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 魔法使い、取り扱い、めんどい

ネット確定申告……に入る前段階がおかしい(▼皿▼)



 ダッシュ君以外の視線が交差する。

 どうするとかではなく誰が話すのかを押し付けあおうとした目だったりする。

 グリエダさんとアリシアさんは巻き込まれたので除外。残るは長兄と俺なんだけど、長兄が俺をジッと見つめる見つめる見つめる……。あ、大きくため息をついて諦めた。


「魔法使いがこの国でどういう存在か男爵の息子のお前が知っていることを聞きたい」

「高位貴族と下位貴族では、魔法使いに対して考え方の差があると長兄は言いたいんですよ」


 高位と下位、平民の知る知識はかなり異なる。領地を運営する為の知識と種を何時作付けする知識、必要な人に必要な知識は集まるのだ。


「呪文を唱えるだけで火や水などを何もない空間に出せます」

「ふむ。大体の人が知る一般常識だな。他には?」


 早く言えと言わんばかりの態度の長兄。

 これが本来の公爵と男爵五男坊の差なのだ。最近は高位の貴族から婚約や養子の件があったり、昭和男前やら脳筋団長に頼られて権力の恐怖がちょっと緩んでいたダッシュ君にはいい引き締めになったようだ。

 未来の部下(社畜)が、いきなり貴族に無礼打ちされたくないのだろう。でも今は俺のダッシュ君(玩具)ですよ長兄。


「えっと、貴族や豪商に高額な報酬で雇われています」

「そうですねセイレム公爵家も雇っていますが父も雇う人数には少し悩んでいました」

「……アレストは雇う前に断られたがな」


 おっとアリシアさんの発言にグリエダさんが闇堕ちしそうになっている。アレスト辺境伯領の苦労は彼女にとって禁句のようだ。ほーら可愛いニパニパ笑顔のショタですよー。


「あとは……」

「あとは?」

「凄く傲慢です。僕が知っているのはそれぐらいです」

「……なんだちゃんとわかっているな」


 上司の上司(長兄)のパワハラになんとか答えられたダッシュ君は、プレッシャーでピンと伸びていた背が緩まって息をついた。


「人が使えない超常の現象を使い、高い報酬を貰う、それから傲慢の三つからわかることはなんだ」


 ただし長兄は追撃の質問を止めない。

 気が抜けていたところを再び直立状態に戻されたダッシュ君は混乱の極みに陥っている様でえと、あの、その、としどろもどろになる。ホワイトな会社ならパワハラ案件だ。ブラック企業では質問NGなのにミスしたら何故聞かなかった? 聞いてこないお前が悪い責任をとれとなる。成長させてくれようとしてくれる長兄は大変ホワイトな上司なのだ。

 しばらく待ったがダッシュ君はアウアウ言うだけになったので長兄は俺を見てきた。

 えー、俺が話すのぉー。専門家でないし忘却しているよ? んん、コホンコホゲホファバッ! 格好つけようとすると咽る心のオッサン。


「今のところ普通の人の中から少ない割合で生まれる身体能力を強化する魔力使い。騎士になれる者たちの中から更に極少数湧くのが魔法使いと呼ばれる者たちです」


 俺が子供の頃に魔法使いになれると思って根掘り葉掘り調べた(・・・)この世界で最新の情報だ。ちゃんと聞いてねダッシュ君。


「大げさに呪文を唱えて、だいたい地水火風を出したり出来ますが、その希少性ゆえに少数しかおらず。その昔は悪魔と呼ばれて嫌悪の対象とされ排斥(はいせき)されていました」

「強すぎる個人、特に理解できない奇跡の現象を起こせば、力を持たない大多数に異物として押しつぶされてしまうのですね」


 さすが王妃になる教育を施されたアリシアさん。理解度が早くて周りにわかりやすくしてくれた。

 そして強すぎた覇王グリエダさんは押し潰す側なので、わからなくて可愛く首を傾げていらっしゃる。


「そうです。彼らは迫害され権力者に道具にされ苦難の日々を送っていました。そしてある時、自分たちを守ろうと動き出します。魔法使い一人では複数の人には勝てないのなら集まり抵抗し始めました」

「数は力だね。千も魔法使いがいれば少しは歯ごたえがありそうだ」


 ……グリエダさんの発言に長兄たちは引いてますよ。それはアレスト辺境伯の軍を率いてですよね。決して一人ではないですよね?


「集まった彼らは当時の幾つもある国の脅威になるほどでした。血で血を洗う戦いを何度も繰り返して、二つの陣営は妥協案を出しました。はいっ! ダッシュ君それは何!」

「へえっ!?」

「チッチッチッはい終了ー。回答権はアリシアさんに移りました」


 どうぞと手を向けるとアリシアさんは少し考えこむ。


「……そうですね。魔法使いの身を守るための組織、魔法協会を創設の許可を魔法という武力を貸し出すことで国に認めさせた、でしょうか」

「正解です」


 正解したのでグリエダさんがジェラシーを覚えないくらいのお願いを一回聞きますよ。答えられなかったダッシュ君は後で俺のお供でもさせよう。助さん……は勿体ないからうっかり八兵衛と兼任だ。格さんはスナオ君? 無双感がゼロだな、GS改(ゴールデンスマッシュ)をバージョンアップして装備(呪わ)させるかダッシュ君を。


「根本的な大問題があるので魔法使いは国が造れませんから、国を跨ぐ協会を(つく)り上げました」


 魔法協会を創り上げた初期のメンバーは相当に頭が良かったのだろう。先の状況を冷静に考え現実を見据えた方針をとった。

 まあそれが後世まで伝わるかというと、また別なのである。


「そして国、貴族、商人らは魔法使いを雇う時に少なくない額を協会に払うことになりました。払わなければ魔法協会が動いてその雇い主から魔法使い引き揚げさせ、酷いときは国規模で行いました。なので皆魔法使いに対してかなり譲歩しなければなりませんでした。はい、グリエダさん、そんなことをしていたら魔法使いたちはどんな風に育つと思いますか?」

「……酷く傲慢だよ。こちらが少なくない金額提示と何度も頭を下げても検討しますと何度も先延ばしにされ。最後は『辺境の田舎者の所に誰も行きませんよ。せめて十倍の報酬を出せば下位の魔法使いなら応じるかもしれませんね』と嘲笑しながら言われて、自分は選ばれた存在だと滲み出るどころか前面に出しているあの女の顔は忘れられないよ」

「「「……」」」


 いつも余裕な感じなグリエダさんが低い声で淡々と話す。そのお身体からは黒い覇気が溢れ出して(幻視)、三人がブルっと震えた。

 俺? 平気平気。(足ガクブル)ほ-らグリエダさん、可愛い婚約者の頭ですよ。撫でるとマイナスイオンが発生して落ち着きますよ~。


「さてダッシュ君。平民や下位貴族が魔法使いに感じている感覚とは少々違いますが、上位貴族も高位貴族で魔法使いの取り扱いには頭を悩ませているんです」


 貧乏男爵五男のダッシュ君の魔法使いに対しての印象は平民に近いものからきている。貴族より優遇されている者たちが民をどう扱うかギリ貴族のダッシュ君は見てきたのだろう。


「なので貴族にも平気で噛みついてくる魔法協会は、高位の貴族も必要だけど近づきたくない存在なんですよよ」

「はぁ、宰相様のセルフィル様みたいなものなんですね」


 ……そろそろ前世の親友直伝洗のゴホゴホッを今世で初めて念入りに使ってやろうか。そして何頷いているんですか三人は。

 俺は最終的に益を餅まき並みに振り撒くコロボックルですよっ!


「まあそういうことだな。公爵でも辺境伯でも国でも舐めてかかってくる連中なんて関わり合いたくないのが現状だ」


 そうダッシュ君の疑問に答えた長兄は紅茶、ではなくハイブルク謹製胃に優しいお茶を俺が幼少期にプレゼントした湯呑で飲んだ。

 魚の名前が漢字で書かれているみたいに俺も書いたんだけど、そっかぁ長兄の名前刃流屠(バルト)だったな。漢字でなら覚えていそうだ。


「そんな連中に呼び出しされた僕は(はなは)だ迷惑なんですけどね」

「私が軽く懲らしめてきてあげようか? なに、五体の内四つほど骨を折ってくれば大人しくなるだろう」

「それは頭部以外ですよね?」


 玉座の愚王にお伺いの時は騎士や兵士の腕を一本折るだけだったのに、魔法協会に対して容赦がない。余程屈辱的扱いをされたんだねグリエダさん。よし、俺が軽ぅ~くトラウマを植え付けてきてあげよう。トラウマを克服出来たら立派な? 立派? ……奇人ぐらいにはなれるかも?


「……」

「どうした?」

「あ、いえ。少し気になる点がありまして」


 なんとなく魔法協会の件はもう少し後で話そうという感じになり始めていたところ。アリシアさんが考え込んでいるように見えた長兄が声をかけた。


「気になるなら言ってみればいい。この末っ子は無駄に知識を蓄えているから大体は答えてくれるぞ」


 無駄には蓄えてません。無駄知識を沢山蓄えてはいるけど。

 聞いていいの? いいの? と不安そうなウサギさんのアリシアさん(俺よりもグリエダさんよりも年上)に手でどうぞと許可を出す。


「それでは、こう見えて私は将来王妃になる為にいろんなことを学んできました」

「「「「……」」」」


 自虐ネタがツッコめないほど重い。


「その中には外交もありまして、他国や教会の歴史を知ることは必須でした」


 そりゃ王妃なんて国の代表の顔の一つだ。他国の作法歴史で知らなかったでは済まされないことなんてあるだろう。愚王は絶対に何も知らなかったはずだ。


「先ほどはセルフィル君の話の腰を折ってはいけないと思い、話の中から考えて発言しました。けれど魔法協会の創立とその成り立ちが学んだのとまったく異なっておりまして……」


 言っちゃダメだったかな? 怒られないかな? と段々と声と体を小さく縮こませていくアリシアさんに、俺と長兄は


「「ああー」」


 やっちまったなと声を上げた。


「義兄殿も声を上げたということは、ハイブルク家全体のミスかな?」


 グリエダさん当ったりでーす。

 ちょっと後で家族会議だと目で宣言する長兄。

 きっと会議のお題は【ハイブルク家の常識、他では非常識】だね。


ショタ「もうこの部屋から出して!と願っているダッシュ君でした」

ダッシュ「当たりです。出してください!」


仕事しながらまだしも、ただ遥か上の身分の人たちと一緒の部屋にいるって拷問ですよね(-ω-;)

さてこの後は面倒くさいキャラが出てきそうです(´Д`)

そして常識の大部分がハイブルク常識と、今さら気づいて結構ショックな長兄(´▽`)ノ

すっ飛ばしてますけど、異世界転生で生存倫理が世紀末になっているショタが、幼少期に何もやらないはずがなく……(^^;)

まあ次回です(*´∀`*)ノ


確定申告……の話はしたくないので、他の投稿が遅れた原因。

まー、オルフェに去年の夏ぐらいに魅了された筆者でした(*´ω`*)そして実装が確定申告のちょっと前、獲ったどーと感動しまして育成しようとしたらオルフェのカード使えねえ!そこから新しいカード二枚を無課金完凸、満足したのは今週……そしてグラブル……。

三巻発売してんのに何やってんだorz

反省しまして、kindleで一巻無料となっています。ゼロ円でもランキングに入りたいですね(´`:)

ライコミで漫画版小悪魔ショタが更新されてます。第2話部分まで無料です。それ以降は購入してのお楽しみ( ´艸`)


ブックマーク10008になってました!ありがたやありがたや(´人`)


前からご感想への返信が本編より書いてね?と思う(-ω-;)

たぶん面白いので感想欄も見てください(^^)


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【コミカライズ一巻も発売するよ!】 【ハイブルク家三男は小悪魔ショタです1~3巻、コミックス1巻絶賛発売中!】 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵 表紙絵
― 新着の感想 ―
なるほど、成り立ちは力を持ったが故に虐げられた人たちの互助組織だったわけですね そしてそれを知られたくない(あるいは認めたくない)が故に歴史を書き換えたと うーん……潰そう!(マテ) いや、本部だけな…
国とかが都合よく書き換えるのはよくあることだけど、本当のことが失伝してるってことはかなり昔の話っぽいなぁ。 主人公よく掘り出したな。
ここまで読んでもまだわからぬ魔法協会の謎。 「彼らに『犯罪者はその土地の権力者が裁く』の法理が通じないのはなぜ?」 魔法使い達の大量死亡はそもそも「犯罪への加担」内乱を起こそうとした貴族に派遣雇用され…
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