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エンドレスフロンティア  作者: 紫音
二章 過去と悪意あるイベント
40/63

第35話 コレじゃない

よし、一週間以内!!

 結局、昨日は収拾がつかないまま各自解散といった流れになって、夜遅くまでドンチャン騒ぎと相成った。

 騒ぎに発展した原因に私が鍛冶師だった事と、ついでとばかりにリズに渡した四肢切り、シャンファ達が手に入れたユニーク武器の内容だったけど。


「あのさ」


「なんだいメルちゃん」


 その翌朝、私は拠点の一室でぱるぷんてに非難の視線を向けている。


「私は弓を一張作ってって言ったよね?」


「ザッツライト、だからさ、俺ちゃんの技術の粋を結集して作った大作だぜぃ」


 そう、私は確かに弓を一張と頼んだ筈なんだ。

 だけども今私の手に握られているのは御世辞にも弓とは呼ばない。

 私の身長よりもでかいそれは、某世紀末覇者さんの部下達が数人がかりで引いたあの弓くらいの大きさで、あと少しパーツを追加できればバリスタと呼べてしまうような代物だった。

 そう、私は普通の弓を頼んだのであって、まかり間違っても攻城兵器もどきを頼んだ記憶はない。


「確かに、確かにさ、物凄く広い定義ではこれも弓と言わなくもないとは思うけど、どうして半弓や長弓、コンジットボウとかを抜いて、攻城兵器もどきが来ちゃうのかな?」


「そこにロマンがあるからだぜぃ」


 清清しい程の笑顔を浮かべてサムズアップするぱるぷんてに軽く殺意を覚えるけど、形を指定しなかった私も悪いと思い、固く握りしめた右手を開く。

 ただ、文句を言いたいのはそれだけじゃない。装備の名前にも言いたい事があった。




アイテム名 暴虐弓・デス・バイ・ショッツ

等級 ☆8

品質 良

スロット 20

残りスロット 0


射撃補正 144

耐久値 100/100


発動スキル

【耐久値減少軽減 Ⅱ】【射程増強 Ⅱ】【強弓 Ⅰ】【貫通力上昇 Ⅰ】


評価

ぱるぷんてが技術の粋を結集して作ったロマン砲と呼ぶべき代物、取り回しの悪さと通常の矢を射る事の出来ない不便さを補って、余りある破壊力を秘めている。




 暴虐弓ってなにさ!! デス・バイ・ショッツって宣告、射撃による死って、私ってそこまで物騒なイメージなの?

 答えを聞くのが怖くて聞けないけど……


「その弓は第三エリアで採れる珪化木で作ってるから、丈夫さは他の弓とはだんちだぜぃ」


「……通常の矢を射る事が出来ないって書いてあるけど?」


「そこはメルちゃんなら、自作できるっしょ?」


 つまり、これを使う度に矢に見せかけた槍を使い捨てる事になるという事。手軽な遠距離武器が欲しかったのに、なんだろう。こうコレじゃない感覚は……


「取り敢えず、試し射ちしたいけど、街中では出来そうにない、か」


「推奨できないねぇ」


 そんな物騒な物を作らないで欲しいんだけど、盛大なブーメランになりそうだからさ口をつぐんでおく。


「はぁ、今日はコレの試射にでも行ってくる」


「なら俺ちゃんも連れていってくれぃ、次への課題も洗い出したいからねん」


 そうして私達は暴虐弓の試射に出掛けた━━




 ━━筈だった。

 私とぱるぷんての二人だけで出る予定だったのに、何でこんな大所帯になっているんだろうか?


 拠点にいた全員で出掛けるとか、ピクニックに来た訳じゃないんだけど……

 まぁ、性能はある程度把握できたし、オリジナルアーツも作ったから目的は達成した訳だけども、どうしてその後にボスラッシュなんて隠しクエストやってるのか理解が出来ない。いや、したくない。


「おりゃぁぁぁぁあ!!」


「疾ィ!!」


「OA【打打打ダーン】」


「OM【アルタノヴァ】」


 ブレイブが嬉々として斬り込み、スリーピンが袖口から取り出した御札を投げる、リリウムの戦鎚が乱舞し、シェスカの魔法が火柱を上げる。


「何て言うか、さ」


「酷い光景だよな」


「もう、十体目だよ」


「ボスがボス扱いされていない件」


 十把一絡げといわんばかりの勢いでボスを殲滅していく光景に呆然とするシャンファ達、確かに六人パーティー四組で受ける事ができるクエストを実質五人で蹴散らしていくのを見れば、呆然とするのも頷けるかもしれない。


 他の面々はその戦闘を見て苦笑いを浮かべているか、休憩をしている。私はリズに抱かれてマスコットになってるけど?


「しかし、【魔方陣】スキルの派生進化の【符術】スキルか……」


 今、スリーピンの投げている御札はスリーピンが生産した物らしい。


「【魔方陣】系のスキルは数を作るのは手間らしいけど、戦闘中にMPを使わないって利点があるからね」


 魔法紙という専用の紙を使い魔方陣を書いて、マギア、もしくはオリジナルマギアを籠めるスキルとか言っていた。

 使った紙や魔方陣の精巧さによって籠められるマギアが決まっていて、全てを含めて等級が決まるとかなんとか。


「このゲームで一番えげつない生産って、消費アイテムを作る事なんじゃ……」


 作っても作っても、使ったら無くなってしまって、終わりが見えなさそうで嫌だなぁ。


「考え方の差じゃないでしょうか?」


「うむ」


「僕も消費アイテムの生産者だけども、僕的には一つにかける時間が長い装備品の方がえげつないと思うがね」


「【調薬】は大鍋に入れて、一回で複数本できるからじゃない?」


「タッチでポンが出来ないから、そう感じるのは無理ないけどね」


 でも、それが醍醐味なんだよ。というリズのセリフにぱるぷんてを除いた生産者全員が頷く。

 そのぱるぷんてはボスを攻略する五人目だ。

 黒革のジャケットとズボンに、普段は被っていないハットを被り、腰から二冊の本を吊るしている。


「話し変わるけど、ぱるぷんてが戦闘に加わるとは思わなかった」


 今戦っているメンツって、どこか戦闘凶の気があるメンバーばかりだから。


「ぱるはああ見えて戦闘も好きらしいし」


「本を武器にしてるし」


「前までは杖だったんだけどね。なんでも派生スキルをアンロックしたらしいよ。【魔本】のスキルだって」


 武器である本が宙に浮いているのはそういうスキルを武器に付与しているかららしい。リズがスカート装備に付与する【見えそうで見えない】と同じくネタスキルのようだ。


 そんな話をしている内に十五体目のボスが光の粒になって消える。


「ボスが可哀想になるね」


「そうだね」


 あ、十六体目が沈んだ。


「そう言えば今更なんだけど、リズ聞いてもいい?」


「何?」


「どうしてリズはあまり特徴のない普通の服なの?」


 リズの服装は灰色を基調したザ村人風の服だ。


「ああ、それね。それかぁー」


「それは我輩も気になるであるな」


「確かに、他の方にはこんなに凝った装備なのに、なんで自分のは簡素な服なんですか?」


 その場にいた全員が興味をしめすと、リズは尚の事言いづらそうに顔をしかめた。


「あぁ~、ほら、ね。あれだよ。あれ」


 いや、それじゃわからないから。


「自分で凝ったデザインした服を着るってなんか、その、コスプレって言うか、恥ずかしいじゃない? あたしはこの服を着こなせますみたいに言ってるような気がして、ね」


 ゴスロリ、白衣、修道着、確かにコスプレと言われればそうかもしれないけど……人にはそんな格好をさせてるのに、何を言ってるんだろうか?


「その理論でいくと、他人にデザインしてもらうなら問題ないのであるか?」


 確かに、自分で作った服は着てる訳だし。


「うーん。まぁね」


「それなら、私がデザインしようか?」


 自分だけ普通の服を着てるなんて許さない。


「うそ、メルちゃんがデザインしてくれるの!? 着る着る。絶対着るよ!!」


 あれ? もうちょっと渋るかと思ったんだけど……


「まぁ、素人で良いならだけど」


 今更冗談だなんて言えないし、一応保険を掛けておこう。


「それでもだよ!! 約束だからね」


「……約束」


 それと同時にポーンっと告知音が鳴る。


───────────────

隠しクエスト ボスRUSH!!をクリアしました。


評価 S

報酬 素材カタログ


達成条件

全てのボスを倒す事。


失敗条件

四パーティー中一パーティーの全滅。


───────────────


 いつの間にかクエストが終わっていたらしい。

 本当に何もしてなかったけど、報酬貰って良いんだろうか。


 アイテムを確認すると、今まで倒した事のあるmobの素材を一個だけ任意で手に入れる事ができるアイテムみたい。

 ……これで魔石手に入らないかな? そうすれば新しい魔導人形を作る事ができるんだけど。


 その後も狩りを続け、廃都に戻った時にはシャンファ達のパーティーは何かを悟ったような顔をしていた。


掲示板回を挟んでラストにするか、二章を終わらしてから掲示板回にするか、悩みどころですね…─

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