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ぬこ様と魔王様と 〜もしも魔王が、猫を飼ったら〜  作者: ひろしたよだか


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【その22:くいちがいコモンセンス】


 話し合いの結果、エリナの店は我が所有者(オーナー)となった。


 別に人間の街に所領など要らぬのだが、『いいか悪いかは別として、お金の出どころはマオさんなのですから』というルラの主張のためだ。


 基本的にはルラが代理で面倒を見るとのこと。また、オーナー割引が発生するそうなので、それならばと了承した。


『と言っても、今回のような出来事がなければ、私やマオさんが経営に口を挟むことはありません。それでいいですね? マオさん』


『む? 好きにせよ。それよりも我はそろそろ帰りたい。ぬこも起きる頃であろう。キャットタワーを届けてやらねば』


 というわけで興味のない会話を切り上げ、早速割引してもらい、キャットタワーを購入。


 エリナは「お金は結構です」と恐縮したのだが、こういうことはきちんとしておいた方が良い。それは人間も魔族も変わらぬであろう。


 足取り軽くルラの教会まで戻って来たところで、すぐに魔法陣に乗ろうとした我の裾を、ルラ掴んだ。


「なんだ? 知っての通り我は忙しい」


「少しだけ話があります。時間をください」


「断る」


「ダメです。どうしてもすぐに確認したいことがあるのです」


 譲らぬルラ。面倒な。


「どうしても聞きたいことがあるのならば、我が私室までついてこい。キャットタワー設置の片手間でよければ聞いてやる」


 そのように伝えると、ルラは一瞬だけ迷ってから、一緒について来たのである。


◇◇◇ 


 部屋に戻ると、ぬこは毛繕いの真っ最中であった。


「おお! ぬこよ、先ほどぶりである! 元気にしておったか!」


 我の声に一度反応し、こちらを見てすぐに毛繕いの戻るぬこ。うむ。変わりなくて何よりだ。


「少し待っておれよ。すぐにキャットタワーを設置してやろうではないか」


 いそいそと設置場所を定め、キャットタワーを組みてててゆく。それをぼーっと見ているルラに、我は苦言を呈した。


「何をぼうっとしておる。暇ならば手伝わぬか。その辺りを片付けよ」


「なんで私が!? ……とにかく設置しながら質問に答えてください。どうして貴方は白装を使えるのですか?」


「白装? なんのことか?」


「先ほど使っていた、身体を光で包む防御魔法ですよ。あれは聖なる力がないと使用できないはずです」


「ぬ? そうなのか。だが我は使えるのである。魔王だからな」


「魔王が聖なる力の一番対極にいると思うんですけど?」


「だが我、お主の聖魔法もちょっとしか効かんし、その白装とかいう魔法もいつかの勇者パーティーが使っていたのを応用しただけである。そもそも、お主の言う聖魔法と言う言葉、矛盾しとらぬか? 聖なる力なのか、魔なる力なのかはっきりせよ」


「言われてみれば……じゃなくて、そんな名称の問題じゃないんですよ。聖なる力は教会が賜った特別な力、人が魔族に抵抗するための希望であるはずです」


 ふむ。どうやら我とルラで根本的に捉えている概念が違うようだ。


「時にルラよ。人間は術式の解読は行なっているな」


「ええ。それはもちろん」


 まあここに関してはそうであろうな。でなければ魔法陣は描けないし、術式を解読して運用しているから写真機のような道具を生み出せる。


「では、魔法と聖なる力の術式の違いはなんだ?」


「えっ? 聖なる力の術式は見たことありませんけど……」


「む? なぜだ?」


「聖なる力の解読は禁忌です。神に逆らう行為であると」


「なるほどな。そうやって煙に巻き、希少性を保っておるわけだな」


「どう言う意味でしょうか……」


「どうもこうもない。言葉の通りの意味である。よくもまあお主、己の術式を理解せずに、聖魔法を使用できるな」


「それは、感覚で使えたので……。だからこそ神が私たちに与えたもうし奇跡だと」


「違うな。根本が間違っておる。聖魔法を使用できたのは、お主をはじめとした今までの者達に、その属性が先天的に備わっていたからだ。簡単に言えば、特技が聖魔法というやつだな」


「そんなことは……」


「まあ、こうしてお主が持て囃されるという事は、人にとっては希少な才能ではあるのだろう。折角お主は聖魔法が使えるのであるから、自ら術式について解読してみるが良い。確かに少し特殊で、やや難解ではあるが、理解できれば応用は容易い。いや、容易くはないか。我だから応用できたと言える」


「貴方の言うことが本当なら……教会はどうしてそんな嘘を……」


「それは知らん。我にはどうでも良い。まあ、さっきも言ったように権威付けであろ? 魔法に関する権利を独占するための。それよりもお主、手が止まっておるぞ」


 我がルラの怠慢を注意していると、毛づくろいを終えたぬこがにわかに立ち上がり、キャットワターに興味を持ち近づいてきた。


「おお! ぬこよ! どうであるか!? 居心地が良さそうであろう! この袋のところで丸くなって寝ることもできるのだぞ!」


 ぬこはすんすんとキャットワターの匂いを嗅ぐと、飛び乗ることなく去っていってしまう。


「ぬこ!? どこへゆくのだ! ぬこよ! 苦労して買ってきたのだぞ!」


 我の呼びかけを無視して、ぬこは我の使う椅子の上に飛び乗ると、丸くなってあくびをするのであった。



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― 新着の感想 ―
のぼらんのか~~~い 魔王、お気の毒様です。苦労して購入して、頑張って組み立てたのに、かなりかわいそうです。でも、あるあるです。 魔王の座る椅子のほうが好き、という表現もとても良いです。ツンからのデレ…
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