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エンドレスフロンティア  作者: 紫音
二章 過去と悪意あるイベント
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第44話 室長VS社長

頑張った。

「社長入りますよっと」


 社長室の扉をノックすればすぐに入室の許可が出たので入ると、そこには下着姿の美女、いや社長がいた。


「はぁ、またですかい。取り敢えず服をきてくだせぇな」


 と言っても、この社長に至っては別に何時もの事なので別に騒ぐ程のことでもない。

 そう、この美女は何時ものことなのだ。


「むぅ、字森は何時になったら私に欲情をぶつけてくれるのかしら?」


 いやいや、それをやったらおいちゃん捕まっちゃうからね。


「あのなぁ、おいちゃんは陽愛お前さんがこんなちっちゃな時から知ってるんだから、欲情も糞もないんだよ。取り敢えず服を着ろ。話はそれからだ」


 仕事の話で呼び出されたのに、何故下着姿で出迎えるのか、小一時間程説教をしたいが、生憎と目の前の美女には意味をなさいのを、いやという程知っている為、さっさと本題に入った方がよっぽどいい。


「ふぅ、しょうがないか。押し倒されるのはまたの予定にするわ」


 そんな予定は当分来ないから、捨ててしまえ。


「さて字森、そこに掛けてって、既に座ってたわね。はぁ、私を前にそんな態度がとれるのは貴方だけよ」


「はっはっは、着替え終わるのを立って待つだなんて体力の無駄遣いをおいちゃんがするわけないじゃないか」


「まぁ、そんな貴方だから好きなんだけど」


 遊びに無駄は取り入れるべきだが、仕事において無駄は省くべきものだ。偉い人にはそれがわからんのですよ。


「さて、本題なんだけど、エンドレスフロンティアの難易度を今より下げる事はできないかしら?」


 先程までとうって変わって、真面目な顔をした陽愛は、そこらの小娘ではなく一人の経営者、社長なんだと思わせる風格があった。

 まったく、これで十九なんだから、先が楽しみだねぇ。

 一時とは言え、家庭教師をしていた教え子がこうも成長してるのを見るのも悪かぁない。


「ふむ。具体的にはどこら辺の調整をすればいいので?」


「全体的にと言いたいところだけど、一番の苦情が多いのは痛覚軽減率の低さに対してね」


 やれやれ、最近のガキどもは本当に根性がないねぇ。そんなに難易度が低いゲームをやりてぇなら、昔ながらのオンラインゲームでもやってろってんだ。

 と言ってもこっちも商業な以上、客の声には耳を傾けなくちゃいけないとはわかってるがねぇ。


「それに関しては、おいちゃんはむしろ痛覚軽減率自体をなくすべきだと言っていた筈だがねぇ」


「それじゃあ、ゲームにならないでしょう」


「だがねぇ、これはゲームだがVR、つまり体感ゲームだ。そんな中で暴力を振るってるんだぞ? このゲームをやるのは全員が全員分別のある人間じゃないんだが?」


 他者に暴力を振るっても相手が痛がらない。自分が振るわれても痛くない。そんなのが当たり前になってみろ。リアルでの暴力助長行為になりかねねえよ。

 只でさえPK行為ができるゲームなんだから、そこはしっかりと顧みれるようにしとかないと別の意味で叩かれかねない。


「確かに痛みのない教訓には意味がないけれど」


「それが答えだよマイ・リトル・レディ痛みのない教訓には意味がない。No pain, no gain、痛みなくして得るものなし、難しいなら努力すればいい。それさえしないで文句を垂れ流すのはネズミ以下の脳ミソだよ」


「先生の言いたい事はわかるけど、子供の親まで出てきて痛みで子供がゲームをできない。ゲームをさせる気があるのか詐欺じゃないかまで言われているのもまた事実」


 やれやれ、何時の世も親とPTAは煩いと相場が決まっているのかねぇ。


「企業である以上、ある程度の譲歩も必要なのは先生も理解されてると思うけど?」


 ああ、もうクソッタレ、企業務めとはこうもやりづらいもんかね。


「……やれやれ、OKだ。設定がちと面倒だが、PVEの時は最大75%カットまでできるようにするかねぇ」


「PVPはそのまま?」


「そっちはまんまだ。じゃないと犯罪者育成ゲームになりかねんよ」


 後は75%でも痛いという根性なしの為、痛覚無効みたいなスキルを作るか。スキル枠一個潰させるなら、それをつけない奴らとの区別もできるしな。後は痛覚軽減率に隠しパラメーターを設定して軽減率が低いプレイヤーを優遇する処置をすれば、全体的なバランスはとれるか……


「他の部分に関してだけど」


「それに関してはおいちゃんのパソコンにメールしといてくんな。もう少しでチュートリアルが終わって、本当の意味でのエンドレスフロンティアが始まるからねぇ、大大敵な見直しが必要だろうから、そん時にまとめてやっちまう」


「わかったわ。それと字森私達の式の予定なのだけど」


「そんな予定はないからな?」


「はぁ、それは姪っ子さんの為?」


 まったく答えづらい事を訊いてくる奴だよ。

 ただ、こうもハッキリと好意を寄せてくる相手を袖にしてるのだから、誠意は必要だろう。


「まぁな」


「……そう」


「陽愛、お前さんは確かにいい女に育ったし、そんなお前さんから好意を寄せられるのは男として、悪い気はしねぇよ。でもおいちゃんは知っての通り器用じゃないからな。お前さんの事を蔑ろにしかねない」


「なら、後2年待てばいいわけね」


「…………は?」


 やべぇ、おいちゃん教え子が何を言ってるのか理解できない。


「確か姪っ子さんの年齢は十八でしょ、それで字森はその子が二十歳になったらお祝いをするためにお金を貯めている。無茶な連勤もその為だから、その子が二十歳になれば、連勤もするひつようはないし、字森は私に言い寄られるのさ嫌いじゃないむしろ好きなら、後2年待てば問題ないじゃない」


 どこをどうすればその解答に至るのか、マジでわかんね。つかなんでおいちゃんがやろうとしてる事を知ってるし?


「字森、本当に知られたくない事は誰にも言わない方がいいと教えてくれたのは字森だった筈よね」


 あ、あーエンドから漏れたのか。なるほどなるほど、こりゃあおいちゃんの負けかねぇ。


「わーったよ。後2年してもお前さんの気持ちが変わらないなら、そん時は考える」


「そこは男らしくプロポーズするって言いなさいよ字森」


「うるせぇ、逃げ道は何時も確保しとけって教えたろ」


 ブーブーと喧しい陽愛の相手をしつつ、対応策の構想を練る。

 結局おいちゃんが解放されたのはディナーに付き合わされた後になった。


「さて、仕事でもするとしましょうや」


この話で二章が終了になります。


さて、メロディアがもらった報酬のコアの正体は決まってるので次の魔導人形の出番まで楽しみしていてください。


感想ありがとうございます。大変励みになります。

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