾げられた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「まさかのロンブル翁を付けるとは」
「御当主様とヘルミーナ様が同じ場所にいて、アレハンドロと三人メイドがいたら護衛は十分だからなぁ」
両翼を取られた俺に付けられたのは、外見は豪奢なローブを羽織った中年イケオジ(自称)で中身はその戦歴から六十台は超えているだろう、ハイブルク家で雇われているロンブル翁。
もっと詳しく言うと俺の悪友である。
その昔、知識で異世界チートをしようと暇をしていたロンブル翁に『暇なら付き合わない? 運が良ければ新しいお酒が飲めるよ』と誘ったら、『お、やるやるやるわ』と付き合ってくれた。
「暇人でもロンブル翁より良い人選があると思うのですが。寄子の貴族から適当に騎士を数人寄こせば護衛として十分でしょうに」
「そいつらじゃセルフィル様を止めることが出来ねえって考えたんだろうさ御当主様は」
ロンブル翁は手のひらを上に向けて肩をすくませる。
それは俺がやらかす前提で、被害を抑えるためにロンブル翁を付けたということかな? ブーブー! 俺のモットーはやられたらやり返せ! 身体か精神か人生のどれかが死ね! だよ。
「それでこれから潰しに行くの? 壊滅するの? それとも一人一人暗殺? どれも面倒くせぇな」
「僕をどこの破壊促進者に仕立て上げたいのですか。それに二人きりではないのですから冗談もほどほどにして……」
言葉の最後が小さくなったのは、もう一人のお付きになってくれる人に視線をおくったからだ。
『なに、いつもの連中が取られてしまって一人、あのロンブル翁だけになったと? ……噂では聞いているが接近戦には少々苦手がある御方だね。よし、アレスト家からも一人だそう。翁とも年は近いから衝突することもないだろうし』
長兄へ相談の後、最近の住処である愚王の居室に戻って、討伐準備をしていたグリエダさんにロンブル翁を付けられたのを話したらもう一人付けられてしまったのである。
「安心してください。若い男子は出来る出来ないにかかわらず、そういうものに憧れを持つのは、通過してきた年寄りにはわかるのですよ」
「憧れてはいませんけどね」
中二病は前世で卒業しているの。男のロマンには現在進行形で嵌っているけど。
なんかうむうむと私はわかっているよと頷く、痩身のお爺ちゃんはグリエダさんの臣下のエイプ子爵だ。
第二王子の王位簒奪の時に兵を纏めていたランドン男爵と共に、グリエダさんの補佐をしているアレスト辺境伯家では重要人物だったりする。
グリエダさんが出立する前に紹介されて挨拶も交わしたが、愚王のざまぁ夜会からちょくちょく会っている。
なぜかというとグリエダさんが俺にかまけて辺境伯のお仕事をちょ~と(本人談)ばかり疎かになった時に、書類の束を持参して来ていたのだ。
そして、グリエダさんの口から心のこもった反省の言葉が出るまで、くどくどくどくど内政の大切さを説き。時間は無為に消費して手伝うことはせずに帰るドSな性格のジジイがエイプ子爵なのである。
ロンブル翁は気心の知れた相手だからある程度自由にさせてもらえる。
だけどエイプ子爵はよくわからない。上司のグリエダさんに忠言出来る人だから、俺にも言ってきそうで面倒くさいことになりそうだった。
「セルフィル様」
「はい、なんでしょう」
いろいろと諦めてグリエダさんが帰還するまで大人しようかなと考えていたらエイプ子爵が声をかけてきた。
「我が当主は地頭は良いのですが、それを使うよりも身体を動かすのを好んでおりまして。今回の討伐も仕方なく受けたフリをして、内心は喜んで討ちに行っているのです」
「それはまあ、何もしない貴族よりはいいと思いますよ」
あ、凄く懐かしい感じがする。
「私をセルフィル様の護衛に付けたのは、その合間の空いた時間に私が書類を片付けているだろうという思惑もあるのですよ」
エイプ子爵の感情を削ぎ落された顔が、大量の自分の仕事を部下の俺に放り投げ、これも仕事だと取引先と会食という名の夜のお店繰り出した上司を思い出す。
「姫様には残念ながらその思惑にはのりません。帰還した後に十分に苦労して処理してもらうつもりです」
んー、幼児の頃からヘルママと長兄の公爵のお仕事を手伝っていたけれど、グリエダさんに回されている量は少ないと感じた。十代の女の子に無理をさせてはいけないと配慮されていたのだろう。
当主から姫様にランクダウンしているのは、少しイラッとしていつもの呼び方になっていると思う。
「ですから、私はお付きの仕事に真面目に従事します。危険と判断した場合は別ですが、その他はそちらのロンブル様が止める状況ではないかぎりは差し出がましいことはしませんので、短い期間ですがよろしくお願いします」
……えーと、笑って言うエイプ子爵が少し怖いの。
夜のお店に繰り出した前世の上司を刺しに行こうと誘ってきた同僚を思い出す。エイプ子爵の目は同僚みたいに瞳孔は開いていないのでまだ常人だ。
スッと手を差し出す。
エイプ子爵は無言で握り返してくれた。
「おっと儂もいれてくれよ」
ロンブル翁が二人の手を包むように手を乗せてきた。普段は飲んだくれジジイだけれども、世の中の苦労からひと時解放されたい漢の気持ちは漢ならわかるのだ。
よしっ! 今日今この時! たまには羽目を外していいんの会は発足した。会の期間はグリエダさんが帰還するその時まで、期間中は楽しむっ! 予算は放置した宰相にツケるっ! その後のことは知らぬっ!
楽しくなりそうだな~♪ ジジイと外見中年中身ジジイと心にオッサンを飼うショタが後先考えずに行動するなんてドキドキする。
「ではちょっと僕の用事なんですけれど、国を脅迫して僕にちょっと来いやと手紙を送ってきた魔法協会の相手をしたいのですけど、どうですか?」
「いいぜー」
「お付き合いします」
やだっ。何も聞かずにオッケーしてくれるなんて良い男過ぎて好感度が上がっちゃう。
「行きつけの店で魔法を使って口説いていたネーチャンを怪我させやがったから落とし前つけさせてやるいいタイミングだわ」
「アレスト辺境伯家を舐めた魔法協会には一度出向きたいと思っていました」
「あれ? 超自己中な理由です?」
ジジイたちへのドン引き度が急上昇だ。
これならダッシュ君とスナオ君を連れくればよかった。逃亡癖と護衛に付けるには未熟で無理だったけど。
「んで、このまま魔法協会にカチコミに行くのかセルフィル様」
「だから僕を暴走する若い連中と同じにするんですか」
仏の顔も三度までだぞロンブル翁。
え、カチコミしないのぉみたいな顔をしているエイプ子爵。やっぱりアレストの脳筋が入っているな。
「最初にすることは相手を知ることですよ」
「ほう。しかし、魔法協会の事は大部分が知れ渡っていますが」
「評判だけですね。僕が知りたいのは協会の中身です。なのでエイプ子爵、僕は一筋なタイプです。流されることはありませんが、視線追ってしまうのはオスとしての本能なので、そこのところはどうかグリエダさんに内緒にしていただけると」
「おっ! あそこに行くのかぁー!」
俺がエイプ子爵に自己弁護をし始めると、ロンブル翁がどこに向かうのか理解してやる気を出し始めた。
昨日の今日で、俺の情報源である商人ネットワークは事前にどういう情報が欲しいと商人たちに流しておかないと集まるのは遅いので無理。裏社会に潜む必殺な便利屋さんは俺が作って俺でさえ高額な金銭のやり取りでしか仕事を引き受けないようにしているので、お金が心もとない今は相手にもされない。クスン。
しかし、俺にはまだまだ情報収集方法はあるの。
ただ婚約者がいる今は直接行くと困る場所に行かないといけない。いつもはロンブル翁に頼むのけれど、楽しんでくるから無駄に時間がかかるんだよ。
「ほら、早く行こうぜセルフィル様」
「ロンブル様はお若いですなぁ」
「三大欲求は人とは違うそうですよ」
酒、女の子、ギャンブルがロンブル翁の若さの源らしい。外見は魔力のおかげで、中身が成長していないだけだと思う。
覇王いぬ間ショタ「たまには羽目を外すぞー!」
ロン翁「いやいつも外してね?」
長兄「寝ている以外は外しているな」
これでよかったのか今も悩んでいます(-ω-;)
ジジイ+ショタ(オッサン)で話を書き続けて需要があるのか(;´Д`)
ヘルママの礼儀作法の授業をバックレたのじゃ姫。ショタの所以外にもアリシア、【統合中枢詰め込み部屋】、白王のもとにも行っています。アリシアとはお茶会という名の礼儀作法を知らず知らずのうちに学び。【統合中枢詰め込み部屋】では、だだ甘な大臣たちを質問攻めして一流の国の運営方法を吸収し。王城の馬の頂点に秒でなった白王からは上に立つ者の心構えを見せてもらっています。
自然と教育は成されていますが、ちゃんとしたお勉強をしないのはまた別です。
皆様は漫画の方のショタと覇王様はお読みになられたでしょうか?(´ω`)
第4話でショタを迎えに来た覇王様の髪型がいつもと違うのに、ヘアスタイルの参考絵をいただいて『え?いきなり髪型?』と???になった筆者です。一巻を読み返して髪型変えてたー!と書いた本人が驚きました。たった一行、ノリで書いたのを描いていただけたのは感動しました(*´▽`*)
原作と照らし合わせながら読むコミカライズ版も面白いですよ!ヽ(´▽`*)ゝ(しれっと買えとのたまう筆者)









