無償の愛(ショタに地味にダメージ)
三回書き直し。
セルフィル視点(コメディ成分多)、グリエダ視点(覇王様成分多)になってしまったので書き直し。
死ぬる(;´Д`)
リリィは自分の名が呼ばれてそちらを向く。
そこには大人の女性が一人立っていた。
「リリィ、君のお母様だ」
横にいたグリエダが、その女性が誰なのかを彼女に教えてくれる。
リリィの逢いたかった母。セルフィルに啖呵を切ったときに本音で叫んだ彼女の望んだ母がすぐ近くまでやって来た。
「……知らないのじゃ」
だがリリィは拒絶する。
王妃が一歩足を前に出そうとしたのが止まった。
王城にすぐ迎え入れられなかったのは、愚王に返り咲いて欲しい者達に害される可能性が高かったから、というのは母を求める子供には関係ない。
でも我慢した。
「わらわに母上はいないのじゃ」
「リリアー……」
「名前を呼ぶななのじゃっ!」
それでも王妃は止めた足を出した。
ようやく自分のもとにやって来てくれた我が子。喜びと同時に誰一人この子を護ってくれる者がいないことに絶望した。
「ごめんなさい」
「うるさいのじゃ!」
王妃は最低な母親だと自分でも思う。
王城に入ることは我が子の死に繋がる。だから生まれてたった数時間で離れるしかなかった。
……とは言えない。言う資格は無い。
でも一歩、また一歩。普段激しく動かさなくて、城から城門に走ったぐらいで体力が底をついた身体でも前に王妃は進む。
「わらわの家族はババ様とジェロイだけなのじゃ。わらわに母上なんていないのっ!」
ずっとずっとババ様に教えられて、いつか母上が会いに来てくれると信じていた。でも今の今まで助けに来てくれなかった。
感情のままに土を掴み母に向かって投げるリリィ。
「ごめんなさい」
「ごめんなさいじゃないのぉっ!」
王妃に土が当たり始めた。
それでも少しずつ娘のもとに近づいていく。
一度も娘のことを忘れたことはなかった。
二人で暮らせるなら全てを捨ててもよかった。けれど王の子として生まれた子にそんな生き方は許されない。
娘が生きていける未来を勝ち取る。それだけを糧にして彼女はたった一人で、王家と貴族を相手に戦い続けた。死にたいほどの屈辱、苦痛なんて我が子への愛の為なら何も感じないも同然だった。
「ババ様がいなくなったの! ジェロイもいなくなろうとしてたの! セルフィーはイジメるし、グリエダと一緒に乗ったはくおーは怖かったし、兄上は嫌いだし」
小高く盛られた土の山を手と膝をついて登る王妃に容赦なく土を浴びせるリリィ。
もう自分が何を考えて言っているのかリリィにはわかっていなかった。
溢れ出る悲しいことをぶつけるだけだ。
「ごめんなさい」
「嫌い嫌い嫌いーっ!」
爪は割れ、ドレスは泥まみれに幾つもの裂かれた箇所が出来ても。体力はもうなくて殆ど這うようにしか動けなくても。王妃いやジョデリアは登る。
だって愛しい我が子が泣いているのだから。
娘リリアーヌがそこにいるのに母のジョデリアが行かないわけにはいかないのだ。
「う、ううぅぅぅっ!」
目の前に立った初めて見る自分の母にリリィは怯む。元々良い子なので泥まみれの自分の母の姿に咎めるものがあったのだろう。
それでも最後に残った土を投げた。
それをジョデリアは受け止めてから、リリィの背に手を回しそっと抱きしめる。
「リリィごめんなさい」
「う、う、うわあぁぁぁあああんっ!」
リリィは泣きながらジョデリアにしがみついた。
生まれてすぐに離れ離れになった理由はわからないけど、どうして離れているのかわからないリリィは寂しかった。誕生日いつも送られてくる三つのプレゼントで手縫いのぬいぐるみは嬉しかったけど、会いに来てくれないのとリリィは苦しかった。
母上には逢いたかった。
でもつらくてつらくて、なのにリリィの背に回された手のぬくもりは優しくて。
リリィはただただ泣く事しか出来なかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆(これ以降は書籍化したら消します)
「うぼえぁぁぁ」
その感動の瞬間に、心は感動はしているけれども、社畜の精神が事後処理について悩んでいる小悪魔ショタがいた。
愛、ショタ「無償の愛?知ってますよ。無償?何ですそれ?」
ダッシュ「僕が事務処理を無報酬でしていることです」
第二章は王位継承問題がメイン話ではありません。メインは愚王によって複雑怪奇化している家族愛です(*´ω`*)
あ~、ようやく書けました。ぶっちゃけヒラリス親子がいなかったら3月ぐらいには書き終えてたのに、おのれヒラリス親子めぇ……ヽ(`Д´#)ノ
たぶん次回からショタが活や……おや?覇王様どうなされました?え、自分は送迎だけかと。
ハハハハ、そんなことあるわけないじゃないですか(汗)
今日も徹夜だぜっ!(゜∀゜ゞ)









