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エンドレスフロンティア  作者: 紫音
二章 過去と悪意あるイベント
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第39話 Wクエスト・激戦

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。


今までなかったこの人の視点。


1月5日 最後の部分書き足してます。

 剣戟の音やマギアによる破壊音が廃都中に響き木霊する。

 色々と指示が飛び交い悲鳴や怒号、敵味方問わない断末魔が戦場を彩る。


「まったく、いったいいつまで、コイツらを切り刻めば良いんだろうね?」


 四肢切りで挟み目の前の悪魔、正式名称レッサーデーモンを腰から断裁する。

 その隙をついて、三体のレッサーデーモンがあたしに襲いかかってくる。


「だけど、メルちゃんに比べれば断然遅い!!」


 闘気を脚に集中、大振りな右腕の下を潜るように躱して、そのまま勢いを殺さないように回転して背中から両断、大地を踏み締めて四肢切りを逆袈裟に切り上げる。

 それと同時に四肢切りに付与された【劫火】を発動させて炎の斬撃として飛ばす。

 【劫火】によって作られた斬撃はもう一体のレッサーデーモンに直撃して灰塵とかした。

 二体のレッサーデーモンを処理してる間に最後の一体が眼前へと迫っていたけど、辺りの駆除を終えた私の相棒が横合いから押し倒して、その喉を食いちぎる。


 躯の所々に鎧をつけた巨狼、魔導人形のドゥーガ。

 クエストを始める前にメルちゃんが貸してくれた。大事な相棒だ。


「ありがとうね」


 あたしへとすり寄ってくるドゥーガの頭を軽く撫でると、気持ち良さそうに目を細める。

 このような姿だけを見るととても人形等とは思えない。


 ドゥーガの毛並みを堪能していると、またレッサーデーモンの大群が押し寄せてくる。

 はぁー、またぞろぞろと無双シリーズの雑魚じゃないんだから。


 面倒だなぁ。一撃で決めるとしよう。


 四肢切りを下段に構えて、【劫火】を発動させる。

 刀身の先から放たれた炎は地面に着弾すると爆発してあたしの身体を宙へとあげる。

 空中で姿勢を整えて四肢切りを上段に構えて振り下ろす。


「OA【災禍ノ大剣】【劫火】」


 地面に四肢切りを叩き付けると衝撃波と共に【劫火】の炎が広がって大群を飲み込む。




 さて、この辺りは持ち直しただろうし、次の指示を貰う為にシェスカへとフレンド通信をかけるとしよう。


「シェスカ、こっちは終わったけど、次はどこに向かえばいい?」


『リズさん!! 丁度良かったですわ』


「何、なんか問題でも起きた?」


『ええ、敵のボスとおぼしき個体を発見、ブレイブさん、ザックさん達が応戦したのですが……』


「戦況が芳しくないと?」


『ですわ。わかっているだけでもリリウムさんが死に戻ってます』


「リリウムが?」


 あたしとメルちゃんの合作である鎧を着たリリウムが死に戻りしてるって、どれだけ敵の攻撃が苛烈なのか。


『ええ、他にも有力なプレイヤー達が死に戻ってます』


「わかった。そっちに向かう」


『場所は中央広場、私達が会議をした教会前です』


「ん、了解」


 シェスカとの通話を切って、ドゥーガの背に乗せてもらい教会前に着くと、状況はかなり悪かった。


 気絶しているプレイヤー達が結構いて、またそのプレイヤー達を守るように、少ない戦力を分散してしまっている。

 この中で一際目を引くのが、中央でブレイブとザック二人を相手取っている男だ。


 顔にタトゥーのはいった褐色肌、メッシュの入ったスパイキーヘアー、紫のロングコートを羽織った男、ただ側頭部から生えた角と背中にある蝙蝠のような羽がただの人間じゃないと告げていた。


「さて、どうしよっかね」


 ドゥーガを戻して、場を観察する。ある程度傷ついているとはいえ、二人で押さえ込んでいるわけで、下手に私が手を出して均衡が悪い方に傾かれても困る。

 どこで飛び込むか考えていると、敵の親玉がこちらに気付いたのか倭あたしへと視線を向ける。


「おや、新たなお客人ですか」


「暴裁士か」


「シェスカの指示か」


「さて、お姉さんの助力は必要かしらん?」


「ふふ、三人掛りでも私は構いませんよ」


 爽やかな笑顔を浮かべているけど、随分と自信家のようだね。

 ま、それを裏付ける実績はあるみたいだけど……


「頼む」


「リョーカイ」


 脚に闘気を集中、一足で敵の懐へと潜り込み、正中よりも少し左へと四肢切りを振り下ろす。


「速いですが、甘いですね」


 初激は避けられる。けど、それでいい。

 アイツの避けた先、そこにはすでに拳を振りかぶったザックがいる。


「ナイス誘導だ。OA【インパクト・スマッシュ】」


「これは、危ない」


 ザックの攻撃も危なげなく躱す。でも、私達は三人だ。つまり──


「OMA【蓮火】」


 炎の斬撃が走る。


「ば、バカなぁ!? とでも言うと思いましたか?」


 ブレイブの攻撃は確かにあの悪魔の身体を裂いたはず、なのになんで。


「しかし、魔法剣士に闘気使いですか……いやはや、相変わらず小手先の技術で種族差を埋めようとするのですね。貴方方は」


 余裕の現れだろう。役者のように、ナンセンスだと首を振る悪魔、でもさ、敵の前で油断するなんてそれこそナンセンス。


 腕を引き絞って突きを放つ。


 近付いてもいないのだから当然届くことのない距離、だけど、あたしの突きは正確にあの悪魔の腹部に風穴を開けた。


「ごぶぅ、ま、まさか、不死鳥の焔だとぉ?」


 届かない距離から放った突きに【劫火】を乗せた攻撃は緋色の槍と化したのだ。


「ふ、ふふ、ふは、ふはははは。まさか、忌ま忌ましい不死鳥の焔を使う者がいるとは思いませんでした。まったくもって忌ま忌ましい、超越存在(オーバーロード)ともあろう者が易々と下等生物に力を貸すなど、ルシフェルを見ているようで、虫酸が走りますねぇ」


 腹部空いた風穴は既に塞がっていた。なるほどね。ブレイブの攻撃を受けてもピンピンとしていたのは、その再生能力の高さからか。


 悪魔の纏う空気が変わり、紅い双眸はあたしの事を捉えている。


 うわ、殺る気満々だ。可愛いおんにゃのこならカマーンだけど……むさい男にされても、微塵も嬉しくない。


「さて、目の前の悪魔君を倒す有効打はお姉さんにはないんだけど……二人にはあるのかしら?」


「ワリィが俺にもねえな」


 これでブレイブにもなかったら詰みなんだけど、一縷の望みをかけて、あたし達の視線がブレイブへと向く。

 彼は、一つため息を吐くと、重々しく口を開いた。


「二人とも少し、時間を稼いでくれ」


「つまり、有効打があるんだな?」


「有効打になるかわからないけど、本気を出すさ。アイツみたくすぐに切り替えられれば良かったんだけどな」


 ま、何もないよりはましか。


「はぁ、まさか男の為に身体を張る事になるとは、ま、しょうがないか。メルちゃんからお守りを頼まれてるし、ね」


「頼んだ」


「あいよ。でもあれだ」


「別に」


「倒してしまっても構わんのだろう?」

「倒してしまっても構わないでしょう?」


 ザックと合わせて駆け出す。


「ふふ、不死鳥の焔を使う存在を許すわけにはいきませんねぇ」


 あたしを狙った爪を闘気を使って硬化させた左腕で受け止める。


「っ!!」


 硬化してなお肉を抉られる痛みに声が漏れでる。


「おらぁ!!」


 ザックの拳激が悪魔の腹部を捉える。

 その衝撃に悪魔の足が一瞬止まった。闘気を使って四肢切りを横一文字に振るう。


「OA【水羽ノ大剣】」


 だけど、流石はボス扱いの悪魔なのか、すぐに回復してあたしの斬撃から逃れるように後ろへと飛び、その背中を斬られる。


「なにぃ!?」


 水面に写った羽のように前後同時の斬撃、それが【水羽ノ大剣】の効果だ。


「OA【ファースト・インパクト】」


 驚愕した一瞬の隙をついて、ザックが重い拳を悪魔の顔へと叩き込み、足が地から離れた。


「OA【斬禍ノ大剣】」


 くるりと回転して遠心力の乗った四肢切りを袈裟に振り下ろす。


「がぁ!!」


「OA【セカンド・インパクト】」


 追い討ちをかけるようにザックの肘が胸を貫き──


「OA【ファイナル・インパクト】!!」


 そのままアニメ等で見るような発勁のような技を放った。

 ザックの追い討ちで吹っ飛ぶ悪魔へ、あたしはトドメの一撃を放つ。


「OA【瞬雷ノ大剣】+【劫火】ぁぁ!!」


 脚に闘気を込めて加速したあたしの突きは悪魔を貫き、教会へと吹っ飛ばした。


 ふぅ、これで終わってくれると助かるんだけど……

 あたしの淡い期待を裏切るように、教会周囲の土煙が吹き飛び、中からあの悪魔が現れる。


「まだやれるでしょ?」


「まぁな」


 ザックへと確認をとった瞬間、悪魔の姿が掻き消えた。


「え?」


「ごはぁ!?」


 次の瞬間にはザックがぶっ飛ばされていた。


 不味い、次はあたしだ。


「人間風情がぁ、乗るなよ。調子にぃ!!」


 辛うじて左に避けて即死は間逃れたけど、あたしの右腕と共に四肢切りが宙を舞う。


「ぐぅ!!」


 痛い。思わずその場に踞ってしまう。これで痛覚最大カットの50%だなんて嘘でしょ。


 でも、でもさ。


 あの娘と約束したんだ。ブレイブのお守りをすると……だから。


 痛みを堪えて立ち上り悪魔を睨む。


 必殺の軌跡が描かれる。それを辛うじて躱す。右の脇腹が装備事抉れ、次は左腿、右頬と傷が増えていく。


 遊ばれている。それは理解している。あたしが悪魔の攻撃を避けられているのがその証拠で、甚振って遊んでいるんだろう。


 それでいい。あの娘の代わりに時間を稼ぐ。ただの女子大生にできるのはそれだけだから、あたしはそれをやり通す。


「誓う」


 そんな中で、とても静かな声が聞こえる。


「我はよう、我はげつ、我ははく


 ともすれば戦場の喧騒に搔き消されそうな静かな声。

 だけど、とても力強い声があたしの耳朶をうつ。


「我は一振りの刃として」


 ただ一人の少女を守る一人の男の決意。


「ただ一人のさちを守るものなり」


「何をしようとしている人間!!」


 そこでブレイブに気がいった悪魔はブレイブへと攻撃しようする。


「させない!!」


 ブレイブへと突き出された腕、あたしは庇うようにその腕を受け止める。


 闘気で硬化した腹部を豆腐の如く貫いていく腕の感触を感じながら、あたしはその言葉を聞いた。


「我が銘はブレイブ、守り通す。絶招之拾天拳」


 まったく、あたしにここまでさせたんだから、勝ちなさいよ主人公ぶれいぶ


 そこであたしの身体が燃え始めた。




 一瞬の暗転の後、あたしが見た光景は暴虐の限りを尽くした悪魔が圧されている姿だった。


 不死鳥の加護が発動したあたしは装備を含めて完璧に復活した。

 これはズルいスキルだ。


「人間がぁ」


「絶招之壱、洸」


 宙に浮かされた悪魔の喉、心臓、鳩尾へと剣が突き込まれる。


「絶招之漆、絶火」


 一言で言ってしまえば皆大好き鉄山靠だ。


「ふざけるなぁ」


 悪魔の反撃、けれど次の瞬間には悪魔が宙を舞っていた。


「絶招之肆、八重桜」


 受け流した勢いで宙を舞った悪魔をブレイブが蹴り上げる。


「OMA【烈剣】」


 某騎士王の聖剣が放つ光の奔流のような、熱の奔流が悪魔飲み込み、焼き付くしていく。

 熱の奔流が消えた後には何の姿もなく、ただ空が広がるだけで、あの悪魔は断末魔の叫びすら残すことなく焼滅したのだった。


 すべてを出し尽くしたんだろう。ブレイブがドサッとその場に座り込んだ。


「お疲れ様」


「あれリズ? ああ、不死鳥のスキルか」


 労いの言葉を掛けると、少し疲れた顔をして、あたしの事を見るブレイブに手を差し伸ばす。


「助かる。身体は大丈夫か?」


「まぁ、まだお腹等辺に違和感はあるんだけど、問題はないかな……」


 普通に生活していれば腹部に風穴開くなんてないんだから当然と言えば当然の感覚だと思う。

 むしろトラウマにならなかったのが不思議なくらいだ。


「それより、さっきの出来るなら最初からやりなよ」


 急に動きが良くなった事を追及すると、ばつが悪そうに頬を掻く。


「あ~、あれだ。天拳の口上って、なんか中二臭いだろ?」


 確かに中二患者かと思うようなセリフだったけど、それが理由で土手腹に風穴を開けられたあたしは怒っていいだろう。うん。許される筈だ。


 拳を固く握った時だった。羽音が響き、それと共に荒い息遣いが聞こえてきた。

 あたしとしては信じたくない気持ちで一杯だった。あれでも倒せないって、どうすればいいのかと……

 そんな事を思いながら空を見上げる。


 そこには予想した通り、あの悪魔が居た。


「はぁ、はぁ、まさか人間風情に、ここまで追い込まれるとは、思いも、しませんでしたよ」


 息も絶え絶えな筈なのに私達を睨むその双眸には未だ力強い意志を感じる。


「六大魔王ディスカス様の配下であるこの私、このデュークが、なんたる失態、なんたる不出来、かくなるうえは私の命をとして、この地を吹き飛ばし、貴様等を次元の狭間へと閉じ込めてくれる」


 デュークと名乗った悪魔が不穏な事を言い空を飛び上がっていくのと同時に、お馴染みの告知音が鳴る。

 開くと、そこには絶望の知らせが書いてあった。


───────────────

クリア条件変更

悪魔デュークの自爆を阻止せよ。


*自爆の阻止に失敗した場合、盛大なペナルティーがありますので、頑張って阻止してください。

───────────────




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