閑話にもならない苦離酢魔巣威武
威武に間に合いませんでした(;´Д`)
筆者のもう一つの拙作【釣り合う二人はバカップル】を読まないとわからないキャラが出ることご了承ください<(_ _)>
「ジングルベージングルベー。具視が鳴くー」
「……。セルフィル様の関係者ですね」
込み合う時間から外れて人の数が少ない食堂のすみで一人寂しくダッシュ。
その目の前に紅白の服を着た幼女が現れた。
いつどのように出現したのかわからない。が、嫌な事の殆どは悪辣ショタがやらかしていると決めつけている彼であった。
「ん、コスプレ? でも今日はみすぼらしい恰好だと女の子にモテないよ」
「絶対にセルフィル様の関係者だ」
ダッシュを眺めてコテンと首を傾げて毒を吐く幼女。
触らぬ小悪魔に祟りなしと食堂にいた数名の者たちは逃げ出した。
味方が誰一人おらぬ状況にダッシュは深くため息を吐く。
「どこから来たのかなお嬢さん」
「む。私はお嬢さんではない。成人した美女」
ムンッと胸を張る幼女に、その体躯に小悪魔の親戚筋なのかなと考えたダッシュ。
「ん。ところでここはどこ?」
「ここは王城だよ」
「……ん-、ヒッシャーの謎空間からプレゼントになるものをゲッツして戻ろうとしたら異世界だった?」
「ごめん。君の言う事全然わからないよ。だからわかりそうな人のところに行こうか」
「ん。よくわからないけどいいよ。悪人には絶対になれそうにないユーについて行く」
「絶対に小悪魔の血筋だ……」
連れて行こうとしたダッシュ。しかしお残しはダメと無表情パッツン髪の幼女に見られながら食事をすることになった。
「その袋はなんですか?」
「ん。これは魔法のサタン袋。今日だけ無限にプレゼントが出てくる」
(うん。ヤバい子だな)
ダッシュは大きな白い袋を肩にかついだ幼女を連れて城内を歩く。
そんな彼らの前に項垂れて半泣きのオッサンが立ち塞がった。
「ウッウッウッ」
「……どうかしましたかセイレム公爵様」
「ウッ……ダッシュか?」
ダッシュは声を掛ける。
最上位貴族があからさまに誰に気づいて欲しい場所でメソメソしているのを無視してもロクな事にはならないのを彼はわかっているのだ。
「実はな娘が私から婿殿を引き離すのだ」
(貴方の婿殿ではないのですけど)
「ん? おじさんに娘さんがいるのに婿いるの? ……眞子が喜ぶ」
ダッシュは己の国の公爵変態とは思われたくないので事細かに説明した。
「ん、おじさんは娘さんと婿殿の邪魔したらダメ」
「そ、そんな! ただ義理の息子と友好を深めようとしただけで」
「それで二人が仲良くなるのを邪魔したら孫に会えるの遠くなるよ」
幼女の言葉に絶望して叫んだ貴族最高地位おやじは、続く言葉にピタリと動きを止める」
「ま、孫?」
「ん。いつもお菓子をくれるGBジジババが孫が一番可愛いって言ってた」
「そうか、アリシアと婿殿の子供か……。それはいいなぁ」
何もない空中を抱き抱える仕草をするセイレム公爵。おそらく孫をあやす妄想に憑りつかれてキモい表情を浮かべるおっさんにドン引くダッシュであった。
「うん。これからは節度を持って義息子と娘と接しよう。助言をありがとう少女よ。礼をしたいのだが君はどこの家の者かね」
「ん~、今日は特別な日でお礼はいらない。それよりこれあげる」
持っていた袋をゴソゴソして何かを取り出す無表情幼女。
「これは?」
「ん。おじさんお金は持ってそうだから孫に使ってあげて、それはサプリメントのセット一年分。歳をとると無限体力の孫と遊ぶのは腕と腰と関節がブレイクするから、毎日ちゃんと飲んで、少しは身体の衰えが遅くなるから」
「う、うむ」
飲めと言われて大量の袋を渡されるセイレム公爵。
「ん。それじゃ行こ、ヘタレそうな少年」
「それ僕のこと?」
渡したことに満足したのか行先もわからないのにダッシュの前を歩き始める幼女。
「待ってくれ君の名は!」
「ん。人に気配を感じさせずに不法侵入。子供の部屋に入り込んで『これじゃないっ! 欲しかったのはこれじゃないのっ!』とがっかりプレゼントを靴下の横に置く不審人物。その名はサンダークロース」
「最低な人物じゃないかっ!」
「ん。さらば娘に横恋慕するおじさん。ちゃんと飲んでね」
これ以上その場にいると不敬罪で斬り殺されそうなので、手を振る幼女の背中を押して少しでも早く行かせようとするダッシュ。
「サンダークロース……彼女はいったい何者……」
廊下を曲がり消え去った二人組の方向を見ながら呟く公爵。
その手にはしっかりとサプリメントの袋が握られていた。
その後も酷いものであった。
ボコボコやられた騎士団には超染みるけど治りは良い水虫の薬を大量にばらまき。
文官には激クールになるけど仕事を続行できるようになる目薬をばらまき。
お爺ちゃん財務大臣の孫寂しさを癒して、『ん。じゃあいつか会える孫にプレゼント』とあと何日会えるかわからないのにお人形さんをあげ。
まる三日寝てない宰相には元気になるドリンクを渡して、『ん。強制的に一晩ぐっすり眠るけど頭も体もなぜかシャッキリ元気になるよ』と机に突っ伏して昏睡状態になった宰相に幼女は言った。
「君は何をしたいんだ……」
幼女が何か起こすたびに脇に抱えて逃げるダッシュだが、いつの間にか脇からいなくなり問題行動を起こす彼女に疲労困憊になっていた。
「ん? 今日の私はサンダークロース、良い子にプレゼントを贈る女」
「意味が分からないっ!」
ダッシュは絶望する。早く小悪魔に渡してそのまま逃亡しようと彼は決意した。
そんなアップダウンの激しい感情のダッシュの目の前の空間が扉のサイズで光り輝きウィーンと両横に開いた。
『あ、いたいた! 謎空間に侵入した形跡があったと思ったらお前かっ!』
その開いた中から人型のナニかが出てくる。
そう人型のナニかだ。全身白タイツで腹にバカップル死すべしと書かれたナニかである。赤と緑で書かれているのが、なぜかダッシュの心にもの悲しさを感じさせた。
「ん。遅いぞヒッシャー」
『迷子になっていたくせにお前の方が迷子だったんだろうの子供の視線を送ってきやがって、この問題児が! ここはお前の様なマジバグキャラがいていい世界じゃないんだ。さっさと元の世界に帰るぞ』
「ん。あっちの世界でもサンダークロースで爆誕降臨。具視たちには雪の代わりに塩を降らせる」
『あいつらは邪魔しようとカップル名所に待機しているか、阿鼻叫喚するのは塩塗れになって恋人達だぞ』
「ん! 喜んで小躍りする具視。そして塩を落とすためにしけこむカップルを見て絶望する具視を見てみたい!」
『う~ん、超目を輝かせてるけど無表情偽幼女』
幼女は全身白タイツ(いつの間にか字がいと哀れクリぼっちに書き換えられていた)に促されて空間に開いた中に入って行く。
が途中で動きを止めて、目の前の光景に理解できずに四つん這いで硬直するダッシュに振り向く。
「ん。なかなか面白かったよヘタレ」
「君の中で僕はヘタレで決定なのかい……」
「お礼にこれをあげる」
そう言って担いでいた微妙に人を幸福にしたり不幸にする袋からあるものを取り出して、ダッシュの前に置く。
「ん。これが使えるくらいに良い男になれ」
『その袋『印税から引き落とされます』と書いてあるんですけど?』
「ん。ヒッシャーの通帳を入れたら書かれた」
『ギャアアァァァアアアッ!』
「ばっははーい。また来年」
『ハァハァハァ、よかったなダッシュ。お前がヘタレでまともな行動をしたおかげで怒りの魔王が侵略行動を起こさなかったぞ。記憶はだんだんと薄れていくからな。その方がメンタルがおかしくならないだろう。さらばだっ!』
頭を抱えて悲鳴を上げる白タイツと、ダッシュに可愛らしく手を振る無表情おかっぱ(Verサンタ)は謎の空間に消え去った。
「いったい僕は何を見ていたんだ……」
呆然と呟くダッシュ。
その手には長方形の『箱』が乗っていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「ん。喜べ具視ども貴様らにプレゼントだ」
「「「「「ギャァァァアアアッ! 目が目がああああっ!?」
元の世界に戻った幼女は袋をヒッシャーに取り上げられたので、高圧洗浄機を改造した高圧塩振りまき機で、クリスマスイブにピンポイント具視浄化を行い。カップルたちに称賛の嵐を受けた。
(具視たちは特殊な訓練を受けています。塩直接目にかけると危険ですのでおやめください)
ミニスカサンタコスショタ「僕の出番がっ!?」
白スーツ申し訳トナカイ角覇王様「巻き込まれないほうが良かったじゃないか。さ、二人でクリスマスイブを楽しもう」
筆者は三巻の作業、続きを書くのを放棄して、いったい何を書いているのでしょうか?(´・ω・`)
宰相やショタ覇王様を書いたら大晦日ぐらいになりそうだったのでカット。のじゃ姫投入したら三が日以降になりそうだったので諦めました(;´Д`)
いや本当に勢いで何を書いているのやら
……。
ハイブルク家三男は小悪魔ショタだけを読んでいる方には何のことやら?でしょう。
この年末、【釣り合う二人はバカップル】を暇潰しにお読みいただければ、今回の幼女に謎のワードがわかると思います(^^;)
ダッシュは何を貰ったのか、それはバカップルで!(o゜▽゜)o
【釣り合う二人はバカップル】
ノクタ版
https://novel18.syosetu.com/n1277hy/
カクヨム版
https://kakuyomu.jp/works/16817139556484842815
ノクタ版はエチエチが入ります。ノーマル版はカクヨム版を。
ただのバカップルを書いていたのに、人前で読むと大変に危険物と化した物語です。
ショタの前世の親友、魔王様も少し出ます。
笑わずに読めたら是非ともご感想を!
君は雨乞いワールドから逃れられるか!(*´∀`*)ノ









