王城での監禁もあと僅か
章の入りっていまだに難しいです(;´Д`)
何度も起こしたのにグリエダさんの目が一度も開くことはなく。完全に日が昇り切って彼女は起きた。
目を閉じていただけと言われたら納得するぐらい爽やかな笑顔で起床なされて、おはようの後に俺のおでこにキスをされた。男女が逆転してね?
目の前で着替えようとするグリエダさんを、タイミングよくやって来た彼女の侍女に任せて隣室に逃亡。
王城では毎朝の出来事だ。おそらく彼女は俺のことを男ではなく飼い始めのペットだと思っている感じがある。まあそこはあと数年で成長して背を追い越して、男らしさで魅了しようと思う。このままで俺の身長は終わらんぞっ!
朝食を食べたあと、午前中は俺は国家中枢の事務処理アルバイトに、グリエダさんは軽い運動をしに国家騎士団を半壊しに。
途中で書類を持ってきたダッシュ君をからかい。宰相へ『もうすぐ僕は屋敷に帰宅出来るけど、とうとう僕を見つけて嫌がらせ出来なかったね♪ ねぇどんな気持ち? 僕にはわかんない~』としたためたお手紙を配達してもらう。
いまだに俺が愚王の私室にいることを突き止められないのは、王妃様や義母ヘルママ、長兄にハイブルクとアレストの使用人ぐらいしか知るものがいないからだ。
唯一書類運びでダッシュ君は来ることができるけど、宰相に教えたら不満足しか感じない人生にしてあげると脅したから絶対に漏らすことはない。拷問したら使える文官(ダッシュ君)が使えなくなるので身はたぶん安全。
そして戻ってきたグリエダさんと昼食。もちろん俺の定位置は彼女の膝の上。
食後は休憩しながらグリエダさんは辺境伯の書類処理に入る。
まだ若くて大半を臣下の爺さんたちに補佐されていても、最終判断は当主の彼女がしなけれならないのだ。しかし地頭はいいグリエダさんでも経験を積まなければ書類の判断は難しく。
「これは……」
「あー、その通行税はですね。長兄とセイレム公爵が国難につきと適正価格よりだいぶ少なめにしくれてまして、こちらのほうにまとめた紙がたしか……」
「……義兄たちには頭が上がらないな」
「アレスト辺境伯領に輸送する物資の半分以上が二つの領かその寄子からですし、支払いは王家持ちですので、そちらからガッツリ絞り取りますよ」
「……私も真剣に駆け引きを学ばないといけないな」
「こればかりは何度も経験して覚えるものですから」
俺が少しだけサポートしている。アルバイト中にすると俺の気が散るだろうと遠慮してくれたのだ。別に一緒にしても大丈夫だったのに、八対二の比率で書類を裁くだけだ。どちらが八? 俺は宰相たちの睡眠時間を優先しない。
人の上に立つというのは、成功だけでなく敗北を最小限に被害を抑え、飲み込んで繰り返さないようにしなければならないのである。
ウチの国の愚王様は成功だけ享受して敗北を全て人に押し付けた。だから人生の節目に起きる絶対に間違えてはいけない時に、過去の勝率で判断力を鈍らせ、不満を押し殺して耐えて下の者たちへの壁になってくれていたセイレム公爵家を激怒させる致命的な失敗を犯した。
経験出来なければ教育すべきだったのである。それでも駄目なら権力を奪い周囲を優秀な人物で固めるか、廃嫡しなければならなかった。賢王と呼ばれた先の王は子の愚王にだけ王としてふるまえず、その晩節を汚すことになった。
ちなみにグリエダさんに敗北をしたことはあるのか聞いてみたら、子供の女辺境伯がどれだけ軽んじられたと思う? とニッコリ笑顔覇気付きで答えてくれた。辺境伯領への物資を増やすように、長兄とセイレム公爵と宰相と話し合いをしたのは内緒である。
「ところで君も仕事をしているのかい?」
「あー、これは違いますね」
グリエダさんの当主のお仕事の補助をしながら、俺は手紙を書いていた。
「文通のやり取りを以前からしてまして、ここ最近バタバタしていたので書くのを忘れていたんですよ」
「……女かい?」
「違います。基本ご年配の方たちです」
殺意の覇気を込められても困ります。
「昔、いろんなことで悩んでいる時に、その道の人たちに助言を聞きたくて手紙を送っていたんです。それから定期的にやり取りすることになって今に至ります」
書きかけの手紙をグリエダさんに手渡す。じっくり読んでも時候の挨拶と、最近ちょっとした揉め事に二つほど巻き込まれて解決したことを簡単に、婚約したことを長々と書きかけ中なだけですよ。
「恋文ではなかったが、セルフィルに友人と呼べる者はいないだろう?」
「酷すぎません? 第一王子の婚約破棄の前まではいましたよ。その頃は権力にすり寄ってくる連中が面倒くさくて身分を隠していたので、普通にいたんです」
じろじろと怪しいなと疑わないでください。友達というより小さい子を相手にする感じでしたがいたんです。愚王のせいで公爵家の末っ子事故物件認定されて皆離れてしまいましたけど。……グッスン。
「まあだらだらと続いている縁です。切ろうとすると恨みの手紙を何通も送ってくるんですよ」
「無視すればいいんじゃないかい」
「いえ……。お年寄りは大切にしないといけませんので、ときどきでいいので送っていいですか?」
グリエダさんが内容を確認した後ならオッケーのお許しがでました。
世の中のカップルに夫婦共よ、よく学びなさい。友達だから知人だから連絡するのや会うのを伝えないけど、不審がるのは信用していないとか言っている時点でアウトです。信じていないのかではなく、信用を築いている最中にその信用を損なう事をしているのに気付いてほしい。報連相は仕事だけではないのですよ。しても信用してもらえるかは相手次第だがなっ!
あと今回は忙しすぎて忘れていたんだけど、焦らして連絡すると大量の贈り物が返ってきて懐が潤うのです。孫に久々のコミュニケーションに浮かれて何でも買ってくれる祖父母の気持ちなのだろう。
家では申告お小遣い制、最近隠し財産が義母に見つかり凍結された俺には大変ありがたいから、止めることができません。
ちゃんと相手側が喜ぶものも送っているから大丈夫。……それもグリエダさんの確認が必要なのかなぁ。
「セルフィルの私への接し方は信用はしているけれど、義兄殿とヘルミーナ様がその行動は放置しておくと、いつの間にか大問題に発展しているから警戒してほしいと言われていたからね」
「あの二人ぃ……!」
ちょっと事前に知らせずに建物を(幾つか)爆発四散させてしまったり、悪徳商人を騙してお小遣いを稼いで後始末を長兄に任せたりしたぐらいじゃないかっ!
……はっ、いつのまにか俺も信用を損なうことをしていたー!
「ぼ、僕はよく伝えることは忘れて行動しますけど、悪いことはしてませんよ?」
「疑問形なところが怪しいし、危険な事はするつもりだね」
フルフル、僕は良い子なショタだよと訴えたけれど、グリエダさんにムニムニと頬っぺたを引っ張られる。
「ひゃふぇへふひゃひゃひ~」
「言わないことで逃げ道を作るのはこの口かな?」
痛くはないけど喋るたびに頬っぺたを引っ張られたり押されたりしてまともな言葉にならない。
グリエダさんはそんな困った俺を見て楽しんでる。俺の頬っぺたは書類仕事のストレス緩和にいいようだ。
バンッ!
「セルフィル様ぁっ! 宰相様がお怒りでお呼びですっ!」
「知っているかなダッシュ君。人のいちゃつきを邪魔する奴は馬に蹴られて死んじゃうですよ。あとノックはするように」
「白王に蹴ってもらおうか」
「すいません。プチッとされる死に方は嫌です」
ノックもなしに元王の私室の扉を勢いよく開けたのは、宰相や大臣たちから『養子またはウチの娘に』ナンバー1(おそらく俺対策用)のダッシュ君だった。
そのダッシュ君、俺をオモチャにして遊んでいるのを邪魔されてニッコリ笑顔でイラッとしているグリエダさんに、スーと両脚を折り畳んで土下座に移行した。数回しか見てないのに最上級の謝罪姿勢を取れるのは、凡人だからこその才能だろう。ただし長兄の年季ある美しい土下座と比べたらまだまだ甘い。
「なぜ宰相が僕を呼びつけるんです?」
「セルフィル様がいつものように宰相様を激怒させる事をしたんじゃないんですか」
「そろそろお勤めも終わりそうで城から出れるのに、そんな刑期が伸びそうなことしませんよ」
「今までしていたんだね。少しだけ宰相が可哀そうになったよ」
はて? 俺の泊っている場所も見つけられない宰相がなんだろうか。理不尽な話だったら【宰相と騎士団長手取り足取り歩んだ禁断の人生】の草案を、ウチの前公爵第一側室貴腐人レアノ様に送るぞコノヤロー。
思い出しかけショタ「う~んう~ん何かグリエダさんに伝えないといけない事があるような?」
ダッシュ「その年でボケましか?」
忘れたショタ「ボケてないダッシュ君には僕の処理する書類を全部あげよう」
長兄(前世の記憶があるのを忘れてないかウチの三男は)
まだ三章のメインが出てきてません。ただのショタと覇王様のイチャイチャをお送りしました(*´∀`*)ノ
書きたいことは沢山あるのに、最初の入りがなかなか書けません(;´Д`)
あと二章の最後がショタ監禁コースが面倒なことに!誰が書いた!自分だーっ!(゜Д゜)









