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ぬこ様と魔王様と 〜もしも魔王が、猫を飼ったら〜  作者: ひろしたよだか


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【その49:おかいものアゲイン】

 ご機嫌な魔王を連れて、王都を闊歩する私。


 魔王は新しいキャットタワーに加えて、板や工具などの大荷物を抱えている。


「……本当に大丈夫ですか?」


「何がであるか?」


 どうやら魔王、ぬこさんがキャットタワーに馴染んだところで、新しい計画に移行する心づもりであるらしい。


 計画とは、キャットタワーとキャットタワーの間にキャットウォークを自作する、というもの。


 そのために、すでに設置してあるキャトタワーと同じものを購入し、両者を繋ぐための板なども準備したいとやってきたのだ。


 が、私には少し気になる点があった。


 魔族は手先が不器用だと、魔王自らが口にしていたことだ。自作となれば、惨事の気配がしなくもない。


 私がやんわりと懸念を口にすれば、魔王はふふん、と胸をはる。


「確かにそのようなことを言ったが、我は例外である。この程度の作業、朝飯前であるぞ」


「本当かなぁ……」


「む、疑うようならばルラも立ち会ってみるが良かろう。我の巧みな手先をな」


「や、別にいいです」


「ならん。疑われたままでは我の沽券に関わるのである。その間ぬこの相手もしてもらいたいので、立ち会え」


「私だって暇じゃないんですよ? 一応、ちゃんと公務もこなさないと、教会を取り上げられちゃうかもしれませんし」


「む。それは困るな」


 魔王が困るのは魔王城と王都を繋ぐ転移魔法陣が使えなくなることのただ一点。


 何となく口にしたものの、正直、あの魔法陣についてはちょっと考えておかないとまずいかなと思っている。


 建物の所有権は教会にある。そして私にはたいした発言権も権力もない。


 もし何かあったら、私が多少ごねたところで、追い出される時はあっという間だろう。


 それに、魔王も配慮しているらしいけど、昼夜問わず魔王が私室に現れるのもいかがなものかと思うし。


 私がそんなことを考えていると、魔王が私の耳元に顔を寄せる。


「振り向かずに聞くが良い」


「……どうしたんですか?」


「我らのあとを尾けて来ている輩がいるぞ。お主、何か問題でも起こしたか?」


 注意されていたにもかかわらず、思わず後ろを振り向きそうになる私の頭を、魔王が鷲掴みにする。


 私がその姿勢のまま、


「どうして尾けられていると思ったんですか?」


 と聞けば、


「簡単である。ルラの教会を出てからずっと、市井の者どもよりも多少強い魔力を持つ者が一定距離を保って歩いておった。エリナの店を出ても、同じ人物の魔力があったから確信したのである」


 心当たりがないかといえば、正直ある。


 先日、ハーロットから警告を受けたばかりだ。エルグレイ地区教長には気をつけろと。


 思い返してみれば、エルグレイと仲の良いオリオネートさんがやけに私に気遣ってくれるようになったし、写真機の時も何やら含みのある言葉を残している。もしかして、という気持ちが沸き起こってくる。


「どうする? 我ならば容易く制圧できるが?」


「それって、どうするんです?」


「排除する」


「……直接的に危害を与えないのなら、放っておきましょう。前回のエリナさんのお店の騒動もありますし、ここで騒ぎを起こせば、いよいよマオさんが教会から目をつけられるかもしれません」


「そうか。それは面倒である」


 こうして気になりつつも何事もなく魔王を送り届け、その日は少しだけ戸締りをしっかりして一日を終えた。



 後から思えば、この時私は大きな間違いを犯したのかもしれない。それに気づくのは、遅きに失してからのことになる。



◇◇◇ 



 翌日、教会から出たところで、お隣に住むアネッサさんから声をかけられた。


「おはようございます聖女様。今日は随分と大荷物ですね」


 アネッサさんがいう通り、私は少々大きな荷物を背負っている。


「ちょっと森まで行くので、その準備で」


「あら? 何かの儀式ですか?」


「いえ。散策がてら、きのこ狩りも良いなと」


「素敵なお過ごし方ですね。お気をつけて」


「ありがとうございます。美味しいキノコが獲れたらお裾分けしますね!」


「あらあら、それは楽しみです。では、夜はキノコ鍋の準備をしなくては」


「あはは、あんまり期待してないでください。それじゃ!」


 アネッサさんに見送られて、私は王都のはずれにある森に向かって歩き出したのである。



◇◇◇ 



―――森に行くと言っていたな―――


 密かに様子を伺っていた男は、聖女の姿が見えなくなるのを確認してからゆっくりと教会の裏へと回る。


 そうして、


 周囲を警戒しながら、教会の裏口に手をかけるのだった。




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