コミカライズ記念閑話 長兄と小悪魔末っ子
コミカライズ記念閑話!
後書きも読むと、果物を上下に割ってショタが腰振りダンスをする夢がそのうち見れますよ(○´∀`○)
自分は冷めた性格だと思っていた。
長子である自分は父から公爵の地位を受け継ぐことになる。為すべきことを成して次代にそれを渡すのが仕事で、その為には情に惑わされずに支障になりそうな弟妹も処理しようとしていた。
「ボクとしょーぶしてくだしゃいにーしゃま」
「……セルフィルか?」
「あい!」
母に、たまには一日休みなさいと言われ庭園で経営学の本を読んでいると、子供がニコニコ笑顔で近づいて来てボードゲームに誘ってきた。
父が戯れに手を出したメイドが生んだ子がいるとは聞いていた。
「なぜ私がお前の相手をしなければならない」
後ろ盾も無く脅威にもならない末の弟が自分の元に来れたのは母の指図だろう。
ハァとため息をついてしまう。
息子の私でも、最近は機嫌が良いぐらいで母の心情は理解できない。
始末するかその血を組み入れたい貴族に下げ渡すぐらいの価値しかない子供と会うのに何の価値があるのだろうか。
無視して摘まみ出そうと使用人を呼ぼうとする。
「あでぇあでぇあでぇ~。ちっしゃいボクにまけると思っしゃからしないんれしゅか~?」
「……いいだろう」
生意気な笑みを浮かべて挑発してくる幼い弟。
この頃の私は人を役に立つかどうかでしか見ていなかったから、幼児に舐められるような態度をされてムカつかないわけがなかった。
弟が用意したのは二つの色に表裏に塗られた駒で挟んだ駒が自分の色に裏返され、枚数が多い方が勝ちというものだった。
単純なのは幼児が覚えられて出来るゲームがこれしかなかったからだろう。
サッサと勝って残りの時間を読書に消費しよう。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「あり得ない……」
ほぼ漆黒に染まった盤面に愕然とする。
「キャッキャッキャッ♪ あでぇ~? じしぇんまゃんまゃんなおカオはどーしたんれしゅか~?」
テーブルに顎を乗せて盤面と覗き込む私の間からニヤニヤしながら覗き込んでくる悪ガキ。
「もういっしゃいしましょーかぁ~」
「……」
私は無言で駒を取っていく。
このままこのガキに負けて夜眠れるか!
◆◆◆◆◆◆◆◆
「よしっ! よしっ! よーしぃっ!」
「ありぇ~、きんしゃれ負けまししゃー」
数枚差だが勝てた。
勝利した興奮は気持ちがいい。思わず大きな声が出てしまった。
「れはこれれ終わりれすね」
「待て」
ボードゲームを片付けようとする弟の手を掴んで止める。
それに首を傾げる弟。
「なんれしゅか?」
「勝ち逃げは許さん」
「ええ~。もうちゅかれてねむねむれしゅ~。りゃあ、ボクがちゅり勝っりゃりゃおねりゃいをひとーちゅ聞いちぇくりゃしゃい」
「わかった」
嫌がる弟の条件に了承したが三回連続敗北して、次回は私が休みを取った日と取り付けた。
しかし、末の子で後ろ盾のないといっても公爵の子なのに、使用人達は雑な世話しかしていないらしい。食事なんて一品どころかスープにもう少し塩味をつけて欲しいと弟にお願いされた私の気持ちがわかるだろうか。
「まずは屋敷内の整理をするか。いや待てよ。あいつは私にワザと取らせていた感じが……」
その後、末の弟ことセルフィルは、初回のものとは違うボードゲームを持って来て私を翻弄した。妹やもう一人の異母弟まで巻き込んで敗北の屈辱に泣いたり、怒ったり、勝利に喜んだり、公爵家の子供たちで楽しく遊ぶようになった。
そのせいで私は公爵を継ぐ者として容易に身内を切り捨てることが出来なくなったことに、当時は悩んでいたが。
「まあやらずにすむようになったのは良かったか」
「? いきなりなんです」
「お前のやらかしを思い出しただけだ」
この末っ子が幼い頃に兄弟たち母親たち、家族の仲を取り持った。ならば兄としては家族を守らなければと誓っている。
「え、こ、ここ数日は何もやっていませんよっ」
「……それは数日より前にはやったか、これからやらかすという事かっ!」
その前提で暴走する小悪魔に説教と制御をしなければならない。セルフィルの婚約者となったグリエダ嬢に制御を頼む……。あの猫可愛がりようでは無理だな。
ハァー、しばらくは私が管理するしかないのか……。
ショタ「ん~、懐かしい兄弟の初めての出会いですね」
長兄「この時から私の胃は痛くなり始めた」
長兄とショタの閑話です。
優秀な長兄ですが、それでも昔は貴族という枠に嵌まっている人で、そのままだったら次男と妹と血みどろの後継者争いをしてハイブルク家の力を大きく削ぎ落として公爵になるはずでした。
そして、壊れたアリシアによる国崩壊、騎馬民族による辺境伯領の壊滅、暴走する覇王様によってハイブルク家も消滅するのが本来の歴史です。
それが小悪魔に出会い、家族を愛し家を守る事の出来る漢になり、妹弟母たちの後始末をする羽目になる長兄になりました(∩´∀`∩)
ショタのせいで全能力値が65~70だったのが、85~90まで上昇。でも胃痛デバフ付きに(´`:)
でも根が真面目で優しい長兄は、弟妹を殺さなくてすむショタがいる世界線が幸福なのです。胃痛デバフあるけど(-ω-;)
いつも通り後書きが長くなりましたが、今回はご発表したきことが!(`・・´)
本日【ハイブルク家三男は小悪魔ショタです】のコミカライズが配信されましたー!(≧∇≦*)
描いてくれたのは福部たけい先生。
ショタの可愛らしさと激しめの喜怒哀楽を、筆者がスッゲー!(゜ロ゜)と感動するほど描いてくれています(*´∀`)
あと覇王様、めっちゃイケメン(・_・;)超格好いいイケメンでした。
ショタ「この後書きを見たのなら、漫画版を読むのです」
グリエダ「怪談風に言っているけど可愛らしさしかないよ」
ショタ「愛でるのは後にしてくださいグリエダさん!えーと、読まないとダッシュ君の命がのじゃ姫に狩られて儚く散っちゃうぞテヘッ♪」
ダッシュ「急に僕がキターッ!?」
詳細は▼をチェックしてください<(_ _)>
https://ivy.comicride.jp/detail/koakumashota/
書籍1~2巻も購入して頂けると喜びます。筆者が|ω・`)チラ









