解毒薬と衝撃の事実 2
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オルティス公爵は、クリストバルと同じく銀色の髪にミント色の瞳をしている。
対してオルティス公爵夫人はクリーム色の髪にエメラルド色の瞳。
だけど、顔立ちは、公爵夫人の方がクリストバルに似ている気がした。
……今までクリストバルはオルティス公爵に似ていると思っていたけど、実はお母さん似だったのか。
なんて、わたしは現実逃避しちゃうよ。
だって、公爵邸について、部屋に案内されたあとで、わたしは公爵夫人にサロンに強制連行されたからね。
どうやら今から、ここでわたしは仕立て屋さんたちに採寸されて、すでにざっくりと仮縫いが終わっているドレスの試着三昧らしいわよ。ぎゃふん!
オルティス公爵夫妻の間の子供は、クリストバル一人である。
クリストバルを出産したとき、かなりの難産だったらしくて、夫人はそれ以上子供が望めなくなったんだそうだ。
だから、というわけではないんだろうけど、公爵夫人はすっかりおもちゃを見つけたみたいな顔でわたしを見ている。
笑顔で「娘がほしかったの」なんて言っているけど、これはもしかしてもしかしなくても、着せ替え人形がほしかったの~と言っているのと同じではなかろうか。
そう疑いたくなるほど、サロンには仮縫いドレスが溢れているのよ……。
「まあまあ、クリストバル坊ちゃんからお聞きしておりましたが、本当に細いですわね。腰なんて折れそう。若いんですもの、もっとしっかり食べないと駄目ですよ。ここではしっかり食べましょうね」
なんて、おばあちゃんみたいな顔でわたしに注意をしてくるのは、オルティス公爵家のメイド頭ナタリアさん。御年六十歳であらせられるがまだまだ現役だそうだ。ちょっぴりふくよかで、なんというか、優しそうではあるけどとっても迫力がある。
「ぴったりに作るより、少し余裕を持たせましょうか」
公爵夫人が言うと、ナタリアさんが大きく頷いた。
「ええ。ドレスに合わせて体型を整えましょう。こんなに痩せていては不健康ですからね。もっと太っていただかなくては」
え? それ、普通逆だよね?
思わずモニカさんを見たら、こちらも大きく頷いていた。
「では、二、三センチほど余裕を持たせて作りましょう」
お上品な仕立て屋さんが、メジャーを手にいい笑顔でいらっしゃる。
公爵夫人は「この機会にたくさんドレスを作りましょうね!」なんて言ってるし、それに同調するようにこの場にいるメイドさんたちはみんな手をワキワキさせていて……わたし、果たしてここから無事に生還できるでしょうか?
魔女であるわたしに忌避感情を抱かないでいてくれるのは嬉しいけど、これは、想像していたのとなんか違うっ!
……あ~れ~~~~~~!
すべてが終わった時、わたしは精魂尽きてぐったりしてしまいましたよ。
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